月別アーカイブ: 2020年10月

あった! 買った! 食べた!

●昨日だったか、i-Pad を手にしたカミさんが、見ただけでよだれが出そうになるプリンの写真がふんだんに載った雑誌のページを指さしながら、「ほら、プリンの特集があるわよ」と教えてくれました。全国で30を超える店が紹介されていましたが、私の本命は神奈川県葉山にある「Marlowe(マーロウ)」のカスタードプリン。もう何年も食べてないな〜と、指をくわえるしかありません。なんだかんだ言っても、葉山は遠いですし、コロナ禍の中ではおいそれと行くこともできません。それが今日、なんと、西武デパートの地下にあったのです! これはもう”運命の出会い”でしょうとひとり納得し、買いました。ついでに、いまの季節限定の栗プリンも。
●「Marlowe」は都内では三軒茶屋・銀座に出店しているだけ。たまに催事があるときなど、西武に出店することもあるのですが、知らなければ買えません。今日スタッフに聞いたら、10月初めから常設で店を構えたとのこと。うれしい話です。久しぶりに目にした包装用の袋に描かれているフィリップ・マーロウの顔も、私に微笑みかけているように見えてしまいました。
●実を言うと、プリンには深い思い入れがあります。小学5年のときだったか、母親が雑誌「暮しの手帖」と首っ引きで作ってくれたのを食べ、こんなおいしいお菓子があるんだと大感動。この時代、いまと違い、市販のプリンなどもちろんなく、よほどのレストランにでも行かないかぎり、口にすることはできなかったのではないでしょうか。それを食べてからというもの、私にとって横文字スイーツの筆頭はプリンなのです。ちなみに、二番手はアップルパイ(ただしシナモン風味の強いのはNG)、三番手はシュークリームとエクレアですかね。
●家に帰り昼食を済ませたあと、冷蔵庫でじっくり2時間”寝かせた”プリンを口にしたときの幸福感といったら(別に寝かせる必要などないのですが)。いまなら中高校生でも気軽に食べられるこのテのスイーツも、50〜60年前は非日常の極致と言ってもいい存在。でも、そうした時代を経験しているからこそ、こんな些細なことでも幸せを味わえるのかもしれません。ハードボイルドの巨匠レイモンド・チャンドラーの生んだ私立探偵フィリップ・マーロウといえば、
“If I wasn’t hard, I wouldn’t be alive.If I couldn’t ever be gentle, I wouldn’t deserve to be alive.”「タフでなければ生きていけない。優しくなければ生きている資格がない」
の名言で有名。それになぞらえて言うなら、☆プリンが好きでなければ男ではない☆ということかな━━な〜んて、ムシがよすぎますね。

Facebook Post: 2020-10-28T16:31:57

日月草を抜いたあとは……

●春先からほぼ半年咲き乱れていた日月草を今月初めに抜いたあとはチューリップ。来月には準備しなくてはならないので、昨日は、車で15分ほどのところにある「JA東京あおば桜台総合園芸センターふれあいの里」まで、球根を買いに行ってきました。その名のとおり園芸用品全般を扱っていて、花の苗や種・球根、栽培用の土・肥料、鉢、プランターなど、そのテのものはなんでもそろいます。地元・練馬区で獲れた野菜や果物を販売するコーナーもあり、八百屋さんがわりに利用している人も多いよう。特産のダイコンなど、11時前には売り切れていました。
●建物の奥、地べたに色とりどりの花がズラリと並んでいるのは壮観。見ているだけでも気持ちが休まります。そんな中からビオラを数鉢とミモザ、カラー、アリアッサムを買いました。もう一つおまけに、なんとも可愛らしいサボテンも。姿かたちはメキシコに生えているそれとまったく同じですが、こちらは高さ20センチ足らず。長持ちしてほしいなあ。
●そして今日は、ビオラ8株をさっそく植え付け。家の外、道路側のボックスに並べました。来年の春にはもっと大きくなりそうです。今年6月突然花を咲かせたヒメオウギスイセンの隣にスペースがあったので、そちらにはアリアッサムを。
●実は、ここに来る楽しみの一つが、野菜・果物の販売コーナーの片隅で売られている赤飯。これがめっぽうおいしいのですが、今日は見当たりません。カミさんともども不思議に思い、職員の方にたずねると、「作っていた方が亡くなられ、後継者がいないので販売取り止めになった」とのことで、ガッカリ。それにしても、”赤飯作りの後継者”とは! でも、きちんと伝承しなくてはならないくらいの技があったのでしょうね。

Facebook Post: 2020-10-25T17:49:23

豆大福で京都を味わえハッピー

●いまさらと思うかもしれませんが、京都は、いつ行ってもワクワクする都市の一つです。「Go To」がスタートしたのでその気になれば行けるのですが、コロナ禍がなかなか収束を見せないので、いまひとつテンションが上がりません。
●そんなとき、15日から22日まで、池袋の西武デパートで「京都名匠会」という催事があり、「出町ふたば」が出店するとの情報を新聞の折込チラシでキャッチ。オーッ、豆大福が食べられると、思わず頬がゆるんでしまいました。京都では毎朝8時過ぎから数十人もの人が並ぶ(「密」の極致のような状態)ほどの人気店。その名物がこんな近場で手に入るというのですから、”天の配剤”としか思えません。
●ただ、出店といってもわずか2時間、それも5個入りを100パックだけ。しかし、このチャンスを逃してなるものかと朝からソワソワする私にカミさんはあきれ顔です。もっとも、買うのは大変でしたよ。販売開始の1時間前=午後3時に会場の隅っこで整理券を受け取り、商品を受け取るのは4時から6時の間。
●ひどい雨もなんのその、ちょうど近くで別件もあったので、そのついでにと思い、2時半に行ったところ、早くも30人ほどの行列が! 早めに家を出て正解でした。整理券をもらい、所用を済ませたあと4時過ぎに売り場に戻り余裕でゲット。ほぼ1年ぶりの「ふたばの豆大福」とあって、いそいそと帰宅し、ほんの2、3分で2個たいらげてしまいました(おいしそうに食べているのは去年11月、京都での写真)。カミさんも、その妹も、娘の一家も全員が大満足。エヘン、人に喜びをほどこすというのは、いつだって楽しいものです。でも、また明日の楽しみにと2個、確保してありますよ(笑)。

Facebook Post: 2020-10-19T22:02:35

60年前のアメリカも、そして今も

●モータウン(Motown)。50代後半を過ぎた音楽ファンでその名を知らない人はいないでしょう。歌手も作詞家・作曲家、バックバンド、スタッフもすべて黒人というデトロイトのレコード会社です。私も中学に入ってから大学1、2年生の頃まで、その虜になっていました。スモーキー・ロビンソン&ミラクルズ、マーヴェレッツ、テンプテーションズ、フォートップス、マーヴィン・ゲイ、スティーヴィー・ワンダー、ジャクソン5、スープリームスなど、ラジオの音楽番組からはいつも彼(女)らの声が聞こえてきたものです。
●そうした並み居る大スターの生みの親ベリー・ゴーディ.Jrの語りを軸にモータウンの歴史を描いたドキュメンタリー映画『Hitsville: The Making of Motown』を観ました。モータウンサウンドの全盛期は1960年代ですが、それはベトナム戦争や公民権運動の高まりと重なり合います。彼らが3カ月に及ぶ国内ツアー(なんとバスで!)に出たときのこと。南部ではトイレも水飲み場も黒人は別、レストランに入ったとたん警官から頭にピストルを突きつけられ震え上がったといったエピソードも出てきます。バスでのツアーを余儀なくされたのも、黒人を泊めてくれるホテルがほとんどなかったからで、ベッドで眠ることができたのは2晩だけだったか。
●それにしてもアメリカというのは不思議な国です。野球やフットボール、バスケなどスポーツでも音楽でも黒人が優れた才覚を発揮し、そのおかげでさんざん楽しませてもらっているのに、白人はなぜ素直に感謝・尊敬できないのだろうかと。ましていまは、黒人の貢献度も当時よりはるかに高いはず。映画の中でもスティーヴィー・ワンダーが「音楽に黒人とか白人とかの区別はないんだけどね」と語っていましたが、誰だってそう思うのではないのでしょうかね。そう言えば、昨年のラグビーW杯に出ていたアイルランドとスコットランド、ウェールズには黒人選手がいませんでした。アングロ・サクソンというのは黒人が嫌いなのかなあ。
●今日行ったのはグランドシネマサンシャイン。昨年7月オープンの大きなシネコンですが、建物を探し当てるまで15分ほど、あたりを徘徊してしまいました。その前に食べたのが青江三奈の歌にも出てくる「美久仁小路」の古びた定食屋でしたから、頭がサッと切り替わらなかったのかも。まして、食べたのがサンマ定食とくればね。でも、おいしかったですよ。

Facebook Post: 2020-10-14T18:43:04

1年前の熱気はどこに? ラグビーの復活を願う今日この頃

●1年前の昨日(10月13日)は、日本のラグビーファンにとって、もっと言うなら日本という国にとっても、輝かしい歴史を刻んだ日でした。そう、ラグビーW杯でスコットランドを倒し、決勝トーナメント進出を決めたのです。史上初の快挙でした。5年前南アフリカに勝つのを現地で目の当たりにしたときも全身が震えましたが、昨年はそれ以上でした。南ア戦は遠く離れたイギリスの地でしたからスタンドにいた日本人は2千数百人。でも去年は横浜で、観客も6万8千を数えました。熱気の差は歴然で、その後も何日か興奮が冷めなかったほど。でも、あれから1年、今年はラグビー🏉の「ラ」の字もありません。
●それもこれもコロナのせいなのですが、今年から日本のラグビーの位置づけは変わるという期待はすっかり希薄に。半月ほど前からスタートした大学ラグビーも、W杯以前に戻ったような感じがします。こうなると、年明けから始まるトップリーグを待つしかありませんが、それもコロナ次第。ニュージーランド、オーストラリア、またフランスでは国内のリーグ戦もおこなわれているというのに、なんともさびしい限りです。
●にわかファンの目からしても、ラグビーはあらゆるスポーツの中で「密」の度合いが格段に濃いのではと思えるでしょう。実際そのとおりで、フォワード(8人)どうしで組み合うスクラムはもちろん、ラック(敵味方でボールを奪い合う状態のうち、ボールがグラウンド上にある場合)やモール(ボールを選手が持っている場合)も、3〜10数人の選手が上を下へ、前に後ろに、タテ横斜めに入り乱れてプレーしているのですから、誰かが感染していたら…と考えると怖くなります。
●そうしたことへぬ対策を講じた上でニュージーランドやオーストラリアは、従来とは方式を変えてではありますがリーグ戦を実施。相変わらずハイレベルの試合を見せてくれました。先日おこなわれた両国のテストマッチも素晴らしい内容で、テレビ画面からもスタンドの熱気が伝わってくるほど。日常生活の中にラグビーが定着しているんだなぁと思わずにはいられません。W杯の盛り上がりで日本もそうなるきっかけをつかんだのですが、いまやほとんど元の木阿弥に。そんな中で希望を託したいのが来年1月に始まるトップリーグ。先の両国や南アから一流プレーヤーが加入したチームが覇を競い合うので、いまから楽しみです。それまでに収束とは言えないまでも、コロナ禍がなんとか落ち着くといいのですが。

Facebook Post: 2020-10-14T07:51:41

雨の日のうっとうしさを吹き飛ばしてくれた映画

●「雨に泣いてる」━━柳ジョージ&レイニーウッドではありません。数日前、そんな経験をしたのです。10月7日夕刻から10日の夜半まで、4日間ぶっ通しの雨でいいかげんクサクサしていたとき1本の映画に思い切り号泣、心が洗われました。自粛期間中に録画しておいた『グリーンマイル』という作品がそれ。公開は1999年で、その年のアカデミー作品賞に選ばれています。
●原作は、好きな小説家の一人スティーヴン・キングの同名の作品(1996年)。全6巻というボリュームで、買いはしたものの結局ツン読に。3年後に映画化されたとき、ならばと思ったのですが、それもかなわず、気がついたら四半世紀の歳月が。しかしコロナ禍のおかげで、ようやく触れることができた次第。
●大恐慌下の1932年、アメリカ南部ルイジアナ州の刑務所、それも死刑囚収容棟が舞台です。トム・ハンクス演じる主人公はその執行吏。そこで出会った一人の黒人死刑囚が処刑されるに至るまでのさまざまな出来事がファンタジックに描かれています。願望と現実、優しさと残酷さ、執念と諦めのせめぎ合いとでもいうのでしょうか、人間世界の不条理を次から次へ突きつけられ心を揺さぶります。めっちゃ泣けるのですが、単なる感動とも大きく異なり、なんとも不思議な気持ちにさせられました。監督のフランク・ダラボンは、これも名作『ショーシャンクの空』で一躍名を馳せましたが、いかにも彼らしいテイストが全編に行き渡っています。
●この日の雨はひどく来客も宅配便の配達もなかったので画面に完全集中。3時間を超える長編ですが、あっという間でした。気がついたらコーヒー2杯と亀田の柿の種3袋がカラに。「心が洗われれば、まあいいか」と、無理やり自分を納得させました。「雨の日と月曜日」は映画に限りますね。

Facebook Post: 2020-10-12T13:58:26

池袋はブルックリンになれるか?

●3年半ほど前、池袋西口に開店したカフェ「egg」。キホン朝食メニューが中心で、卵料理やソーセージ、ハンバーガーなどが中心。ニューヨークのブルックリンに本店があるというのが売りで、私自身もカミさんもえらく気に入っていました。それが今年7月、東口の「Hareza Tower」1階に移転。不要不急の外は自粛という状況が続く中、ずっと遠ざかっていたのですが、ほぼ1年ぶりで行きました。
●ただ、以前とは店の趣きが一変。移転前は消防署と勤労福祉会館、言うならば地味な施設に挟まれた場所にあったのですが、今度はできてまだ間もない「8つの劇場がそろうアートとカルチャーの拠点 Hareza」の一角なので、当然といえば当然かも。このエリアの変貌ぶりを見ていなかったカミさんの妹が「ここはいったいどこ?」と目を丸くしていたほどで、まったくの別世界です。歩いている人たちも前とはまったく違います。食べ物屋の数もぐんと増え、選択肢も豊かに。
●さて、「egg」では名物のエッグロスコ(Eggs Rothko)を。バターをたっぷり練り込んだブリオッシュの中に有精卵、その上にホワイトチェダーチーズを乗せて焼き上げたものに、ケールのソテーとグリルトマトを添えた、この店の看板メニューです。肉好きの私は、ソーセージも足してもらいました。ナイフを入れると中から卵の黄身がとろけ出し、それにとろっとろのチーズとブリオッシュをからめながら食べるのですが、まあおいしいこと。ニューヨーカーの”いくさ飯”といった感じでしょうか。見た目以上の満腹感があり、食べ終わってから6〜7時間たってもいっこうにお腹が空いてきません。
●「Hareza」ができてからというもの、この一帯はかつてとまったく雰囲気が変わりましたが、それは歩いている人たちも同じ。「egg」発祥の地ブルックリンに肩を並べるまでには行かなくても、長い年月を経ればこの界隈が「アートとカルチャー」にふさわしい空間に姿を変える可能性もなくはないはず。「街が人を作り、人が街を作る」という言葉もありますからね。

Facebook Post: 2020-10-04T20:56:51

初めての板橋駅──私の「マイクロツーリズム」⑨

●東京に住んで50年を過ぎたというのに、一度も乗り降りしたことのない駅(23区内)がまだあります。京浜東北線の東十条、上中里、埼京線の板橋、十条、北赤羽、浮間舟渡、総武線の平井、常磐線では三河島、町屋、南千住、北千住、綾瀬、亀有、金町と、合計14駅も。今日(9月30日)は秋晴れ、久しぶりのマイクロツーリズムを思いつき、その一つ板橋駅に行ってみました。東口を出た真正面に新撰組の近藤勇の立派なお墓があるのにまずビックリ。明治9年に永倉新八らが、近藤勇と土方歳三の供養碑を建てたのが始まりらしく、板橋の地で罪人として斬首されたのにちなんでのことだといいます。
●そこから北へ向かってしばらく歩くと、突然フランス国旗🇫🇷を掲げた立派な建物が。「東京国際フランス学園」という看板からすると、インターナショナルスクールのようで、飯田橋にあった日仏学院が移ってきたのだそうです。さらにまっすぐ進むと、なんと、石神井川に突き当たりました。こんなところまで流れてきているのですね。川に沿って東に行った王子駅が今日のゴールですが、その東で隅田川に合流しているようです。
●このあたりは遊歩道が整備されていて、気分よく歩けます。「くぬぎ」「けやき」「もみじ」「さくら」といった名前の緑地があり、疲れたらひと休みもOK。さらに進むと、右手に古めかしいレンガ造りの建物がチラッと目に入りました。近くまで行くと、「国指定重要文化財 酒類総合研究所 赤レンガ酒造工場(旧醸造試験所第一工場)」の看板が。その手前にも印刷局男子寮など、旧大藏省関連の施設があったことからすると、この界隈は明治期以来国有地だったのでしょう。
●板橋駅を出発してかれこれ1時間、王子駅の手前を走る明治通りに架かる音無橋を降りたところに親水公園が。東京23区の中とは思えないような景色が目の前に出現し、またまた驚きました。前日はほとんど体を動かさなかったので何も頭にひらめかなかったのですが、今日はたった1時間余り歩いただけで言葉が浮かんできます。大げさな言い方かもしれませんが、人間、やはり動かないと何も生まれないことを改めて実感しました。と、ここで窓の外を見ると、晴れた夜空にくっきりと中秋の名月が。先日「バンクシー展」に行ったついでに買って帰った月餅をおいしくいただきました。

Facebook Post: 2020-10-01T21:41:16