月別アーカイブ: 2020年9月

芸術の秋、というより食欲の秋!?

●コロナ禍が始まってはや半年。それが機縁となり、というのもおかしな言い方ですが、初めての体験を数々させてもらっています。その一つがオペラ。といっても、リアルではなくライブビューイングなので、とても安上がりなのが魅力。それをいいことに、金曜日はワーグナーの「さまよえるオランダ人」、そして土曜日がビゼーの「カルメン」と、2連チャンの離れ業をやってのけてしまいました。
●前者は、すべてのオペラの中でいちばん暗いと言われる作品。オペラにうとい私ですからアテにはなりませんが、実際そのとおりで、二度と観ることはないでしょう。「カルメン」のほうは楽曲にも親しみがあるせいか、初めての私もとことん楽しめました。それと、スペインのセビリヤを訪れたとき、作品にも登場するタバコ製造工場や闘牛場を見学したことがあり、親近感があったのかもしれません。
●ワーグナーで暗くなった気分を晩ご飯で晴らそうと、行ってみたのがトンカツ屋さん。築地の中心から少し離れたところにある小さな店で、どのお客も常連さん風。一瞬ビビりましたが、大将の人柄が親しみやすく救われました。初めての私たちにも気安く接してくださり、食べ方のアドバイスも。「最初は、真ん中のところを塩だけ振って。右側に移ったら、それに七味を少し足して食べてください。左側は醤油でもソースでもお好みで…」。結局ソースをまったくかけないまま完食。それでもおいしく食べられたのにはビックリです。
●心地よい満腹感にひたりながら店を出てブラブラ歩くと、目の前に隅田川と佃大橋が。美しい夜景に、暗さに思いっ切り落ち込んでいた気持ちもスカッと晴れました。私の場合、芸術の秋というより食欲の秋のほうがやっぱり合っていそう(笑)。

Facebook Post: 2020-09-28T19:06:48

映画も50年も間を置くと違って見える

●チャック・ベリーというアメリカの黒人ミュージシャンを知っていますか。1956年から58年にかけて「Roll over Beethoven」「School Day」「Rock and Roll Music」「Sweet Little Sixteen」「Johnny B . Goode」などの大ヒット曲を連発した“ロックンロールのレジェンド”とも言える存在で、ビートルズやローリング・ストーンズなどが彼の曲をカバーしたことで、私も知った次第。膝と腰を曲げて歩きながらギターを弾く独特の「ダックウォーク」を、先日スクリーンで久々に見ました。59年公開の映画『真夏の夜のジャズ』でです。ジャズフェスにロックンローラーを招くあたりに、その人気ぶりがうかがえます。それにしても、彼のイケ面は感動的!
●この映画は、ボストン郊外の高級リゾート地ニューポートで毎年夏におこなわれるジャズフェスティバルのドキュメンタリーで、私にとっては大学時代に見て以来ほぼ50年ぶりの2回目。初めてのときは、ルイ・アームストロングやアニタ・オディ、セロニアス・モンク、マヘリア・ジャクソンの演奏や歌にばかり注意が向いていたのですが、今回は全体を俯瞰することができました。
●印象的だったのは、観客席から見て取れる「1958年」という時代。コカコーラはすでに広く飲まれていましたが、マックやケンチキはまだまだローカルブランドの域。そのせいか。太った人はほとんどいません。Tシャツを着ている大人はまれで、男性は皆、袖付きのシャツ(+ジャケット)、女性は皆スカートでジーンズは皆無。また、観客の6~7割がタバコを喫っています。黒人の客はけっこういるものの、ヒスパニックやアジア系は皆無。ここ60年余の間にアメリカ社会が大きく変わったことを改めて実感しました。
●映画のあとはランチ。先日近江八幡チャンポンを食べたのと同じビルで見つけた秋田料理の店で、ハタハタ天ぷら定食を。とんぶりを乗せた冷奴が副菜で、いぶりがっこも。100点満点で75点くらいでしょうか。最後はやっぱり食べ物の話になってしまいました。すみません。

Facebook Post: 2020-09-24T15:40:26

私の芸術の秋は「バンクシー展」から

●いつもいつも食べ物ネタでは人格を疑われそうなので、今回はちょっと趣きを変えて。会期の迫った「バンクシー展」を観に、横浜まで行ってきました。多摩川を渡るのは1月3日以来、ほぼ9カ月ぶりです。会場は横浜中央郵便局の別館をリノベーションして生まれた新機軸のエンターテインメント施設「アソビル」の2階。1階部分は飲食店がズラリ並んでいるので、一瞬「えっ、ホントここでいいの?」と思ってしまうのですが、2階の展示場はそれなりの雰囲気。
●30分刻みの完全予約制ですが、どの回も満員のよう。広い会場、観覧は順不同、写真撮影もOKとあって気楽に楽しめそうなイメージですが、これがどうしてどうして、逆に疲れてしまいました。バンクシーの作品に秘められた、なんとも表現しがたい”重さ”がそれを後押ししているのかも。どう受け止めたらよいのか見当もつかない現代アート作品の展覧会ほどではないものの、バンクシーワールドは観る者をときに惑わせ、ときに不思議がらせます。もちろん、拍手したくなるほど共感を覚えることもあるのですが。
●ただ、過剰な商業主義や権威主義、横暴な権力主義に異を唱えるスタンスは共感できます。反戦、反ファシズムについても同じ。それにしてもイギリス風の社会風刺は独特の香りがあり、私たち日本人にはわかりにくい部分もあり、それが観る側の疲労感を増幅するのかもしれません。
●「バンクシー」の前に腹ごしらえをと、中華街へ。テレビのニュースで見た4連休の大混雑とはうって変わり、静かな空気におおわれていました(雨のせいもありますが)。久しぶりの排骨(パーコー)麺はとても”わかりやすい味”で満足至極。中秋の名月も近いので、お土産に月餅も少々買いました。結局は食べ物の話になってしまい、申し訳ありません。

Facebook Post: 2020-09-23T18:40:37

あんこのおいしい季節が到来──私の「マイクロツーリズム」⑧

●先週の月曜日、神田駅近くで所用があったので、ついでに蔵前でランチ、さらに日本橋堀留町の和菓子屋へというコースで車を走らせました。蔵前の店は2カ月前、浅草から浅草橋まで歩いたとき偶然見つけたもの。土曜日のランチタイムでしたが、30〜40人が行列していたのを見て、ネットで調べたところ、有機の食材だけで作ったメニューを提供しているのだとか。
●蔵前はいま注目のエリアらしく、若い人の姿が目立ちます。ほかにも、こじゃれたイタリアンやカフェがそこここに。この日はほとんど並ばずに入れたのですが、見立てどおり当たりでした。京都風というか、おばんさいを2品、メインを1品セレクトするスタイルで、名づけて「寝かせ玄米定食」。味はバッチリ・量もピッタリで大満足。
●堀留町の店は、以前から気になっていたところで、目的はどら焼き。体によいあんこを食べられたという点ではよかったのですが、味はいまイチかも。先日見たNHKの『ガッテン!』によると、小豆ににはでんぷんが多く含まれているのですが、注目すべきは、そのうちの「レジスタントスターチ(難消化性でんぷん)」。食べても消化吸収されず、便の量を増やして腸の蠕動(ぜんどう)運動を活発化させるそうです。腸内細菌のエサになったり、便に水分を与えて出しやすくしたりといった働きもあり、近年注目されているのだとか。あんこが何よりの好物である私にとってはありがたい内容で、最後までしっかり見ました。
●あんこと言えばもう一軒、東十条に「草月」という店があり、「うさぎ屋」「亀十」と合わせて”東京三大どら焼き”と呼ばれているそうです。次回は「草月」に行ってみましょう。「マイクロツーリズム」といっても、私の場合、行き先の決め手はやはり食べ物。夏の暑さともおさらばし、食欲の秋はすぐそこで、楽しみが増えます。

Facebook Post: 2020-09-22T16:05:22