日本で最初のデパートはエコ、SDGsでも先を行く

●朝の散歩で朝靄に接し、カラッと晴れ渡った空に雪をかぶった富士山を見て爽快な気分で足立区へ。所用を済ませたあと、上野に立ち寄りました。すると、松坂屋デパートの入口に”ご不用になった衣料品・くつ・バッグを店頭にお持ちください。お引き取り1点につき「ショッピングサポートチケット(1000円分)」または、「アプリクーポン(1100円分)」を1枚お渡しします”との掲示が。なるほど、エコやSDGsのご時勢とあれば、デパートもお高く止まってなどいられません。
●そもそも、上野の松坂屋は「ギフト解体セール」の元祖です。昭和50年代初め、外商部で大量に余った「特選海苔」をバラ売りしたのが始まりで、いつしか行列ができほどの名物催事に。いまでは、中元・歳暮シーズンの1カ月ほど経つと、全国どこのデパートでもおこなわれているのではないでしょうか。会場には缶詰、調味料、油、ハム、飲料など、食品を中心に特価品がズラリと並びます。
●実はこの松坂屋、日本で最初のデパートなのです。多くの人は、「えーっ、三越じゃないの?!」と驚かれるかもしれませんが、松坂屋の創業は三越よりなんと半世紀以上も前の1611年。最初は呉服小間物を扱っていました。老舗だけあって、階段も大理石がふんだんに使われています。エレベーターの導入、洋装の制服も一番先。デパート業界では常に先頭を走ってきた松坂屋の発祥は名古屋。名古屋は「もったいない」の原点と言ってもよい地域ですが「ギフト解体セール」の発想もそのあたりに原点がありそうです。
●ちなみに、名古屋人は松坂屋のことを「まっつぁかや」と言います。「まつざかや」より、発音するのに要するエネルギーが少なくて済むからです。「そんなバカな」と思われるかもしれませんが、実際に口を動かしてみると実感できますよ。”もったいないスピリット”はふだんからごく身近なところで実行されているのです。近ごろよく耳にするキモい」「エモい」などという若者言葉も、それに似た発想から生まれたのかもしれません。
(2021/10/25)

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