初めての板橋駅──私の「マイクロツーリズム」⑨

●東京に住んで50年を過ぎたというのに、一度も乗り降りしたことのない駅(23区内)がまだあります。京浜東北線の東十条、上中里、埼京線の板橋、十条、北赤羽、浮間舟渡、総武線の平井、常磐線では三河島、町屋、南千住、北千住、綾瀬、亀有、金町と、合計14駅も。今日(9月30日)は秋晴れ、久しぶりのマイクロツーリズムを思いつき、その一つ板橋駅に行ってみました。東口を出た真正面に新撰組の近藤勇の立派なお墓があるのにまずビックリ。明治9年に永倉新八らが、近藤勇と土方歳三の供養碑を建てたのが始まりらしく、板橋の地で罪人として斬首されたのにちなんでのことだといいます。
●そこから北へ向かってしばらく歩くと、突然フランス国旗🇫🇷を掲げた立派な建物が。「東京国際フランス学園」という看板からすると、インターナショナルスクールのようで、飯田橋にあった日仏学院が移ってきたのだそうです。さらにまっすぐ進むと、なんと、石神井川に突き当たりました。こんなところまで流れてきているのですね。川に沿って東に行った王子駅が今日のゴールですが、その東で隅田川に合流しているようです。
●このあたりは遊歩道が整備されていて、気分よく歩けます。「くぬぎ」「けやき」「もみじ」「さくら」といった名前の緑地があり、疲れたらひと休みもOK。さらに進むと、右手に古めかしいレンガ造りの建物がチラッと目に入りました。近くまで行くと、「国指定重要文化財 酒類総合研究所 赤レンガ酒造工場(旧醸造試験所第一工場)」の看板が。その手前にも印刷局男子寮など、旧大藏省関連の施設があったことからすると、この界隈は明治期以来国有地だったのでしょう。
●板橋駅を出発してかれこれ1時間、王子駅の手前を走る明治通りに架かる音無橋を降りたところに親水公園が。東京23区の中とは思えないような景色が目の前に出現し、またまた驚きました。前日はほとんど体を動かさなかったので何も頭にひらめかなかったのですが、今日はたった1時間余り歩いただけで言葉が浮かんできます。大げさな言い方かもしれませんが、人間、やはり動かないと何も生まれないことを改めて実感しました。と、ここで窓の外を見ると、晴れた夜空にくっきりと中秋の名月が。先日「バンクシー展」に行ったついでに買って帰った月餅をおいしくいただきました。

Facebook Post: 2020-10-01T21:41:16