豊玉刑務所表門──私の「マイクロツーリズム」㉑

●東京・中野区の文化財に指定されたのを記念して、旧豊多摩刑務所(監獄)表門が2日間限定で公開されました。さわやかな秋晴れの中、バスと電車を乗り継ぎ最寄り駅の沼袋へ。駅からは徒歩10分と、文字どおりのマイクロツーリズムです。朝の10時過ぎだというのに、けっこうな数の人が訪れていました。前夜NHKで報じられていたそうで、その影響もあるのでしょうね。
●刑務所の門というと、国指定の重要文化財にもなっている奈良がその美しさで有名ですが、こちらは収監された人がハンパではありません。とくに1925(大正14)年の治安維持法制定以後は大杉栄、三木清、荒畑寒村、中野重治、小林多喜二、河上肇、戸田城聖、林房雄、徳田球一、志賀義雄など多くの”思想犯”が収監されたことで知られています。近いところでは、東大安田講堂占拠事件で逮捕された全共闘の活動家79名、学生運動の指導者・藤本敏夫(加藤登紀子の夫)も。そんなマニアックな場所であるにもかかわらず、写真を撮るのもひと苦労するほどの混雑ぶり。まあ、国内では数少ないレンガ造りの建物とあれば、不思議ではありません。
●刑務所の施設で残っているのはこの表門だけで、4万坪ほどの敷地はいま、公園やグラウンドや体育館、都下水道局などの公共施設になっています。それにしても、この中野駅周辺の変わりぶりは驚くばかり。5代将軍綱吉が犬の保護施設をこの一帯に作って以来お上の所有で、近代に入ってからは国や都、区の施設が設けられてきました。ここ数年は再開発が進み、大学のサテライトキャンパスやオフィスビル、公園が作られ、いまも区役所新庁舎の建設工事の真っ最中。サンプラザも近々解体され高層ビルに建て替わるといいます。
●中野をあとにし吉祥寺の台湾料理店へ。古民家風建物の2階にあり、内装も台湾っぽい店でしたが、定食(魯肉飯&米粉湯のセット)もデザートの豆花もGOOD! 小一時間並んで待ったかいがありました。当たり前の話ですが、数日前、自宅で作ってみた魯肉飯とは段違い。帰りがけに、お店近くのスーパーで「魯肉飯の素」なるものを買ったので、またチャレンジしよーっと。(2021/11/7)

Facebook Post: 2021-11-07T08:54:06