投稿者「wpadmin」のアーカイブ

久しぶりに髪を切ってもらい心身ともさっぱり

●かれこれ20年近くお世話になっている表参道の美容院まで、髪を切りに行きました。70日余もほったらかしにしていたので、伸び放題。すべては引っ越しのおかげ。来る日も来る日も荷ほどきに明け暮れ、日にちが過ぎてしまったというわけです。不思議なもので、家から近くても、まったく知らない店で髪を切ってもらおうという気にはなれませんでした(な〜んていうほどのボリュームはないのですが)。
●それにしても、切り終わったときの爽快感といったら、いわく言いがたいものがあります。それにしても今日は歩きに歩きました。ホント久しぶりのことです。行きは渋谷駅で降り、7月にリニューアルオープンした「東急フードショー」をひとめぐり。岐阜県中津川の老舗松月堂が期間限定で店を出していたので、名物の栗むし羊羹をゲット。そこから青山通りを表参道まで。さらに、ランチにと決めていた外苑前の蕎麦屋→原宿駅と、これだけで8千歩です!
●外苑前の蕎麦屋は軽井沢に本店がある店。秩父宮でラグビーの試合を観たあとは、かならずと言っていいほど食べに行っていました。ランチタイムの定食は、前菜(3品)とミニ天丼&ミニおろし蕎麦という組み合わせで1300円というお値打ち価格。
●歩いている途中、表参道の一角で「覚王山 フルーツ大福」の看板を見つけビックリしました。名古屋出身者にとって「覚王山[かくおうざん]」は、東京で言うと「田園調布」とか「松濤[しょうとう]」級の高級イメージがある地名(それほどでもないか)。そこで創業した和菓子の店が進出してきたようです。写真のような商品で大当たりしているようで、ここ数年で50店以上も新規出店しているとのこと(わたし的にはあまり好みではありませんが)。それにしても、東京の人がいきなり「覚王山」という文字を目にして、おーっ! と思うのかなぁ。 ちなみに、昼飯前だったので店には立ち寄りませんでした。
●家に戻ると、仙台の知人から素晴らしいものが届いていました。石巻名物の「白謙[しらけん]かまぼこ」です。震災後のボランティア活動で何度となく現地に足を運んでいる中で出会ったのですが、いまではすっかりファンになってしまいました。ちょっと肌寒くはありますが、今晩はビールがおいしく飲めそうです。(2021/9/8)

Facebook Post: 2021-09-09T18:02:39

どこのリゾート地かと、一瞬錯覚してしまいそう

●心地よいせせらぎの音。水面をたゆとう朝もや。満開のサルスベリ。サルビアにカンナ。家から歩いて5分足らずのところに、リゾート地を思わせるような自然の景色がありました。朝から30℃近い暑さが続く中、その辛さを忘れさせてくれる自然との出会い。引っ越しのドタバタ劇もようやくピリオドを打ちつつあるようです。
●自慢ではなく、70年余の人生で「疲れ」とはほとんど無縁で過ごしてきた私。でも、今回の引っ越しはそういうわけには行きませんでした。原因はただただ荷物の多さ。買った物、頂戴した物を問わず、いつかは何かの役に立つという思い込みが強いため、なんでもキープしておく癖(へき)があるのです。引っ越し準備のさ中、カミさんからそれを指摘されても耳を傾けませんでした。物質的に恵まれない環境で育った身にとって致し方ないことなのでしょう。
●もちろん、男特有の収集癖も影響しています。旅先で訪れた博物館・美術館などの入場券、各地の観光パンフレットやエリアマップ、宿泊したホテル・旅館のステーショナリー……。なんと中学生の頃からそれは始まっていたようで、修学旅行で泊まった箱根の冠峰楼やら東京・本郷の鳳鳴館のリーフレットには自分でもビックリ。当然、量もハンパではありません。ただ、昨年春からうち続くコロナ禍の中、そうした物を泣く泣く😢処分してきたので、多少は救われているのかも。
●それでもまだ捨て切れずにいるものもあります。いずれFBでも披露しようかと思っていますので、楽しみにしていてください(笑)。まあ、こんなことを書けるようになったのも、疲れがかなり癒えてきた証でしょうね。(2021/8/28)

Facebook Post: 2021-08-29T06:20:46

段ボール箱との格闘にようやくピリオド

●いつの間にかツクツクホウシやミンミンゼミ、夜になればコオロギの鳴き声がするようになりました。17年間住んだ豊島区から東久留米市に引っ越し、今日で35日。なにせ引っ越し作業自体を2回に分けておこなうほどで、最初の3週間は山のように積まれた段ボール箱がなかなか減らず、途方に暮れる始末。しかし、ここ1週間で一気に加速がつき、最終段階までたどり着きました。●我が愛するキリンの母子(母親の背丈が2m近いぬいぐるみです!)の“定住地”も絵・版画・ポスターの額を掛ける場所も決まるなど、やっとひと息つけた感じがします。前の家を離れるにあたっては、物を捨てるのを基本スタンスにしつつも、引っ越し先での住まい方がどうなるかわからないので、「こんなもの……」と思った物もかなり持っていきました。実際、こちらで粗大ゴミをほぼ毎週出しつつも、その一方で思わぬ役に立ったものもあります。●それにしても70歳を越えてからの引っ越しはやはりキツい! それでも、考えようによっては新しい空間をゼロから作り出す作業は本を書くのと同じ。来る日も来る日も朝から同じようなことの繰り返しが続きましたが、疲れはしても飽きることはありませんでした。やはり“趣味・引っ越し、特技・荷造り”の性分は変わっていないようです。●日一日とテンションも上がり、おいしい十割そばの店に行く余裕と。今週半ばには来客の予定もあるので、それがとりあえずの最終ゴール。でも、新しい暮らしが始まると、あちこちで不都合が出てきたりするのが常で、まだまだ油断はできません。一日も早く「住めば都」の心境を味わえるようになりたいものです。

Facebook Post: 2021-08-22T21:27:21

マンゴー🥭に桃🍑、そしてりんご🍎ジュースが

●お中元の季節といえばそれまででしょうが、同じ日に集中すると何やらメッセージ性を感じてしまいます。”齢[よわい]70の引っ越し、がんばれ”と。5月の連休明けから始めた準備もそろそろゴール間近。ここ半月は荷造りも本格化し、悲鳴をあげかけていた体にはありがたい差し入れで、疲れも吹き飛びそうです。昨日は気温も35℃近くまで急上昇、ホント救われました。
●それにしてもこの年齢での引っ越しは…。予想はしていたものの、階段の昇り降りのキツさといったら。昨年の2・3月も、6千冊の本を処分するため同じような毎日が続きましたが、今回ほどではありませんでした。コロナ禍の自粛生活が知らずしらずの間に足腰を弱めていたようです。
●引っ越し先の収納能力を考え、今回は2千冊の本を処分。読まないまま別れを告げるものも多く、断腸の思いがします。いまの家には17年間住みましたが、よくもまあここまでというほど、物が増えていました。そちらも捨てたり人に譲ったり、はたまたメルカリで売ったり。ただ、それなりに楽しめたのが救いかも。
●3時のおやつにマンゴーをいただきひと息ついているところに、「ごっくん馬路[うまじ]村」が届きました。実はこれ、私の大好物。ゆず+ハチミツの清涼飲料で、冷えるまで我慢できず、ごっくんしてしまいました。以前はガラス瓶に入っていましたが、アルミの容器入り。個人的にはガラス瓶のほうが好きですが、そんなことを忘れてしまうほど、さわやかでおいし〜いんです。銀座の「おきゃく(高知県のアンテナショップ)」に行けばいつでも買えますよ。明日は桃とりんごジュースでがんばろう!(2021/7/11)

Facebook Post: 2021-07-11T06:55:41

今週は、自分でUBER EATSしてしまいました

●「銀座」の名がつく商店街・繁華街は、全国に350ほどあるのだとか。私がいま住む東京・豊島区にも、ショボいとはいえ「長崎銀座」があります。生来外出好きの私にとって銀座は格別。憧れがあるのでもなければコンプレックスを抱いているわけでもないのですが、銀座に用事があると、なぜか気持ちがはずんでしまいます。6月22日は、3カ月に一度受信しているクリニックの予約が12時。その前に築地に立ち寄り、最近知った海苔弁当の店で夕食をテイクアウトしようと、開店(11時30分)少し前に行くと早くも行列が。3種類4個をリュックに入れると、自前のUBER EATS に変身です。
●当初は、このあと築地(銀座ではありませんよ!)木村屋で名物のあんパンとカレーパンを買って帰るつもりでしたが、なんと6月17日をもって閉店。残念なことをしました。仕方なく、”二番手”のSwan(銀座2丁目)で惣菜パンをいくつか買うと、開店ウン周年の記念品が。ありがたく頂戴しました。名古屋出身の私、この種の景品にはめっぽう弱いのです。
●話のついでに、20日の父の日のことも。ヒマワリの花、キリン一番しぼり、トップスのチョコレートケーキ。ヒマワリの花をいただきました。うれしいですね〜。とくにトップスは、51年前に上京して以来のファンなのでテンションが大幅アップ。構造上、このケーキは両端がいちばんチョコレートを楽しめるようになっているのですが、孫に先を越されてしまいました。
●そう言えばその前日も、ジムの帰りに池袋のデパートで開催されていた「福岡よかもんフェア」へ。お目当ては銘菓「博多通りもん」です。誕生してまだ30年も経っていないのですが、2001年からまで20年連続モンドセレクション金賞を受賞しており、07年以降は最高ランクの特別金賞。『博多学』の取材で福岡市内を駆け回っていたころはさほど有名でもなかったのですが、その後あっという間にメジャーに。東京で手に入れるには、この種のイベントに足を運ぶしかありません(もちろん通販もありますが、博多の香りがもの足らない感じがして)。値段も安いのでおすすめです。ついでに買った「ごまサバ弁当」も美味でした。(2021/6/23)

Facebook Post: 2021-06-23T22:55:11

宮城・気仙沼のソウルフードにトライしてみましたが……

●先週土曜日、ジムの帰りに昼食用のパンでも買おうと、池袋の駅近くにある店に向かいました。するとその手前に宮城ふるさとプラザが。そうだ、カミさんの好物「萩の月」でも買ってあげようと、中に入ってみたのですが、ホヤの特売コーナーはあったものの、「萩の月」は探しても見当たらず。月に2、3回、不定期で販売すろといいます。前回買えたのはラッキーだったということですかね。
●あきらめて帰ろうとしたとき目に飛び込んできたのが気仙沼の”ソウルフード”と言われるクリームサンド。いまのNHK朝ドラの舞台にもなっている気仙沼にはなんとなく親近感があり、クルミとゴマの二つをつい買ってしまいました。地元で買うより5割高いのは輸送コストを考えれば当然かも。家に帰って食べてみましたが、味はいまひとつでした。
●その原因の一つはマーガリンを使っていることでしょう。マーガリンに含まれるトランス脂肪酸は、過剰摂取すると心筋梗塞など冠動脈疾患を増加させる可能性が。それを知った四半世紀ほど前から、値段は高くてもバターに変えましたが、同種同類の商品で安いものは、たいていマーガリンが使われています。
●それにしても、池袋の人出の多さといったら。緊急事態宣言下にあるとはとても思えぬ混雑ぶり。半月ほど前にワクチンを接種しましたが、 来週2回目を打つまでは丸腰状態なので、油断は禁物。昨日・今日と(真)夏日とあって、マスクが息苦しくてたまりませんが、明日9日は高校の同窓・同期の友の展覧会で、銀座まで足を運ぶ予定です。(2021/6/8)

Facebook Post: 2021-06-08T22:04:10

2日連続で文化漬け──私の「マイクロツーリズム」⑳

●初夏の心地よい日を浴びながら自宅を離れ、文化にひたってきました。6月1日は目白の自由学園明日館で講演会、そして昨日は上野・国立博物館の鳥獣戯画展。講演のタイトルは「歴史的建造物の楽しみ」。この種の建物はときおり、修復作業のため大々的な工事がおこなわれます。工期もハンパない長さです。
●私のような貧乏性は、そうした場面に出くわそうものなら、「せっかく来たのに」とガックリきてしまうのが通例。何年か前、奈良の唐招提寺を訪れたときがそうでした。でも、講師の明日館副館長・福田竜さんはそうした受け止め方をやんわり戒めてくれました。そうしたときにしか目にすることのない景色に触れられることもあれば、建物の骨組みなど、ふだんなら見られないものに接する楽しみもあると。
●フランク・ロイド・ライトの設計であまりに有名な明日館も今年で築後100年。たびたび存続の危機に瀕しながらも保存が決まり,重要文化財に指定されてからは動態保存=使いながらの保存に取り組み、多くの人が訪れる施設に生まれ変わったといいます。春のお花見会、結婚式、テレビドラマやCMの撮影など、利用のされ方も多様。近代建築物なので、神社仏閣よりつぶしの利いた利用のされ方が可能なのでしょう。
●鳥獣戯画は、小学3年の孫にせがまれてのこと。期間が緊急事態宣言とすっかり重なってしまったため、一時はあきらめていましたが、なんとか予約できました。会場は予想より混んでいましたが、それもそのはず、全4巻一挙公開は史上初ですから。第1巻は長さ11.5メートルを越える巻物ですが、それを”動く歩道”に乗ったまま観られるというアイデアも大ウケ。もっとも孫は、観覧後のお土産買いのほうが楽しかったようですが。(2021/6/2)

Facebook Post: 2021-06-04T09:55:53

桃・栗3年、柿8年……といいますが、ビワは?

●朝、拙宅2階の仕事場から庭に目をやると、黄色いものがチラッと見えました。「ひょっとして……」と、急いで下に降り木の下まで行くと、小粒ですが、なんと20個近くビワの実が成っているではありませんか! ”淡い夢”がかなったのがうれしく、シャッターを押しました。
●琵琶は私の大好きな果物の一つです。リンゴやバナナのように年がら年中食べられるのとは真逆で、5月半ばから6月にかけて、ほんのひと月ほどの間しか食べられません。貴重感・稀有感という点では、名の知れた果物の中でもかなり上位にランクされるでしょう。
●10年ほど前だったか、家で食べたビワの種を遊び半分で庭に埋めたところ、すくすくと育ち、いまでは5メートルほどの高さに。剪定[せんてい]など、とりたてて手入れをしていたわけでもないのに、その成長ぶりには感心していました。とくに、葉っぱの大きさは驚くばかり。でも、実は成らないだろうと思っていたので、正直びっくりしました。ちなみに、「桃栗三年、柿八年」といいますが、そのあとは「琵琶は九年で成り盛り、梅は酸[す]い酸い十三年、柚子[ゆず]の大馬鹿十八年」と続くそうです(諸説あり)。
●「少し間引いてやらないと大きくならないんじゃない」と家人が言うので、明日は脚立を使って手を伸ばしいくつかもぎ取っておきましょう。食べられるかどうかなどは二の次、とはいいつつも、多少は期待しています。結果は後日。(2021/5/31)

Facebook Post: 2021-06-01T08:56:40

映画「いのちの停車場」が教えてくれた人間愛の重み

●東映の会長をされていた故岡田裕介さんとのご縁で、「いのちの停車場」の試写を観させていただきました。東京の大学病院を辞め故郷・金沢にある在宅医療専門の「まほろば診療所」に移った女医(吉永小百合)が主人公。
●末期ガンや難病にさいなまれる人が人生の最期を迎える病者が選択する在宅医療では、治療する側・される側がそれぞれのホンネがぶつかり合います。病者の生き方を第一に考える「まほろば」のスタンスは、治療・救命を重視する通常の医療とは大きなへだたりが。病[やまい]を媒介として生まれる家族愛にも通じる絆、治る・治らないとは別次元の、人間のありようを深く考えさせられました。「まほろば」とは古語で、「素晴らしい場所」「住みやすい場所」「楽園」などを意味する古語。でも、それと病気が治ることとはイコールではないようなのです。
●1年以上にわたって私たちを苦しめているコロナ禍に対処する首相の言葉、話しっぷりは「覚悟に欠けている」と批判されますが、それより以前に、人としての「愛」が感じられません。見えるのは、「何がなんでもオリンピックはやる!」という姿勢ばかり。3回目の緊急事態宣言の中途半端な期間設定にはそれがさらに露骨に出ています。
●と怒りたくても、それをどこにぶつけたらいいのやら。政府がどんな方針を打ち出そうが、都が何を要請しようが、最後の砦は自分を守る意思と行動。まずは免疫力のアップですね。試写会のあと手土産で頂戴した松花堂弁当は、見ただけでパワーをもらえそうな感じがしました。それにしても、こんな贅沢なお弁当があったとは!(2021/4/24)

Facebook Post: 2021-04-25T09:47:38

最後の宿・草津にはガッカリ──中山道バスツアー⑥

●琵琶湖の東岸、近江富士の脇から日が昇り始めました。ツアーもいよいよ終わりに近づき、6日目の今日は電車での移動。琵琶湖畔のホテルを出発、JR大津駅から草津駅へ。草津は中山道と東海道とが分岐する交通の要衝で、本陣・脇本陣が2軒ずつ、旅籠が70軒以上という大きな宿でした。
●いまも江戸時代の立派な姿をとどめる本陣は、現存する中では最大規模。吉良上野介、浅野内匠頭[たくみのかみ]、土方歳三、徳川慶喜など、誰もがその名を知っている人物も宿泊しています。しかし、残念なのは周囲の光景。隣も向かいも、いま片っ端から高層マンションが建設されているのです。街並み保存とは真逆の状況にガッカリしてしまいました。
●たしかに、大阪梅田からJRで1時間以内、本陣のあるあたりは駅から徒歩圏内ではありますが、これはないでしょう。江戸時代を彷彿させる建物も何軒か残ってはいるものの、街道としての味わいは台無し。観光より開発を重視する姿勢が露骨に感じられます。逆に言えば、観光をアテにしなくても経済的に成り立つのが草津なのです。
●いささか興をそがれた心持ちで大津に戻りましたが、午後訪れた三井寺[みいでら](正式には園城[おんじょう]寺)を歩いたことで持ち直しました。比叡山延暦寺と何百年にもわたって争いを続けたことでも知られていますが、豊臣秀吉、毛利輝元、徳川家康など、錚々たる武将の寄進した建造物が境内各所に。高台院(秀吉の正室)の寄進によって建てられた金堂は国宝で、その姿は優雅のひと言。(2021/4/15)

Facebook Post: 2021-04-17T21:01:49

半世紀ぶりに訪れた大井と醒ヶ井──中山道バスツアー⑤

●昨日は馬籠宿から中津川宿を経由し、大井宿(恵那市)の旅館「いち川」泊。江戸時代は40軒ほどあった旅籠[はたご]のうち、いまでも続いているのはここだけなのだとか。夕食のときは、14・15・16代目の女将がそろって挨拶。客は私たちのツアー参加者だけ─それもおそらく久しぶりだったはず─でしたから、けっこう気合いが入っていました。
●今日は美濃路をさらに西へ。まずは、中山道三大難所の一つ木曽川の渡しがあった太田宿。幕末期に水戸天狗党の首領・武田耕雲斎も訪れたという本陣と脇本陣(国の重要文化財)をじっくり見学しました。木曽川もここまで下ると、川幅もぐんと広くなります。日本ライン下りの出発点で、小学生のとき家族で来たことを思い出しました。終点の犬山で下船し、川原で昼のお弁当を食べた記憶があります。お弁当といえば今日の昼食は、その名も「和宮御膳」。和宮が太田宿に泊まられたとき本陣で供された食事の一部を再現したものなのだとか。
●太田宿の次に訪れたのは垂井[たるい]宿。ここに立ち寄ったのは、たぶん時間調整のためでしょう。ツアーには、そうしたネックがあることを覚悟しておく必要があります。その次に訪れた醒ヶ井[さめがい]宿のほうがよほど見でがありました。この町に昔からある養鱒場を、中学生の頃だったか家族旅行で訪れたことがあるので、55年ぶりです。
●中山道をしのばせる建物などは皆無ですが、夏でも涼しさを感じさせるというバイカモ(梅花藻)が自生する清流=地蔵川の素晴らしいこと。「古事記」にも登場する透き通るような流れを見れば、旅人も疲れが吹き飛んだのではないでしょうか。醒ヶ井から大津のホテルまでは、夕刻にもかかわらずすんなり。夕食は滋賀県が本家のチャンポン亭で済ませました。(2021/4/14)

Facebook Post: 2021-04-16T21:23:00

木曽路のハイライト=妻籠と馬籠──中山道バスツアー④

●ツアーもあっという間に中日[なかび]。今日の目玉は木曽路を代表する観光スポットでもある妻籠[つまご]宿と馬籠[まごめ]宿です。このあたりは、桜より花びらがふっくらしている花桃が満開。白、薄紅色、その二つが混ざり合ったものと、バラエティーにも満ちています。雨模様の空に、鮮やかさもひとしおでした。
●さて妻籠は、全国で100を超える重要伝統的建造物群保存地区の嚆矢[こうし]。1976年9月といいますから、半世紀近くも前に、「売らない・貸さない・壊さない」を基本スタンスにして街並み保存をスタートさせました。電柱をすべて家屋の裏へ回して隠すなどして、江戸時代の街の姿を復元したのだそうです。
●いまでは当たり前の電線地中化ですが、その技術がなかった当時としては、日本で初めての試み。欧米では観光地・市街地を問わず、電柱は目に見えないのが当たり前なので、空間全体がスッキリしています。自動販売機やケバい看板がないのも、それにひと役買っているはず。
●それにつけても、妻籠の先見性には脱帽です。お隣の馬籠や奈良井もそれに習って街並み保存に努め、宿場町としての魅力をいまに保っています。妻籠も馬籠も、家々は出梁[でばり]造りの二階屋、竪繁(たてしげ)格子、卯建[うだつ]など、江戸時代のまま残され、”とってつけた感””人工感”がありません。インバウンドといっても、欧米からの観光客が多いのも、そのあたりに深い共感を覚えるからでしょう。馬籠で食べたランチ=純日本風の栗おこわ定食も、どこか国際性を秘めているように感じました。(2021/4/13)

Facebook Post: 2021-04-15T22:36:24

信州の真ん中を横断──中山道バスツアー③

●今回のツアーは長野県のど真ん中をほぼ東西まっすぐに横断します。いまは鉄道や車があるので、さほど困難もなく行き来できますが、江戸時代はただただ歩くだけ。それを追体験しようと、実際に中山道を歩いて楽しむ人もいるようです。今回はA地点からB地点まで、次回はB地点からC地点までといった風に、何年もかけて全行程を歩くのだとか。
●ただ、江戸時代の中山道の道筋どおりに歩こうとしても、実際には道が消失してしまっている箇所が少なくありません。近代に入り、鉄道や道路を整備するとき、もともとあった道を埋めたり壊したりしたためでしょう。道は残っていても建物や施設の一部あるいはすべてが姿を消しているケースも。その地の人々、自治体がどのような意識を持っていたかがいまになって問われているのです。
●さて、今日は御柱[おんばしら]で有名な諏訪大社下社秋宮[しもしゃあきみや]、木曽路の入口・贄川[にえかわ]宿の関所、奈良井宿がメイン。諏訪大社の境内に立つ御柱を見たときは、こんなに太くて長い木を4本も、最大斜度35°という坂を、それも長さ100mにわたって落とすことを想像すると、怖くなりました。
●奈良井宿は、長さ1kmにわたって古い街並みがそっくり残されているのが圧巻。東海道にはこれほどまでに往時の姿をとどめている宿はありません。ポイントは電柱と電線を見えなくしていること。観光地としての”本気度”がよくわかります。ただ、コロナ禍が始まる前は多くの人が訪れていた奈良井宿もいまはひっそり。飲食店や土産物店も8割かたは閉じていますが、なんとか持ちこたえてほしいものです。(2021/4/12)

Facebook Post: 2021-04-14T23:09:34

上州は桜が満開でした──中山道バスツアー②

●今日は上州路をたどります。高崎を出て軽井沢を通過。軽井沢が宿場町だったとは、今回初めて知りました。最初にバスを降りた板鼻[いたはな]宿は、幕末期、皇女和宮が14代将軍家茂[いえもち]に嫁ぐに際し、京から江戸に向かう途中で宿泊した町。中山道を選んだのは、東海道に比べ人通りが少なく警護がしやすい、一般の往来の妨げになる影響も少ないためだとか。行列は3万人とも5万人とも8万人とも言われますが、いずれにせよ当時としてはとんでもない数。街道沿いの村は上を下への大混乱だったそうです。
●2カ所目の安中[あんなか]宿では、当時の下級武士が住んだという長屋がユニークでした。彼らが心身鍛錬のためにおこなった「遠足[とおあし]」が、日本のマラソンの始まりなのだとか。のどかな環境の中、そうしたことでもしなければ体がなまり、武士としてのアイデンティティーまで失ってしまったかも。
●3カ所目の追分宿は、中山道と長野方面に向かう北国[ほっこく]街道との分岐点。遊歩道が整備され、ここまで訪れた宿のうちではもっとも風情がありました。追分宿から上州を過ぎ碓氷峠を越えると信州軽井沢。軽井沢が宿場町だったとは! 昼食は千曲川畔にある創業104年の川魚料理店。塩名田[しおなだ]宿はいたるところ桜が満開で、はからずも今年二度目のお花見に。
●そのあと望月宿、和田宿を経て、下諏訪宿がこの日の宿泊地。湖畔はきれいに整備され、桜並木もいまを盛りと咲き誇っています。標高が平均1100mの長野県ですから、到着した時間帯がちょうど日没と重なり、湖畔からのながめは最高。明日も好天に恵まれそうです。(2021/4/11)

Facebook Post: 2021-04-13T22:14:50

埼玉で新発見──中山道バスツアー①

●先週の土曜日から「中山道69次バスツアー」に参加しています。コロナ禍の中、6泊7日という長丁場。不要不急もいいところですが、ままよとの思いで出発しました。中山道の宿場で知っているのは木曽の妻籠[つまご]、滋賀県の草津くらいのもの。最初の宿場が板橋だと知ったのも、つい何年か前のことです。
●昨年12月の「東海道53次バスツアー」と同じく、東京駅から出発し起点の日本橋へ。しかし、次の下車地が埼玉県の蕨[わらび]だったのには驚きました。いまでこそ東京駅から電車で30分ほどですが、日本橋からの距離は4里少々=約20km。初日に歩く距離としては頃合いなのでしょう。浦和や大宮をしのぐ宿場だったのは当然かも。
●3カ所目の埼玉県桶川[おけがわ]も、蕨ほどではないものの、宿場町の痕跡は希薄です。東海道より川止めのリスクが少ないので、西から江戸にのぼる際は中山道を選ぶ旅人も多かったとのこと。それでも”裏街道”のイメージはぬぐえません。この日最後の訪問地・深谷は渋沢栄一の生誕地としてすっかり有名に。生まれ育った家、駅前と、そこかしこに銅像・石像が。古希や喜寿を祝って贈られた建物が東京から移築されたりなど、町は渋沢一色なのですが、中山道との結びつきとなるといまひとつの感があります。こうして初日は、”埼玉新発見”に終始しました。
●1日目の宿泊地は群馬県高崎。ここも初めて訪れた町でしたが、さすが中核都市、たいそう繁栄しているようです。「どの路でも足の向く方へゆけば必ず其処に見るべく、聞くべく、感ずべき獲物がある」とは、国木田独歩「武蔵野」の一節。ツアーなので、足は向かわされてしまうことになりますが、それでも「獲物」にはありつけるはず。ガンバロ〜!
(2021/4/10)

Facebook Post: 2021-04-12T21:28:56

人間の体はコンディション維持に手間がかかる

●日本国内では最高のプレーが観られるラグビー・トップリーグも今年が最後。コロナ禍の中、テレビで中継と録画をしっかり楽しんでいます。2019年のW杯で活躍した海外の一流プレーヤーの参戦もあり、リーグ全体のレベルが大幅アップ、先週末も素晴らしいゲームを観られました。全勝どうしでぶつかったサントリーvs.クボタ。司令塔ボーデン・バレットのトライでサントリーが勝ちましたが、胸がスカッとしました。
●一方、ヨーロッパのチャンピオンズカップもいよいよスタート。各国のクラブチームどうしで覇を競う(サッカーのUEFAチャンピオンズリーグのようなもの)大会ですが、その1回戦で、松島幸太朗の所属するフランスのASMクレルモンがイングランドのワスプスと対戦。松島がトライを決めて勝ち、試合終了。バレットも松島もW杯で大活躍したので、ファンならずとも顔には見覚えがあるでしょう。
●昨日は早起きして庭に出てみると、ハナミズキがひと晚でほぼ満開に。拙宅の裏に生えているジャスミンも花が咲き始め、あたり一帯、いい香りがただよっています。写真のソロモンシールなど、何も手入れせずとも毎年こうして咲いてくれるとは、ありがたい花ですね。
●ただ、人間の体はそういうわけにはいきません。この1年間、運動量が大きく減っているのは間違いなく、そのうちツケがまわってくるのではないかと気がかりです。昨年はシーズン早々で打ち切りとなったラガーマンたちも、コンディション維持が大変だったはず。それでも目標が明確な分、シーズンが佳境に入り、鋭いプレーを見せてくれています。この先ますます楽しみになりました。

Facebook Post: 2021-04-09T22:08:16

きちんとケアしてやれば、花は裏切らない

●外出らしい外出もしないまま過ごしたこの1週間。それでは体によくなかろうと、近くの哲学堂公園まで歩いてみました。桜もそろそろ散り始めてきたせいか、人影もまばら。しかし、公園の中は季節の花が競い合うようにして咲いています。
●それにしても、公園の名前としてはなんともユニークだと思いませんか? そもそもは、哲学館(現東洋大学)の創設者である井上円了が、ソクラテス、カント、孔子、釈迦を祀る「哲学堂」をいまの地に建てたのが始まり(その後この建物は「四聖堂」と改められた)で、それがそのまま公園の名になったのだとか。園内には唯物園・唯心庭だの、真理界、哲理門だの、いかにもそれっぽい名前の建物や石像・灯籠などが全部で77もあります。だからといって、頭が哲学し始めるわけではありませんが(笑)。
●家に戻ってみると、拙宅の狭い庭も”花博覧会”状態に。沈丁花、レウィシア(岩花火)、プリムラ(桜草)、マーガレットが、鉢の中ではありますが、小さな花びらが懸命に咲いています。いちばんうれしかったのは、昨年、隣区の農協園芸売店で買った藤。上品な紫色の花が輝いて見えました。鉢植えが2年続いて咲くと、なんだか得をしたような気がします。
●そういえば、沈丁花も岩花火も桜草もマーガレットも皆、鉢植え2年目。きちんと手入れしてやれば期待を裏切らないのですね。木や草花は、人間より正直なようです。昨日の朝日新聞にニューヨークタイムズのコラムが転載されていましたが、タイトルは「パンデミック宣言1年 自然守ることが人類守る」。野生動物を食べること、その販売を野放しにしていること、森林破壊により都市化を進めることの三つをストップするのが「真に持続可能なワクチン」であると主張しているのですが、そのとおりかも。

Facebook Post: 2021-04-03T09:40:59

“ついでに”がハマったときの幸せ感 PART2

● 窓の外を見ると、おぼろ月が。ふと思いつき、拙宅の近くに民家の庭に植わっている中でも指折りと思われる大きな桜(左右15m・高さ10m以上)があるので、見に行ってみました。月と桜━━なかなかいい取り合わせです。昨日蘆花恒春園で見た満開の桜と菜の花の絨毯も心が浮き立ちましたが、1たす1が2を超えている感じがします。
●さて、もう一つの”ついでに”は、世田谷文学館&蘆花恒春園からさほど遠くないところにある洋食レストラン。人気番組「孤独のグルメ」で紹介されていた中で「これはぜひ」と思っていた店の一つです。予約不可のため直接行ってみると、開店10分後だというのにもう何人か並んでいました。しばらく待ってランチをいただいたのですが、これが大当たり!
●最初に出される4時間煮込んだミニスープは、ジャガイモなど野菜が溶け込み、幅広かつ奥深の味わい。メインは、牛ヒレのステーキにチーズを乗せ熱いビーフシチューに落とした「ア・レ」という料理。それぞれの持ち味が生き、素晴らしいハーモニーを奏でてくれます。店は住宅街にあるため、客の大半は近くに住む老夫婦やオールドレディーのグループ。斜め向かいにテニスクラブがあるので、そのメンバーさんかもしれません。
●驚いたのは、いまどき珍しく、マッチが置いてあったこと。昔はどこの飲食店でも、レジ横あたりのカゴに山積みされていました。男性の3分の2がタバコを吸っていた時代の話です。「花もだんごも」手にすることができ、今回の”ついでに”の二段重ねはうまくツボにはまりました。こんなときの充実感は何ものにも代え難いものがあります。

Facebook Post: 2021-03-27T22:19:25

“ついでに”がハマったときの幸せ感 PART1

●今月末で終わってしまう「あしたのジョー」展に、ギリギリで行くことができました。高2のときに連載が始まり、大学に入ってからも熱読した名作。編集者になって、原作者の高森朝雄さんと絵を描いていたちばてつやさんの双方と仕事でご一緒し、不思議な縁を感じたりもしていました。
●会場の世田谷文学館、最寄り駅の京王線・芦花[ろか]公園とも初めて。東京23区で初の地域総合文学館としてオープンしたのは1995年。以前からユニークな企画展を何度か開いていたので気にはなっていたのですが、なかなか足を運ぶ機会がありませんでした。それにしても、会場内は私とほぼほぼ同じ年齢層、それも9割以上が男のおひとりさま。もちろん、連載当時の「少年マガジン」の読者でしょう。ふんだんに展示された原画を熱心に見入る、というか読み入る姿は半世紀前と変わりません。
●ジョーの絵だけでかなりお腹いっぱいになりましたが、これだけで終われないのが私の性[さが]。何をするにも、どこに行くにも、”ついでに”=コスト・パフォーマンス&タイム・パフォーマンスを考えてしまうのです。生来の貧乏性なのか、それとも名古屋で育ったせいなのか。ちなみに、マンガ喫茶もスーパー銭湯も、発祥の地は名古屋です。1カ所で2つ以上のことができるのは名古屋人の最大の喜びといっても過言ではありません。
●さて、今日の”ついでに”その1は、すぐ近くの蘆花恒春園[ろかこうしゅんえん]。徳富蘆花が生前暮らしていた家屋と庭園をベースに、東京都が公園として整備したものだそうです。日本史の教科書で代表作とセットで覚えただけの蘆花ですが、それではあんまりなので、ちょっとだけのぞいてみようと。蘆花記念館を見学して外に出ると、これが予想以上に素晴らしい公園でした。いまの季節、各種の桜はもちろん、菜の花、チューリップ、パンジー、山吹などどれも皆満開で、「気持ちい〜い!」のひとこと。広過ぎず狭過ぎずのサイズも、70歳を越えた身にとってはありがたいです。これだけでも大満足でしたが、今夏はもう一つおまけが。そちらは明日ご報告します。

Facebook Post: 2021-03-26T19:38:00

50年間ひいきにしていた洋服屋さんが閉店

●みごとに咲きそろった我が家のチューリップをはじめ、ここのところ、いつ、どこに行っても花が楽しめる毎日。つい1年前まで、ひどあときは早朝から深夜まで18〜19時間、国内・海外どこにいても原稿に追われ、そうした生活とはほとんど無縁だったのがまるでウソのようです。その分実入りも減りましたが、それを補って余りある精神的余裕は、何物にも替えられません。
●そんな毎日を送っていればこそ、街を歩いていても四方八方に目が行き届くように。昨日も、ここ10年近く通っているかかりつけ医のある銀座まで行くと、「テイメン(テイジンメンズショップ)」の看板が目に飛び込んできました。しかも、「閉店セール」の貼り紙が! そういえば2〜3週間前だったか、新聞でそのニュースを知り、驚いたんだっけ。この1年、衣料品の売れ行きが大幅に減っているからのようです。
●帰りに、ちょっと寄ってみると、品数もすでに残り少なく、なんともさびしい感じが。せっかくだからと、”記念”にスタンドカラーの白いシャツを1枚購入(なんと50%OFF)しました。「テイメン」のタグがついているので、メモリアルにもなりそうです。考えてみると、上京して以来ずっとですから50年のお付き合い。ボタンダウンカラーの白シャツはずーっとこの店で買っていました。
●コロナ禍が始まって1年間。これまで足を運んでいた飲食店にも、残念ながらクローズしてしまったところがいくつかあります。ホテル・旅館、おみやげ店、運輸・航空など、旅行関連の業界も事情は同じ。”最後の絆”とも言えるオリンピックもいまや風前の灯。この先さらに苦境が続いても、なんとか頑張っていただきたいものです。

Facebook Post: 2021-03-24T08:50:37

”おいしい神戸”を楽しむのも仕事!?

●今あちこちでやり玉にあがっている会食とは違いますが、仕事でおいしいものが食べられるという機会はそうそうありません。3月16日の午後は「北前船研究交流セミナー」。その最後のセッションのテーマが”食都神戸”でした。100%地場の産品で構成した食事を観光客にというコンセプトで、会場のホテルオークラが考案したメニューを試食するのが参加者の仕事。
●前菜、メイン、デザート各ひと品ずつでしたが、どれも皆”tres bien!” でした。神戸というとビーフくらいしか思い浮かばない私、シイタケもあれば菊菜もある、山椒までもが神戸産と知り驚きました。もっとも、オークラのシェフの手にかかれば、どんな素材でも”別もの”に仕上がるのかもしれませんが。日本酒はもちろん地元の灘(ここも神戸市)ですし、一緒に出された地場のワインもイケていました。
●今回のセミナーが神戸でおこなわれたのは、兵庫津[ひょうごのつ]という、古くからあり由緒も深い港が日本遺産「北前船寄港地」の一つに追加認定されたため。世界中に知られている神戸港のルーツは北前船も出入りしていた兵庫津なのです。この先、「歴史」は観光の強力なキーワードになりそう━━それを改めて実感しました。これからは、単なる物見遊山ではなく、歴史を取り込んだ観光が注目される時代がやってくる
●それにしても、自治体としては兵庫(県)のほうが上位なのに、知名度は神戸(市)のほうが数段上。神奈川(県)と横浜(市)の関係とよく似ており、どちらも「港」がらみというのも不思議な気がします。

Facebook Post: 2021-03-19T07:27:22

神戸・元町は和洋中の混在が魅力

●前夜泊まった姫路から、本来の目的地・神戸随一の繁華街=元町・三宮までは、JRの新快速で40分ほど。元町から三宮にかけての一帯は神戸でもいちばん早く「外国」が入ってきた場所だけに、どことはなしにあか抜けた空気が流れています。その一角、アーケードのかかった商店街にある「サントス」という喫茶店(カフェではありません!)に行きました。外観やメニューの構成は昭和っぽいのですが、中はこじゃれた雰囲気が。
●目的は、この店の名物ホットケーキ(パンケーキではありません!)です。オーダーしてから作り始めるので、テーブルに届くまでおよそ20分ほど。でも、その甲斐はありました。もっちりしすぎない、口全体にしっとりしみ入ってくるような粉の加減が、すばらしく心地よいのです。私が半世紀以上昔初めて口にしたホットケーキとそっくりだからかもしれませんが。
●店を出て道一本南に下ったところが南京町。いわゆる中華街ですが、横浜ほどには大きくありません。食欲をそそる香りがただよっていたものの、ホットケーキでお腹いっぱいの私はパスし、三宮方面に向けさらに歩きます。デパートも映画館も、コンビニも皆、元町のイメージにかなった顔をしているのが面白い。
●ただその一方で、元町には別の一面も。駅のすぐ近く、高架の線路沿いにある細い路地は、飲み屋や食堂(レストランではありません!)、雑貨店などがごちゃごちゃと並ぶ”昭和の日本”そのもの。駅から離れるにつれ、先のようなあか抜けした町並みが目につくようになります。それを象徴するのが、神社と教会(といっても結婚式場ですが)、真っ赤な鳥居とレンガ風の外装をした店の大接近。それもまた、多くの人を惹きつける要素なのかもしれません。三宮のデパ地下で、神戸に来るとかならず買い出しに行くピロシキ屋さんへ。夜食用に2個ゲットしました。

Facebook Post: 2021-03-17T11:38:37

3カ月ぶりの新幹線で兵庫県の赤穂へ

●今日・明日は神戸で「北前船セミナー」。せっかくの機会なので、ついでに赤穂まで足を延ばすことにしました。朝6時過ぎに家を出て、品川から3カ月ぶりの新幹線で姫路まで。姫路からレンタカーを借り、赤穂までは1時間ほどです。素晴らしい晴天で、新幹線の車窓から富士山のいただきがくっきり。名古屋を過ぎると伊吹山も見えました。それだけでもエキサイティングな気分になるのが「旅」の面白さ。目的地だけでなく、途中もなおよしなのです。
●「忠臣蔵」ばかりが有名な赤穂ですが、それ以外にも塩作り、1616年に完成し江戸・福山と並び称された上水道など、興味をそそるものが少なくありません。私の関心は、赤穂の塩が江戸時代、大坂を出航した北前船で北陸・東北まで運ばれていったこと。その途中で寄港したのが市の東部にある坂越[さこし]です。港は、瀬戸内海から奥深く切れ込んだおだやかな湾の内ふところにありました。
●ほぼ当時のまま保存されている街並みは、端から端まで歩いて回っても30分足らずほどの狭さ。歴史を大切にしようという住民の素朴な思いがそこここに感じられました。案内所のスタッフが、「ここはスケッチに来られる方が多いんです」と話していたとおり、絵になるスポットも少なくないようです。もう1週間あとなら、北前船船主の奉納した絵馬が奉納されている大避[おおさけ]神社、そのすぐ隣、船岡園の桜も満開だったのでしょうが、残念!
●赤穂の街中に戻り、浅野氏が主だった赤穂城跡へ。明治維新でほとんど取り壊されてしまい、いま復元の最中だといいます。城跡のすぐ近く、大石神社参道の左右にずらりと並ぶ赤穂義士石造群は圧巻でした。姫路まで戻り夕食を食べに出たものの、この町は食がいまイチ。30分以上も歩き回りましたが、結局ラーメン+餃子で手打ち。坂越を離れる前、地元でふんだんに獲れるカキ尽くしのランチを堪能(そろそろシーズンも終わりですからね)しておいてよかったぁ。帰りがけに買った名物の塩餡最中も。

Facebook Post: 2021-03-16T11:47:02

目白界隈で公園の3連チャン

●まる一日外に出ないと、体がなまり心の均衡も揺らいできそうな気がします。天気もよく暖かな今日は、三つの公園が集中する目白・西池袋界隈まで歩きに出てみました。まずは、30年ほど前にオープンした「目白庭園」。築地塀[ついじべい]で囲まれた回遊式の日本庭園で、定番の築山や石塔、さらに数寄屋造りの茶室=赤鳥庵[せきちょうあん]も配されています。紅梅が一本、いまを盛りと咲き誇る中、目を引いたのが滝。日ごとに春が近づくいま、水の落ちる音もそれを後押ししているような気がします。池をたゆとうカモも同じように思っているのカモ。
●目白庭園の長屋門を出て北に数分歩くと、「上[あが]り屋敷公園」が。江戸時代、すぐ近くに将軍の狩場があったそうで、その休憩所が「お上り屋敷」。それにちなんだ名称で、同名の駅(西武池袋線)が1953年まであったのだとか。大きな藤棚があったので、GWのころは満開になりそうです。
●そこから南西に少し歩くと「目白の森公園」。”森”とはいささかオーバーな感じもしますが、案内パンフによると、1年を通じて野鳥が姿を見せるのだとか。そんな中、目を射ったのが青い実のジャノヒゲ(蛇の髭)。生薬としても使われるといい、周囲の枯れた葉の中で、白スイセンとともにひときわ存在感を示していました。
●帰り道、少し回り道して四つ目の南長崎スポーツ公園に行ってみると、なんとラグビーボール🏉が! 外国人の若い男女合わせて10数人が楽しそうに練習していたのです。このグラウンドではサッカーしか見たことがないのですが、いまが真っ盛りのモクレンの花も驚いていたのではないでしょうか。

Facebook Post: 2021-03-12T07:59:25

今年もまた、花を咲かせるのに失敗しましたが……

●カクテルでしか知らなかったミモザが、花の名前でもあることを知ったのは数年前。テレビで、イタリアの男性が、思いを寄せる女性に3月8日にその花束を贈り、みごと恋を成就するというドキュメンタリーを観たからです。ミモザは春の訪れを告げる花でもあるそうで、以来私にとってあこがれの花になりました。一昨年、昨年と、秋にその苗木を買い求め、水やりや栄養補給に努めたのですが、今年もまた間に合わず。ガックリしていた私を見かねたカミさんが近所の花屋さんで買ってきてくれました。
● 3月8日といえば、国連が1977年に定めた「世界女性の日」。その由来は、1904年のこの日、アメリカの女性労働者が「婦人参政権」を求めてデモをおこなったことにちなむそうです。イタリアでは国連が制定する以前から、3月8日に奥さんや母親・職場の女性にミモザの花を贈る風習があったとのこと。ミモザはイタリアで各地に自生し、貧富の差に関係なく誰もが身近な女性に感謝の気持ちを伝えられるということで、そのシンボルになったといいます。
●それを知った私は、いつかはカミさんにと思っていたのですが、結局、私のほうが贈られることに。もちろん、うれしくはあるのですが、なんだか面目ない感じもします。聞けば、ミモザはもともと大きな木で(品種によって違うようですが、高さ10メートル以上にもなるそうです)、その枝に群がるようにして咲くのだとか。来年こそは花を咲かせ、カミさんの喜ぶ顔を見てみたいと思っています。なーんて、ちと”優等生”に過ぎますかね?

Facebook Post: 2021-03-09T22:16:13

我が家のすぐ裏に聖火リレーがやってくる!?

●今朝の東京新聞を見てビックリ。拙宅から徒歩3分のところにあるトキワ荘マンガミュージアムが、オリンピックの目玉の一つ、聖火リレーの追加コースとして組み入れられるのだそうです。大会そのものの実施がまだビミョーではありますが、正式に決まれば、我が家のすぐ裏を走る通りは大騒ぎになりそう。
●記事を読み、ミュージアムの前まで行ってみました。一方通行とはいえ幅員7mほどの通りなので、ゴチャゴチャ感はありません。30〜40年前は商店がびっしり並んでいたのでしょうが、いまはシャッターが下りたままの店、マンションや住宅に建て替わった店ばかりで、往時のにぎわいはどこへやら。ここを走るのかと思うと、何やら複雑な気持ちになります。
●私自身、今回のオリンピックは、招致の話が出たときから反対。開催が決まってからは、その期間どこかに”避難”したいと、まじめに考えていたくらいです。とはいえ、もともとオリンピックは大好きで、初めて接したのは1960年のローマ大会。まだ9歳でしたが、午前3時頃に起きてラジオのスイッチを入れ、水泳の田中聡子とか山中毅━━なつかし〜!━━を応援しながら、中継に聴き入っていました。
●裸足のアベベがマラソンを制した瞬間もリアルタイム。アメリカ国歌をソラで口ずさめるようになったのはこの頃からでしょうか。いやというほど流れていましたからね。57年前の東京大会も、学校にいる時間以外は毎日テレビに釘付け。1992年のバルセロナ大会くらいまではそれなりに関心を持って観ていましたが、ここ30年ほどのオリンピックはかなり歪んでいるように思え、いまひとつ熱くなれません。すぐ近くを聖火リレーが通っても、それは変わらなさそうです。

Facebook Post: 2021-03-03T14:05:47

飛鳥山”登頂”に成功──私の「マイクロツーリズム」⑲

●箱根山に続き、今回の”23区内登山”は飛鳥山です。京浜東北線・王子駅から徒歩5分。駅からはなんとモノレール(16人乗り)もあります。この日の第一目標は、山の中にある渋沢(栄一)史料館だったので、駅の手前でバスを降りました。コロナ禍のため予約制ということもあり、中はガラガラ。
●建物の大きさのわりに会場はコンパクトでしたが、展示内容は濃密。しかも、太平洋戦争中の空襲で焼失した自邸の庭園に残った晩香盧[ばんこうろ]と青淵[せいえん]文庫(どちらも重要文化財)がセットになっていて、じっくり見たら2時間はかかりそうです。
●晩香廬は木造の洋風茶室、青淵文庫は鉄筋コンクリートの書庫。
青淵文庫に展示されていた「理に従えば則(すなわ)ち裕(ゆたか)なり。慾に従えば惟(これ)危うし」の揮毫は印象に残りました。どこかの国の首相に、目をこすって見てもらいたいと、思う人も多いのではないでしょうか。
●計3カ所の見学を終え、いよいよ飛鳥山に登ると、標高25・6mの”山頂”には立派なモニュメントが。1本だけですが花を咲かせている梅、葉牡丹、ノースボールやビオラなど小さな花々を植え込んだ花壇が心を和ませてくれます。もう2、3週間もすれば”本命”のソメイヨシノも満開となり、人であふれ返るはず。もともと、徳川吉宗が花見の場として作らせたのを公園として整備した場所ですから。
●コロナ禍で行動自粛の期間が長びき、フラストレーションもほぼ頂点に。でも、こうした時間を過ごすと、多少は気持ちが休まります。仕上げはもちろん食べ物。駅前に行列している店があったので、のぞいてみるとワンタン麺の専門店。若い人がほとんどでしたが、私たちも並んでみることに。いま流行りの脂ギトギトのスープではなく、比較的あっさりした味が古希の夫婦には心地よかったです。

Facebook Post: 2021-03-03T08:19:58

何がなんでも変化を見つけるまでは

●まだまだ楽観はできませんが、春はもうそこまで来ているようです。スイセンが2日ほど前に花を開き、今日はもうこんな具合に。キングイエローもどんどん咲いていますし、ブリリアンルージュも追いかけています。クリスマスローズは花びらが下を向いており、その姿を拝むのはなかなか大変です。チューリップの茎・葉も日ごと力強い姿に。
●な〜んてもっともらしく書いてはみたものの、昨年まで草花にはほとんど無関心だった私ですから、これくらいにしておきましょう。水をやることくらいはできても、肥料や栄養となると、すべてカミさんまかせ。でも、時が来れば花は咲くものと楽観しているので、気楽なものです。
●とにかく、時間だけは毎日ふんだんにあります。昨年2月ごろまでは1日3イベントというのが平均だったのが、いまではせいぜい1イベント、まったく何もない日のほうが多いのですから。変化をつけるには、ごく身近なところで何かしら探し出すか、あるいはみずから作るかしかありません。「3密回避」という枷(かせ)もクリアせねばならず、けっこうエネルギーが要ります。
●銀座にあるかかりつけのクリニックに行くときも、何か新発見はないかと、それこそ鵜の目鷹の目。電車に乗っても、町を歩いても、昔とは視線の向きが違ってきます。今日も、地下道で「北前船観光マルシェ」なるものに出くわしました。いま現在の取材対象であるだけに興味津々。ただただ流れにまかせているだけでは、そのうち頭が空っぽになってしまうのは必至。それを防ぐためにも、とにもかくにも注意力全開の毎日です。

Facebook Post: 2021-02-25T22:11:59

2日続けての外食━━お寺ご飯とロシア料理

●昼どきに用事が重なり、2日続けて外食。1日目は「赤門テラスなゆた」という名のカフェで。寺院の境内の一角にあるため、”お寺カフェ”と自称しているようです。外観・内装ともオシャレで境内の枝垂れ梅も満開。昼間の客はほぼ全員が女性でした。この日のメインは車麩のフライで、有機栽培の野菜を使った副菜が4品。玄米ご飯にしたせいかお腹いっぱいに。
●2日目は国立駅前のロシア料理店「スメターナ(ссметана)」。あれっ、スメターナって、チェコの作曲家(「モルダウ」が有名)では? と店主夫人にお聞きすると、сметанаとは、ロシア料理に欠かせない乳製品(サワークリーム)のことだそうです。前菜がボルシチ、メインはキノコの壺焼きという定番の組み合わせでしたが、なんとも上品な味わいで、感動しました。
●初めてロシア料理を食べたのは中学生の頃。食いしん坊の父親に連れられて行った名古屋の「ロゴスキー」という店(4、5年前にクローズしたようです)です。以後、なんだかんだ言いながらも、年に1、2回は食べているでしょうか。派手さはないものの、文化の面ではつねにフランスを追いかけていた国だけに、全体的にレベルは高いと思います。
●それにしてもスメターナのコロナ対策はほぼ完璧。入店時のアルコール消毒はもちろん、隣のテーブルとはアクリル板で仕切られ、同じテーブルの前後も同様。客も皆ひそひそ声で話しています。もちろん、平日のお昼どきとあって、店自体それほど混んではいませんが。どこかの国の大統領のたわごとのように、「コロナはウオッカで防げる」などということはないにしても、こんな時期ですから、せめてジョージアワインでも傾けながらトライしてみてもいいのでは。

Facebook Post: 2021-02-24T13:41:16