月別アーカイブ: 2021年11月

奈良の旅②地形・地勢の影響? 決意をうながす吉野山、おだやかな飛鳥

●奈良2日目は、今回のメインイベント=「蔵王権現」の見学。最初この4文字を目にしたときは、樹氷で有名な蔵王周辺のお寺かと思ったほど無知でした。それが祀られている吉野山の金峯山寺[きんぷさんじ]を開いたのは修験道[しゅげんどう]の創始者・役小角[えんのおづね]だともいうので、出羽三山と関係しているのかもなどと、勝手に思い込んだり。
●わが国最大の秘仏蔵王権現が開帳されるのは5年ぶりのこと。詳しくはネットに出ていますが、今回見に行こうと決めたのは、広告の写真に見たその色。この種の像としては稀有な青黒[しょうこく]に塗られており、強烈な印象を与えます。こんな色をした仏像はほかに知りません。
●吉野山といえば古くから桜と杉で有名ですが、後醍醐天皇が京都から朝廷を移し、南朝を開いたことでも知られています。なぜ吉野山だったのか、考えてみると不思議な気がします。華やかな都から遠く離れ、右を見ても左を見ても杉ばかり。わかりやすく言えばとんでもない僻地です。ただそれだけに、後醍醐に付き従ってきた公家や武士たちも諸々の雑音に動揺することなく、再起・復活の決意を固めていったのではないでしょうか。地形・地勢が人の心理・行動に強い影響を与えるのかもしれません。
●吉野山を下って到着した飛鳥でその思いはいっそう強まりました。それは、588年創建という日本で最初の寺=飛鳥寺で、日本最古の仏像=飛鳥大仏(釈迦如来坐像)のにこやかな微笑みを真近で観たときです。こんな表情を刻めるのは、四方が真っ平らでおだやかな空気が流れる飛鳥だからこそでしょう。すぐ近くの高松塚壁画館で見た古墳の壁画に描かれていた男女の顔もそうでした、それと、古民家をリノベした和食の店で食べたランチのなんともマイルドな味わいも、そうした考えに導いていったのかもしれません。(2021/11/28)

Facebook Post: 2021-11-30T17:24:27

奈良の旅①7カ月ぶりの東海道新幹線で奈良の旅に出発

●結婚記念日(11/23)と小生の誕生日(11/26)を合わせたお祝い、というわけではありませんが、今日から奈良にやってきました。土曜日+快晴とあって、品川駅はたいそうな混みよう。名古屋を過ぎたあたりから雲行きが少しあやしくなり、伊吹山のふもとには大きな虹がかかっていました。こちらも混み合う京都駅で、東京周辺では見たことのないような色調とデザインの近鉄特急に乗り換え、最初の目的地・橿原[かしはら]神宮へ。最初は雨模様でしたが、途中から空も明るくなりひと安心。
●橿原神宮は明治期の創建とはいえ、神武天皇が即位した神聖な場所とされています。明治神宮・靖國神社などと同じく勅祭社(祭祀に際し、天皇より勅使が遣わされる神社のこと)で、本殿は京都御所の賢所[かしこどころ]が下賜・移築された建物。いまの上皇ご夫妻、天皇皇后両陛下も何度となく参拝されているそうです。
●すぐ隣の神武天皇御陵に向かう頃になると雨がポツポツと。深閑とした森の奥にたたずむ墓所の前に立つと、思わず凛とした気持ちになりました。気温はどんどん下がり、帽子、マフラーを総動員。それでも鼻水が止まりません。寒さにふるえながらホテルに戻り大浴場で温泉につかると、やっと人心地。
●その頃には神聖な気分もどこへやら。1万2千歩以上も歩きお腹が空いていたせいもあり、頭の中は夕食のことでいっぱい。よくある団体食メニューでしたが、唯一、デザートが出色でした。タピオカゼリーのまん中にメロンが浮かび、生卵と見まがうばかり。日本シリーズの決着を見届け、ベッドに入ると、サイドテーブルには定番の聖書でなくなんと古事記が。さすが、橿原!(2021/11/27)

Facebook Post: 2021-11-28T17:22:04

星は空のイルミネーション!? ならばと、我が家も点灯

●月と太陽によるショー=皆既月食で盛り上がった日から1週間経った昨日は小生の誕生日。多くの方からお祝いのメッセージを頂戴し、ありがとうございました。月日の経つのは早いとはいえ、70代の1年目はあっという間に過ぎたように思えます。
●それにしても、時というのはなぜ「月」と「日」だけで示されるのでしょう。「星」もあるのにです。単独ではさほど目立たなくても、”団体戦”というか、夜空に点在し光を放つ星たちを見ていると、不思議な吸引力を感じます。全部で88あるという星座にはそれぞれ神話があるそうですが、それも納得。
●この夏池袋から30分足らずの東久留米に引っ越して驚いたのは、少しくらい曇っていても、一つ、二つ……と数えたくなるほど多くの星が見えること。金星や北極星はもちろん、「オリオン座」のべテルギウス(左上)やリゲル(右下)など7つの星がキッチリ見えますし、「おおいぬ座」のシリウス、「こいぬ座」のプロキオンを結んでできる「冬の大三角」、リゲルや「牡牛座」のアルデバランなどの1等星6個をつないでできる「冬のダイヤモンド」も拙宅のベランダからばっちり。”空のイルミネーション”の観があります。
●そこでわが家でも、久しぶりにイルミネーションの真似事をしてみました。イルミネーションのもとの動詞”illuminate”は、「光で飾る」ことですが、第一義は「明るくする、〔~に〕光を当てる」ですし、ほかにも「明らかにする、〔~の〕理解を容易にする」とか「〔人を〕啓発[啓蒙]する」「〔人の顔や表情を〕明るくさせる、生き生きさせる」といった意味もあるといいます。一つ歳を取ったのを機に、自然と人工のイルミネーションに囲まれながら、いっそう明るい気持ちで、生き生きと過ごしたいものです。(2021/11/26)

Facebook Post: 2021-11-27T11:45:38

2時間足らずで歌舞伎を満喫!

●赤坂Actシアターまで歌舞伎を見に行ってきました(なんと、無料ご招待!)。来年夏に始まる『ハリー・ポッター』ロングラン公演のため全面リニューアル工事に入るため、歌舞伎は今回が最後。2008年9月3日、シアターのオープニング公演初日(演し物は『江戸みやげ狐狸狐狸[こりこり]ばなし』)を見た私にとっては、名残惜しい限りです。
●さて、今回の演目は『廓噺山名屋浦里[さとのうわさやまなやうらざと]』で、笑福亭鶴瓶の新作落語をベースにした作品。さらにたどると、NHKの『ブラタモリ』で吉原を取り上げた際、当地で古くから伝わる話に感動したタモリが鶴瓶に話したのがきっかけで、鶴瓶が6年前落語に仕立てたのだといいます。それを高座で聞いた勘九郎が歌舞伎化、弟の七之助とダブル主演で何回か公演されているのですが、小気味のいい秀抜な作品に仕上がっていました。
●というのも、テーマがシンプルでわかりやすく、筋立ても、観る側が思い描いているとおりに進み、「こうなってほしい!」というふうに終わるからです。人によって違うでしょうが、私にとっては、映画も演劇もオペラもミュージカルも、「秀抜」の条件はそれに尽きます。もちろん、どんでん返しもOKですし、たまにはシリアスというか、深く考えさせられる作品も悪くはありませんが。
●後半の踊り「越後獅子」「宵赤坂俄廓景色[よいのあかさかにわかのさとげしき]」は、勘九郎の長男・勘太郎(10歳)、次男・長三郎(8歳)が、日ごろの鍛錬の成果を披露。思わず、同い年の孫と引き比べてしまいました(笑)。前後半合わせて正味1時間40分は、通常の半分です。帰りはチョイ色づいた木々の間を抜け、赤坂サカスに入っているカタルニア料理の店「BIKINI」で遅めのランチ。ピンチョス3点+かに味噌パエリヤ+サラダの組み合わせで1200円は格安でチョー美味。心もお腹も大満足の一日でした。(2021/11/22)

Facebook Post: 2021-11-24T12:01:41

親バカならぬじじバカ! 孫の誕生日レポート

●下の孫はいささか変わったキャラの持ち主で、お誕生日は何が欲しいの?」と尋ねると、答えはいつも、市ヶ谷「さかぐち」の「京にしき(海苔せんべい)」。そのため、この時期になるとかならず買いに行っています。40年ほど前そのすぐ近くに勤め先があったのですが、私自身はほとんど口にしたことがありません。
●逆に、家人は大のせんべいマニアで、「さかぐち」の大ファン。下の孫もそれに影響されたのでしょう。100枚以上詰まった「京にしき」を小さなZIP袋に小分けにして入れ、毎日決まった枚数を食べているのを目にすると、かわいくなってしまいます。
●お誕生日祝いPART 2はスカイツリー5階の「カービィカフェ」。カービィとは『星のカービィ』(1992年発売)という任天堂のゲームの主人公。そのカービィをフィーチャーした小さなカフェなのですが、休日ともなると、予約なしでは入れないのだとか。仕事で同行できない母親がすべてお膳立てしてくれていたので、私たちはすんなり入れましたが、言うならば、ディズニーランドの超ミニ版ですね。
●カフェのあとはスカイツリー。スカッとした秋晴れではなかったものの、そこそこ見渡すことができました。ちょうど「鬼滅の刃」の大イベント期間で、そこいら中に登場人物の絵が。1年前まですっかりハマっていた孫も、いまは別のマンガ=「東京リベンジャーズ」に関心が移ってしまっているので、終始クール。それにしても、観覧料の高いことといったら! 大人2人と子ども1人で軽く1万円以上飛びました。ちなみに、お誕生日会のメニューも、大好物のソーメン+かき揚げ。そちらは格安でおさまったのが救いでしょうか。(2021/11/19)

Facebook Post: 2021-11-19T22:40:00

日蓮生誕800年にちなむ展覧会を観に山梨県へ

●私の住む東久留米市のすぐ隣は、志村けんの東村山市。先日お伝えしたイオンモールがある武蔵村山市の「東」に位置していることからその名がついたようです。鎌倉時代は、政都・鎌倉と東北、北陸方面を結ぶ鎌倉街道上道が通っており、市内の久米川[くめがわ]には大きな宿場がありました。鎌倉から東北・北陸に向け茫々[ぼうぼう]たる武蔵野の原野を歩いてきた旅人にとって、清き流れがたゆとう久米川の宿に着くと心も安らいだはず。
●佐渡に配流となった日蓮が相模国依智[えち](現在の神奈川県厚木市)を発ち、最初にわらじを脱いだのも久米川です。今年はその日蓮の生誕から800年。それにちなんで「日蓮聖人と法華文化」展が開催されていると知り、私も笛吹市にある山梨県立博物館まで行ってきました。地味なテーマなのでガラガラかと思いきや、けっこうな数の人が訪れているのにはビックリ。
●展示されていたのは、日蓮自身やその弟子・後継者の手になる紙幅の曼荼羅、書状、経典写本、肖像、棟札、日蓮の生涯を綴った読み物など170余点。戦国時代に日蓮の教えを信奉する武士が合戦のときに身につけた陣羽織(背中に南無妙法蓮華経と記されている)、文字ではなく絵で描いた曼荼羅など、ユニークな品もありました。なかでも、日蓮ゆかりの各地の寺院や宿のガイドブックは秀逸。絵をふんだんに用い、説明文も「るるぶ」や「まっぷる」顔負けの懇切丁寧さ。このテの本は宗派を問わず広く出回っていたといいます。
●それにしても「笛吹市」などという市があったとは、今回初めて知りました。温泉で有名な石和[いさわ]など5町2村が合併して2004年に発足したそうですが、市名を決めるときは大いに悩んだのではないでしょうか。結局、深沢七郎の小説で知られる笛吹川がこのあたりを流れていることから決まったようで、西東京市とか北名古屋市のような、安直というか無機質というか、そうした名前にせずによかった! (2021/11/18)

Facebook Post: 2021-11-19T08:42:31

春は花より団子、秋は富士山より柿⁉︎

●駅から家へ電チャリを走らせているとスマホが鳴りました。40年近く仕事でお世話になっている方が急逝されたとの知らせです。翌日弔問にうかがう旨を伝え電話を切ると、夕空に赤い富士が。そして今朝(11日)もまたみごとな姿を見せてくれています。こんな早い時間に電車に乗ったのは久しぶり。しかも、喪服でネクタイまで締めているので、いささか緊張気味です。その帰り道、和菓子屋さんの前を通りかかると「亥の子餅 11月10・11日限定販売」の文字が飛び込んできました。
●”虎の子”は知っていましたが、はて”亥の子”とは? 11月は旧暦10月で亥の月、その最初の亥の日をこう呼ぶのだとか。宮中では平安時代から、その日、新米で搗[つ]いた餅を食べて祝う「亥の子の祝い」なるものがおこなわれている。『源氏物語』にも登場するこの「亥の子餅」の習慣がいつしか民間にも広まって云々━━wikipediaにそう書かれていました。
●また、亥は猪(いのしし)。猪は多くの子を産むことから、亥の月・亥の日・亥の刻(夜10時)に「亥の子餅」を食べれば子孫繁栄と無病息災がかなうのだとか。私も無病息災を願い、迷わずひと包み買いました。中に栗も入っていて、おいしいことおいしいこと。やっぱり秋は栗ですね。
●秋の味覚といえばもうひとつ、柿を忘れてはいけません。今週初め愛知県小牧市の親友から届いた柿を毎日1個ずつ。でも、同居の孫がそのおいしさを知ってしまったようで、ちょっとお腹がすくと「柿、むいてよー」。10日の夕方に見た赤い富士山も顔負けの赤い柿。引きが強いのはもちろん後者で、あと2、3日もすれば段ボール箱が空になってしまいそうです。(2021/11/12)

Facebook Post: 2021-11-12T20:40:48

“イオンモールで映画”を初体験

●地方取材に出てレンタカーであちこち走り回っていると、かならずと言ってよいほど見かけるのがイオンの巨大なショッピングモール。駐車場の混み具合からすると、どこも皆多くの人でにぎわっているようです。これでは、古くからある商店街がさびれてしまうのも致し方ありません。買い物はもちろん、食事をしたり映画を観たり。銀行のATM、イベントスペース、書店や各種スクールなどほとんど何でもそろっているモールを抜きにした生活など考えられないかも。
●そのイオンモール、地方だけでなく、近ごろは大都市近郊でも増えているようです。この7月から住んでいる町にもあるのですが、今回行った武蔵村山のそれは4倍以上の規模で、仰天しました。モール先進国アメリカと比べてみてもまったく遜色ありません。違いといえば、デパートと高級ブランド店がテナントとして入っていないことくらいでしょうか。
●武蔵村山まで行ったのは、たまたま同じ町で雑用があったから。ただ、そのためにだけ45分も車を走らせていくのは効率が悪い。そこで、ついでに映画でもと思い立ち調べてみると、シネマも併設されていることがわかりました。どうせなら食事もと思ったのですが、こちらはいささか物足らない感じがしたので、以前から行きたいと思っていた新座市の蕎麦屋経由で。温かい野菜天ぷらそばは最高でした。
●そうそう、ついでに観た映画は『老後の資金がありません!』。宣伝ばかりが目につきさほど期待はしていなかったのですが、昨今の社会状況を踏まえつつも、虚実の皮膜を巧みに衝いた、いかにも映画らしい映画でした。90歳間近の女優・草笛光子の厚みのある、それでいて颯爽とした演技が光り、主演の天海祐希も食われそうなほど。土砂降りの雨をおしてわざわざ出向いたかいがあったというものです。(2021/11/10)

Facebook Post: 2021-11-11T15:36:58

豊玉刑務所表門──私の「マイクロツーリズム」㉑

●東京・中野区の文化財に指定されたのを記念して、旧豊多摩刑務所(監獄)表門が2日間限定で公開されました。さわやかな秋晴れの中、バスと電車を乗り継ぎ最寄り駅の沼袋へ。駅からは徒歩10分と、文字どおりのマイクロツーリズムです。朝の10時過ぎだというのに、けっこうな数の人が訪れていました。前夜NHKで報じられていたそうで、その影響もあるのでしょうね。
●刑務所の門というと、国指定の重要文化財にもなっている奈良がその美しさで有名ですが、こちらは収監された人がハンパではありません。とくに1925(大正14)年の治安維持法制定以後は大杉栄、三木清、荒畑寒村、中野重治、小林多喜二、河上肇、戸田城聖、林房雄、徳田球一、志賀義雄など多くの”思想犯”が収監されたことで知られています。近いところでは、東大安田講堂占拠事件で逮捕された全共闘の活動家79名、学生運動の指導者・藤本敏夫(加藤登紀子の夫)も。そんなマニアックな場所であるにもかかわらず、写真を撮るのもひと苦労するほどの混雑ぶり。まあ、国内では数少ないレンガ造りの建物とあれば、不思議ではありません。
●刑務所の施設で残っているのはこの表門だけで、4万坪ほどの敷地はいま、公園やグラウンドや体育館、都下水道局などの公共施設になっています。それにしても、この中野駅周辺の変わりぶりは驚くばかり。5代将軍綱吉が犬の保護施設をこの一帯に作って以来お上の所有で、近代に入ってからは国や都、区の施設が設けられてきました。ここ数年は再開発が進み、大学のサテライトキャンパスやオフィスビル、公園が作られ、いまも区役所新庁舎の建設工事の真っ最中。サンプラザも近々解体され高層ビルに建て替わるといいます。
●中野をあとにし吉祥寺の台湾料理店へ。古民家風建物の2階にあり、内装も台湾っぽい店でしたが、定食(魯肉飯&米粉湯のセット)もデザートの豆花もGOOD! 小一時間並んで待ったかいがありました。当たり前の話ですが、数日前、自宅で作ってみた魯肉飯とは段違い。帰りがけに、お店近くのスーパーで「魯肉飯の素」なるものを買ったので、またチャレンジしよーっと。(2021/11/7)

Facebook Post: 2021-11-07T08:54:06