エジソンが、ゴッホが……。五感への刺激を堪能した一日

●東日本大震災の被災者100余人によるミュージカル上演の本を書くとき取材させていただいた方のお一人と、神田淡路町のイタリアンでランチ会食。7年ぶりの再会で話がはずみ、名物のパスタの写真を撮るのも忘れてしまうほど盛り上がりました。


●でも、この日最大の衝撃は、オーナーのSP盤レコードと蓄音機のコレクションです。店内にさりげなく置かれているのですが、これがなんと、かのエジソンが発明した蓄音機の現物。当時の音源は蠟管[ろうかん]といい、Campbellスープの缶に似た容器に収まっています。1枚ウン十万円はするというSP盤を130年以上前の蓄音機に載せ、かけてくださったのですが、その音の心地よいことといったら。ヴァイオリンソナタも歌謡曲もリアルそのもの、あまりの臨場感に圧倒されました。


●そのあと、すぐ近くにある神保町のギャラリーで開催されている刺繍の作品展へ。ひいきにしている目白の洋服屋さん━━いま風に言うとセレクトショップ━━のオーナーがFBで勧めておられたのですが、その”推し”がなければ足を運ぶこともなかったでしょう。”不要不急”と言われればそれまでですし。


●でも行ってみると、ゴッホの「星月夜」、北斎の「富嶽三十六景」を始めどれも皆、「ここまで……!?」と絶句してしまいそうな精緻さ。離れて見るとワクワク、近づいて見るとドキドキ、とでもいいますか。聴覚と視覚に、強烈な、それでいてすこぶる心地よい刺激を受けた一日となりました。(2022/4/8)

桜は散っても😢、春の本番はこれから

●新年度は、雨と風でスタート。東京は3・4日もずっと降りどおし、しかも真冬並の寒さとあって、拙宅ベランダからの夜桜もジ・エンドとなりそうです。といって、詩ごころとはほとんど無縁の私なんぞは、「あ〜あ、これでおしまいか」でしかありません。でも、そうした情景を目にしたときの心情を三十一文字に託される方もいるのですね。


●夜半さめて  見れば夜半さえ
  しらじらと  桜散りおり
   とどまらざらん
うーん、まさしくそのとおり! 作者の馬場あき子さんは数々の賞に輝いている93歳の歌人。先日のFBで、私が心底尊敬している福岡の出版社主がシェアした「完全保存版 絶対覚えておきたい! 究極の短歌・俳句100選」(3/27NHK-BSプレミアム)の中に紹介されていました。


●こちらは夜桜ではありませんが、散ってしまった桜を惜しむ歌(紀貫之)も。
 桜花 ちりぬる風の なごりには
  水なき空に 浪ぞたちける
なるほど、ですね〜! まるで私の前にそうした場面がリアルタイムで展開しているかのよう。どちらも、「究極」と讃えられるだけのことはあります。


●もちろん、桜が散ってしまったからといって、春が終わるわけではありません。拙宅の近くをさらさらと流れる小川のほとりを歩いてみると━━。小学生が水遊びに興じていましたし、レンゲやスミレはもちろんのこと、これまでその存在すら知らなかった花々も一挙に咲き始めています(それにしても、童謡「春の小川」はやはり名歌!)足湯やSIX PADも体には効きますが、自然の中を歩くのがやっぱり一番ですね。(2022/4/6)

ドナウ川クルーズの愁眉ヴァッハウ渓谷

2017年11月4日
DSC04111今回のクルーズの目玉の一つが「ヴァッハウ渓谷」です。ドナウ川沿いでは景色がいちばん素晴らしいとのことで、この季節は黄色く変わった葉でいっぱいの木々が楽しめそうです。

今日未明にウィーンを出発した船は朝方、デュルンシュタインに到着。ここで下船し、徒歩で町に向かいます。黄色に色づいたブドウ畑の横を通り抜けた先が市街地。といっても、往復20分足らずですべて観ることのできるこじんまりした町です。

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私は、かつてリチャード獅子心王が幽閉されていたという城跡のある山に登りました。20分ほど歩くと頂上なのですが、ここから見下ろすドナウの眺めは最高でした。私より先に、数人の方が登り終えており、お話をうかがうと、80ウン歳とか70代後半とか、はるか年上の人ばかり。とにかく、その元気さには恐れ入ります。

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出発まで時間があったので、この町を象徴する「聖堂参事会修道院教会」の周りを歩いてみました。水色の外装がユニークな教会です。川岸ギリギリの道を小型定期船の船着き場まで歩いていき、その全景を観ることができました。

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DSC04137船に戻るとランチです。バイキングスタイルは変わりませんが、今日はなぜか、基本のラインナップのほかに子豚の丸焼きが出てきました。厨房から、大きな銀の皿に載せた豚が運ばれてきたときはびっくり。小さなロウソクが何本も差し込んであるのですが、その炎が爆竹のようにはじけて音を出すのです。それにしても、なぜこのタイミングで? どう考えてもわかりません。

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さて、デュルンシュタインから船はパッサウまでさかのぼっていくのですが、その間が「ヴァッハウ渓谷」。途中、山の上に古い城跡があったり黄色い木々に覆われた山肌が見えたり教会の尖塔がひときわ目立つ可愛い町があったりなど、ずっと観ていても飽きません。2時間ほどで、次の目的地メルクに到着。「修道院」で有名なところと聞いていましたが、遠目で見てもたいそうなスケールであることがわかります。

 

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DSC04187もともとは、ハプスブルク家より前の時代にこの地方を支配していたというバーベンベルク家が築いた城をベネディクト派修道院に寄進したもので、18世紀の初めにバロック様式で再建されたため、見た目も派手な=清貧のイメージとは真逆の修道院に。内部、とくに祭壇はなんとも絢爛豪華でした。10万冊の本を備えた図書室は、今年8月にダブリンで訪れた「トリニティー・カレッジ」を思わせるような造り。また、ほかにもさまざまな宝物を展示しており、楽しむことができます。屋上からの眺めも素晴らしく、こんな場所で修行に打ち込めるのだろうかと心配になってしまいました。

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