60年前のアメリカも、そして今も

●モータウン(Motown)。50代後半を過ぎた音楽ファンでその名を知らない人はいないでしょう。歌手も作詞家・作曲家、バックバンド、スタッフもすべて黒人というデトロイトのレコード会社です。私も中学に入ってから大学1、2年生の頃まで、その虜になっていました。スモーキー・ロビンソン&ミラクルズ、マーヴェレッツ、テンプテーションズ、フォートップス、マーヴィン・ゲイ、スティーヴィー・ワンダー、ジャクソン5、スープリームスなど、ラジオの音楽番組からはいつも彼(女)らの声が聞こえてきたものです。
●そうした並み居る大スターの生みの親ベリー・ゴーディ.Jrの語りを軸にモータウンの歴史を描いたドキュメンタリー映画『Hitsville: The Making of Motown』を観ました。モータウンサウンドの全盛期は1960年代ですが、それはベトナム戦争や公民権運動の高まりと重なり合います。彼らが3カ月に及ぶ国内ツアー(なんとバスで!)に出たときのこと。南部ではトイレも水飲み場も黒人は別、レストランに入ったとたん警官から頭にピストルを突きつけられ震え上がったといったエピソードも出てきます。バスでのツアーを余儀なくされたのも、黒人を泊めてくれるホテルがほとんどなかったからで、ベッドで眠ることができたのは2晩だけだったか。
●それにしてもアメリカというのは不思議な国です。野球やフットボール、バスケなどスポーツでも音楽でも黒人が優れた才覚を発揮し、そのおかげでさんざん楽しませてもらっているのに、白人はなぜ素直に感謝・尊敬できないのだろうかと。ましていまは、黒人の貢献度も当時よりはるかに高いはず。映画の中でもスティーヴィー・ワンダーが「音楽に黒人とか白人とかの区別はないんだけどね」と語っていましたが、誰だってそう思うのではないのでしょうかね。そう言えば、昨年のラグビーW杯に出ていたアイルランドとスコットランド、ウェールズには黒人選手がいませんでした。アングロ・サクソンというのは黒人が嫌いなのかなあ。
●今日行ったのはグランドシネマサンシャイン。昨年7月オープンの大きなシネコンですが、建物を探し当てるまで15分ほど、あたりを徘徊してしまいました。その前に食べたのが青江三奈の歌にも出てくる「美久仁小路」の古びた定食屋でしたから、頭がサッと切り替わらなかったのかも。まして、食べたのがサンマ定食とくればね。でも、おいしかったですよ。

Facebook Post: 2020-10-14T18:43:04