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「いい夫婦」の旅術

著者:岩中祥史
価格:1700円+税
[小石川書館・2016/8]

これまでに類を見ない“海外おとな旅”の本。国別ではなくテーマ別に構成されているのがユニーク。とにかく、なんでもナマがいい! 還暦を過ぎますます燃え盛る好奇心を満たそうと、夫婦で世界中を歩き回る著者。大好きなキリンに会うべく、行った先々で動物園を訪問。ラグビーW杯南ア戦の歴史的勝利も現場で観戦。各国のお祭りに大興奮……。旅行計画のヒントが満載。ツアーに飽き足らない、真の旅好き日本人必読。

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極寒・雨天でも決行! ニューヨークでのお花見

2016年5月1日
天気はしとしと雨、気温は52°Fといいますから摂氏にすると11℃という中、朝からブルックリンの植物園まで行きました。地下鉄を乗り継いでおよそ1時間かかったので、けっこう乗りでがあります。
毎年4月下旬から5月初めごろ、ここでは「SAKURA MATSURI」(2016年で35回目だとか)が開かれており、近年はとくに入場者が増えているとのこと。わずか2日間の開催にもかかわらず6万人を超えるといいます。
ニューヨークにはここ以外にもあちこちで桜が植えられているようで、前日セントラルパークに行ったときにも探してみたのですが、こちらはすでに散ってしまっており、八重桜が1本だけ満開でした。しかし、それだけでは物足りないということで、夜ホテルに戻ってネットで調べてみると、ブルックリン植物園の桜の開花状況が写真入りで紹介されていました。すると、一部のエリアはすでに散っているのですが、このイベントがおこなわれる「チェリーエスプラネード」はまだ満開だとあります。
今年は日本でもすでに桜は見ました。しかし、“ニューヨークで花見”というのも粋じゃないかと、ギリギリまで迷いましたが、やはり誘惑には勝てません。予想をはるかに上回る寒さでも、雨が降ってもなお目標を達成しようとする私の粘っこさに家人はほとほとあきらめ気味。

せっかく満開の桜を観られたのですから写真を撮ろうと家人に声をかけます。
「サービス精神でね。寒そうな顔をしたらダメよ!」
というと素直に笑顔を向けてくれました。

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ブルックリン植物園のオープンは1910年。園内には日本庭園や桜の小道・遊歩道がありました。100年前、アメリカ国内で一般に公開された最初の日本庭園だそうです。最初の桜が植樹されたのは1921年。「関山」「枝垂れ桜」「白妙」など30種類以上、220本の桜が植えられています。

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セントラルパークにも、先に書いたように、それなりの本数がそろっているようですし、タクシーで走っていたら、パークアベニューの中央分離帯に桜の若木とチューリップが植えられているのに気がつきました。両方同時に咲く時期はさぞかし美しそうです。これを観れば、渋滞でいつもカッカしているタクシードライバーの気持ちも和むのではないでしょうか。

ハーレムの西側、コロンビア大学があるモーニングサイドハイツ(リバーサイド・ドライブと西122丁目の角、ハドソン川沿い)にも1912年オープンの「さくらパーク」があり、ここには1960年、東京・ニューヨークの姉妹都市提携を記念し、当時の皇太子妃ご夫妻(現在の天皇皇后両陛下)が足を運ばれたそうです(その後87年にも再度ご訪問)。

マンハッタンの東側、クイーンズの西側を流れるイーストリバーに浮かぶ細長い島=ルーズベルトアイランドにも数百本、さらにニュージャージー州ニューアークのブランチ・ブルック公園には4000本もの桜が咲き誇るとか。

それにしても、この寒さはいったいなんなのでしょう! ネットのニュースをチェックしてみると「西日本各地で夏日」などという文字があります。それほど緯度が違うわけでもないのに、ニューヨークというか、アメリカ東部は油断がなりません。どんな季節に行くときも、かならず防寒用の服をスーツケースに突っ込んでおくべきだと2人して反省しました。

 

観ましたーーっ! 『ハミルトン』

2016年4月30日
今回のアメリカ旅行の目玉はブロードウェーのミュージカル『ハミルトン』です。
タイトルにもなっている(アレクサンダー・)ハミルトンはアメリカの初代財務長官で、いま出回っている10ドル紙幣の肖像にもなっている人物です。その生涯を描いた作品なのですが、これがいま大変な人気だという話を聞いたのは3カ月ほど前のこと。

25年間通っている池袋のお寿司屋さんのカウンターでたまたま隣り合わせた方から教えてもらったのですが、「チケットは何カ月も先の分まで売り切れで、出回っているのはリセール(転売)のものだけ」とのこと。まずまずの席でも800ドル以上(!!)出さないと買えないといいます。仕事柄、30年近くブロードウェーに足を運んでは数々の作品を観てきているその方のおすすめとあっては、私たちも観ないわけにはいかないでしょう。

家に帰りさっそくネットで調べてみると、話のとおり、通常のチケットは1枚もありません。いくつかの業者が手がけているリセールチケットだけで、なかには2000ドルを越えるものまでありました。これでトニー賞なんぞ受賞したらもっとひどいことになりそうだと思い、ひと晩でニューヨーク行きの計画を立ててしまったのです。航空券の空き状況や値段をチェックした上で、リセールチケットのサイトをいくつか見ながら、「これなら」というものを探し当て、なんとか買い求めることができました。

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Dsc00340そして、今日がその日。土曜日の日中とあってタイムズスクエア周辺は大変な人出です。『ハミルトン』が上演されているリチャード・ロジャース劇場の前には、開演1時間以上前だというのに、長い行列ができていました。全席指定なので、早く行ったからいい席にすわれるわけでもなんでもないのですが、やはり気持ちがはやるのでしょうね。あとで聞いて知ったのですが、毎回、20枚ほど当日券が売り出され、その抽選に当たると、10ドルで観られるのだそうです。それを目ざして並んでいた人もいたにちがいありません。

Dsc00344劇場自体は古めかしく、それに狭いものですから、階段を昇っていくのも大変です。私たちがなんとか手に入れた席は2階バルコニー席の前から3、4列目あたりでまずまずでした。しかし、高校生のグループもいれば親子連れもいるといった具合で、これまでのブロードウェー・ミュージカルとはだいぶ様子が違う感じがします。それだけ幅広い客層に支持されている(=大ヒットしている)ということなのでしょう。その理由はやはり、作品のユニークさにあるようです。

何が違うのかというと、この『ハミルトン』、台詞(=歌)がすべてラップになっているのです。そのため、台詞の文字量が普通のミュージカルのほぼ倍だとかで、役者も大変なのではないでしょうか。また、作品を企画し、台本を書き、なおかつ主役まですべて同じ人(=リン・マニュエル・ミランダ)だというのも話題を呼んでいるようです。」しかも、そのミランダは主人公ハミルトンと同じプエルトリコからの移民。アメリカが独立を勝ち取り、憲法を制定しようとしていた当時の話で、内容はけっして甘いものではありません。もちろん、女性も登場はしますが、メインのテーマはどちらかといえば"お堅い系"です。ただ、それがラップ仕立てになっているのがミソなのでしょう。舞台に出ているのもほとんどが移民の役者ですから、ある意味リアリティーもあります。

それと、音楽が素晴らしかったですね。昨年のグラミー賞を受賞しているといいますから、それも納得です。私たちもそれだけは同感。というより、台詞のほうはラップなものですから、正直、ほとんど聞き取れずじまいだったこともあります。あらあらのストーリーは予習していきましたが、やはりそれだけでは……という感じでした。ただ、トニー賞(6月に発表される)を取れば、いまよりもっとプレミアがつき、チケットも取りにくくなるのではないでしょうか。その前に観られたということでよしとしなくてはいけませんね。

なぜか男を興奮させる空港、そして飛行機

2016年3月29日
空港というのは鉄道の駅と同様、なんとも不思議なオーラがただよっている場所で、旅する者の気持ちをいっそうエキサイトさせます。とくに私はそうした傾向が強いようで、ターミナルビルに近づき、中に入るとそのスイッチが入ります。荷物検査や出国手続きを終え、通路を歩きながら外を見ると、広い滑走路をさまざまな航空会社の飛行機がゆっくりと行き来しています。それを目にした私の興奮度はもう一段アップ。飛行機はヨーロッパの言語ではほとんど女性名詞に分類されていますが、だからこそ男は興奮するのでしょうね。

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今日も、ローマのフィウミチーノ空港の中を歩きながら、そういう経験をさせてもらいました。「よーし、こんどはどこに行こうか」という思いが心の奥底から湧き上がってくるのです。家人には迷惑かもしれませんが、こればかりは男の性【さが】というか、どうしようもないものがあります。ローマからわずか1時間半で着いた乗り継ぎ地ミュンヘンの空港でもその思いは同じでした。

イタリア人がわんさかいるローマの空港とドイツ人が多いであろうミュンヘンの空港で清潔感に差があるのはなんとなくわかる気もします。しかし、同じドイツ人の国なのに、オーストリアのウィーンとミュンヘンとで、かなりの隔たりが感じられるのはちょっと不思議です。ウィーンのほうにはどこか頽廃の香りが漂っていますが、ミュンヘンにはそうしたものがほとんどありません。どこまでも「ドイツ」なのです。スモーキングルームの様子を見てもそうした雰囲気がありありと感じられ、ミュンヘン空港では少しでも灰を床に落としてはいけないなどと思わされます。ヨーロッパはまだまだ奥が深いようです。

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サンタ・マリア・マッジョーレ薬局の本店にびっくり

2016年3月28日
朝になると雨もほぼやんでいたので、ホテルから歩いて10分ほど、中央駅の近くにあるサンタ・マリア・マッジョーレ教会に。聖堂は長い行列ができていたのでパスし、すぐ近くにある付属の薬局に行ってみました。ローマの店は入ったことがあるのですが、本店は初めて。しかし、これが小さな博物館のような空間で、びっくりしました。

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Dsc_0742玄関から10メートル近くある廊下を歩いた正面が店の入り口。扉を開けると中が4つの部屋に分かれており、それぞれジャンルの異なる商品が並べられています。世界中から客が来ているようで、商品カタログや説明書きも8カ国語。しかし、それよりインパクトがあるのは各部屋の内装や調度品です。店ができた当時を彷彿させる家具や衣服も並んでいます。何も買わなくても、それを見ているだけで感動です。

 

 

 

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Img_5753_2雨がまたぶり返す中。再びIさんのお宅へ。実は、昨日マンマに誘われたのです。またまたお言葉に甘えてしまい、今日はマンマの住まいのほうへ。こちらは普通のマンションですが、築40年以上経っているとはとても思えません。余裕たっぷりにつくられていて、最近のマンションとはそれが決定的に違うのだそうです。1階部分に限ってのようですが、天井は3メートル30センチもあるのだとか。しかも、これは住む人の性格にもよるのでしょうが、物をあまり置かず、シンプルに暮らしておられるようでした。なので、家の中がすっきりしており、自分たちも見習わなくてはいけないなと。「断捨離」ですね。

今日は復活祭の休日とあって、マンマの2人の男の子とその家族が一堂に会しての食事会。そこに飛び入りさせてもらったわけですが、またまたお腹いっぱいになるまで食べてしまいました。

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マンマの家を出るころには雨もすっかりあがり、お日さまも顔を出していました。ホテルで荷物を受け取り、中央駅から最終目的地ローマまでは列車です。

昨年6月に来たときも泊まったテルミナ前のUNAホテルにチェックイン。明日は朝早いので駅の近くがよかろうということで決めました。まだ明るかったので、ちょっと外に出てみることに。昨年のローマ滞在最終の日、朝食を食べに行く途中で見つけた子ども用フォーマルウェアの店をのぞいてみようかとぶらぶら歩いていきました。前回は時間が早く開いていなかったのですが、今回は店自体がなかなか見つかりません。サンタ・マリア・マッジョーレ教会の前あたりで道を1本間違えてしまったようで、行きついたのはヴィットーリオ・エマヌエーレ2世広場 (Piazza Vittorio Emanuele II)でした。


Dsc_0770_2この広場は柱廊(ポルティコ)のある19世紀の建物に囲まれており、広場の中心は公園になっています。その一角に新アニオ水道(ローマ市内とその近郊に張りめぐらされた水道の1つで、紀元52年の完成だとか)の貯水施設の遺跡とその門がありました。観光ガイドには出ていないスポットで、人もほとんど訪れていない様子。というか、広場の周囲がややあやしげな雰囲気のエリアなのです。鉄柵で囲まれている遺跡の中には入れないのですが、なんとどこを見てもネコだらけ。たぶん中にはイヤというほどネコが住んでいるにちがいありません。家人が「岩合光昭は知ってるのかしら」とひと言。そこから別の道でホテルに戻っていく途中でくだんのお店を見つけたのですが、復活祭休日のため休業しているようでした。


そのまま外で夕食をとも思いましたが、どうにもこうにもお腹が空かず、近くにあったお菓子屋さんの店先で見つけたサンドイッチとビールを買って戻りました。結局、今日も、気がついたら、ベッドのシーツの上で寝ている始末。ここにきてやはり疲れがたまってきたのでしょうか。

フィレンツェの復活祭名物「山車の爆発」をこの目で!

2016年3月27日
いよいよ、今回のメインイベント=「Soppio del Carro」の日です。直訳すれば「山車の爆発」。ドゥオーモの前に運ばれてきた山車に爆竹が仕掛けられ、それに順次火がつき炎と煙に包まれるというものです。年に1回、復活祭(イタリア語ではPasquaといいます)のときにおこなわれる行事で、フィレンツェではチョー有名──。と思っていたのですが、これが意外や意外、市民でも知らない人がかなりいるということをIさんが教えてくれました。

今回の旅行はこのイベントを生で見るというのが最大目的なので、3カ月ほど前にIさんに連絡し、どこの場所で見たらいちばんいい場面が、いい角度から見られるのかなど、さまざまリサーチをお願いしました。しかし、近所の人に聞いてみたが、「何、それ?」という返答が大半とのこと。Iさん自身はフィレンツェに移ってまだ20年足らずなので、知らなかったとしても不思議ではありませんが、ずっと地元にいるフィレンツェ市民でさえ知らないというのは、どう考えても理解できません。だって、もともとの起源は西暦1099年といいますから、900年以上も前。いまのような形でおこなわれるようになってからでもすでに350年以上は経っているのですよ。

それでも、あちこち当たってもらい、なんとかベストポジションについての情報はGETできました。また、たまたま地元のテレビ局が昨年の模様をえんえん2時間近くにわたって紹介する番組に昨夜出くわし、その盛り上がりぶりもほぼわかりました。「よーし、明日は早めに会場に行こう」と決めたしだい。

Dsc_0539朝食を済ませ、予定より15分早い午前9時15分にはドゥオーモに到着。しかし、ベストポジションとされている場所は早くも5列ほどの人垣ができていました。そこになんとかもぐり込み、私たちも10時のイベント開始まで待ち続けていたところ、ラッパと太鼓の音が聞こえてきます。中世フィレンツェの衣装で身を固めた、おそらくカトリックの信者たちでしょう、総勢140~150人ほどの行進が到着しました。フィレンツェの市章であるユリの花を赤く染め抜いた白い旗がなんとも鮮やかです。楽隊の奏でる曲も人々の気持ちをかき立て、聴いているだけで満足。ドゥオーモの正面に全員が並びイベントのスタートを待ちます。しばらくすると、4頭の白い牛に曳かれた山車が静かに登場、所定の位置に固定されました。すると、何十、何百とつながった爆竹が山車をグルグル巻きするように仕掛けられていきます。

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そうこうしているうち鐘楼の鐘が響きわたり、午前11時に。ここからは山車に注意を集中します。まず、大聖堂の祭壇前からワイヤーをつたって、ハト(イタリア語でcolomba)をかたどった木像がロケットのように火を噴きながら数十メートル飛んできます。これが山車まで到達すると、こんどは向きを替え祭壇の方向に戻っていくのですが、元どおりの位置にまで無事戻ればその年は平穏無事・五穀豊穣なのだとか。


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その瞬間から山車が爆竹のはじけるすさまじい音と煙に包まれます。それが何度も何度も繰り返されるのです。なかには、火花を散らしながら、空に向かって飛んでいくものもあります。フィナーレは、山車のてっぺんに取り付けられた3つの飾りがグルグル回ってはじけ、中にセットされている市の紋章を記した3枚のバナーが姿をあらわします。今回はそのうち1枚だけが折り曲がったままでしたが、それでも10分間にわたる「ショー」の迫力、感動ときたら!

もとはといえば、「ちょっとーお父さ~ん!」の呼びかけがきっかけで始まった「Scoppio del Carro」見学の旅ですが、はるばる観にきた甲斐がありました。最初は婦唱夫随、いざという段からは夫唱婦随。これが私たちの旅の極意というか、一つのパターンになっています。

 

人込みでごった返す中、本来は一緒に見るはずだったのですが、結局それがかなわなかったIさんと、近くのカフェでようやく合流できました。初めて観た「山車の爆発」にIさんも興奮を隠せない様子。このあとはIさん宅での食事会です。15年前にお会いしたきりのIさんのご主人のお母さん=マンマが作る手料理をいただきに、駅の近くから3人でバスに乗りました。

Img_5749Iさんの自宅を訪れるのも15年ぶりです。こちらではパラッツォ(palazzo)と呼ぶらしいのですが、日本でいうテラスハウスの2階に玄関があり、中はメゾネットスタイルになっています。マンマに初めてお会いしたときは私もまだ若かったので、かなりの量を食べたらしく、マンマはそのことをよく覚えていたようです。今日のメニューは野菜→タリアテッレ→羊肉のグリル。近所に小さいながら自分の農園を持っていて、そこで獲れたばかりの野菜ですから、おいしいのなんの。とくに、ゆでたアーティチョークとヤギのチーズを塩とオリーブオイルで和えたものは、日本ではなかなか口にできないメニューで、とても新鮮でした。小ぶりのエンドウ豆とヤギのチーズの和えものも同様。

Img_5742しかし、最高においしかったのはやはりタリアテッレ(tagliatelle)。細長いリボンのようなパスタで、それにミートソース(それも牛・豚・羊のひき肉のミックス)をからませたあり、今回も2杯半食べてしまいました。最初のときは4杯近く食べたそうです〈自分ではまったく覚えていないのですが)。それも、最後お義理で「もう少しいかが」とマンマが口にした言葉も真に受けての4杯目でしたから、「よく食べる日本人だ」という印象を与えてしまったのでしょうね。

デザートに、colomba(ハト)の形をしたケーキ(復活祭のときだけ作られるもの)をいただき、最後コーヒーを飲むと、動けなくなるくらい満腹に。実際、ホテルに戻ってもまったくお腹が空かず、早々に寝てしまいました。窓の外は雨。今日の午前中でなくてよかったなと感謝したしだい。

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ボッティチェリのあとフィレンツェ風「もつ煮込み」のはずが……

2015年3月26日
今日も朝から素晴らしくいい天気です。フィレンツェは今回が3度目の訪問。しかし、最初のとき(2001年8月)はほとんど観光らしい観光をしていません。このときは、結婚でフィレンツェに来て間もないIさんに会いにきたようなものでしたから。今回こそはと、それなりに思い描いていた予定もあります。その一つがウッフィツィ美術館。

しかし、今回のように連休の時期と重なっていると、大変な数の人が訪れます。早めに朝食を終え、午前8時には美術館まで行ったのですが、すでに100人近い行列ができていました。私たちは60~70人目あたりでしょうか。行列するのは、基本的に当日券を買うため。スケジュールをきちんと立てている人は予約を済ませているので、バウチャーを見せたり確認のメールを見せるだけですぐ中に入れます。

Dsc_0456本来の開館時間は8時15分ですが、私たちは40分ほど待たされてから、やっと中に入れました。しかし聞きしにまさる広さ、スケールの大きさには正直驚きました。展示スペースの始まりは3階。そのため、中に入ると階段で3階まで上がっていかなくてはなりません。3階といっても、天井がえらく高いので、実際には5~6階分あり、そこまで歩いて一気に上るのはとんでもない苦行。家人など、やっと入り口に着いたころには息があがっていたようです。

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ローマ時代からルネサンス期までの絵画、彫像が、70以上ある大小の展示室と廊下、壁、天井にこれでもかこれでもかというほど展示されており、しまいにはもうご勘弁をという感じでした。ボッティチェリの「ヴィーナス誕生」とか「春/プリマヴェーラ」とか、その昔美術の教科書で目にした作品をナマで見ると、やはり感慨深いものがあります。

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1時間以上かけて見終わり、外に出たときはむしろほっとしました。通りに出ると、好天で温暖ということもあり、大変な人出でにぎわっています。とりあえず中央市場まで歩いたのですが、建物のまわりにテントを張っただけの小さな店がびっしり並んでいました。ほとんどが革製品ですが、雑貨や工芸品を売る店もあります。


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中に入ると、ここもやはり人また人。とくに、有名な「ランプレドット(lampredotto)=もつ煮込み」のサンドイッチ(パニーノ)を出している店はどこも長い行列ができています。ところが、この行列がクセモノで、地元の人でなければ注文できない雰囲気が……。こうすればいいのではないかとなんとなく想像はつくのですが、あまりの人いきれに圧倒され、あきらめました。だったら2階のフードコートでと思い上がっていったのですが、こちらはさらにひどい混雑。結局、すわってメニューを指させばOKといった感じの店に入ることにし、下までまた降りていきました。

ハンガリー系とおぼしきイタリア人夫婦がやっているカウンターだけの店で、写真と実物を見て注文し、ようやく昼食にありつけたしだい。店のオバチャンが次々訪れる客の注文をどんどんさばいていきます。その中には、ドイツ人もいればアメリカ人、韓国人、ロシア人もいて、それぞれの言葉をあやつりながら客をさばき、追加注文を聞き、最後お勘定までこなしているのを見ると、「すごい!」のひと言です。前にヴァチカン宮殿前の広場に屋台を出しているオッチャンがそれこそ10カ国くらいの言葉を平気であやつっている場面を目にして驚いたことがありますが、そのとき以来の衝撃でした。さすがイタリアです。


昼食後、すぐ近くのサン・ロレンツォ教会の脇にあるメディチ家礼拝堂を観て外に出ると、「疲れがどっと出てきちゃって」とのたまう家人と一緒にホテルに戻りました。シエスタですね。途中、ヴェッキオ宮前のシニョリーア広場にあるジェラテリで買ったアイスクリームのおいしかったこと。ひと口食べて顔をほころばせる家人の顔を見て思わずシャッターを押してしまいました。

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Dsc_0516ホテルに戻ったら、家人は言葉にたがわず即お寝み。私はといえば、その横でブログを書いたり日本から送られてくる仕事を処理したり。ミラノのホテルもそうでしたが、USBファイルを持っていけばすぐプリントできるスタイルになっているので大助かりです。

 

街全体が世界遺産のシエナに大感動!

2015年3月25日
今日は朝からシエナに行きました。天気もよく、最高のドライブ日和。こちらに来る前まではガイドブックとにらめっこしながら、いつ、どこに行くか、あれこれ悩んでいました。何せフィレンツェというところは見どころが多すぎるのです。ミラノの3倍、いや5倍ほどのページが割かれているくらいですから。しかも、今回の目標である「Scoppio del Carro(山車の爆発)」の前後は観光施設も臨時休館がけっこう多く、行き先が制限されます。もっとも、「復活祭」自体が国民の休日になっているとあれば、それもいたしかたないのかなと。

結局、日本を出発する直前に考え方を抜本的に変え、キホン出たとこ勝負で行くことにしました。ウッフィツィ美術館に行く日時も、現地で決めようと。ただ、今日のシエナ行きだけは、フィレンツェ在住の元社員Iさんのご主人が休みを取ってくれ、シエナ往復のドライバーを買って出てくれたため、予定を変更するわけにはいきません。朝9時半過ぎに出発、11時にはシエナに着きました。

シエナには特別な思い入れがあったわけでもないのですが、観光ガイドを見ると、けっこうページも費やされています。何より町自体が「世界遺産」というのが魅力です。中世のおもむきがそっくり残っているとありますし、イタリアならどこの町にもあるドゥオーモが素晴らしく美しく、とくに中の壁画や装飾はすごいと。

Dsc_0307実際、全体が世界遺産になっている旧市街を歩いてみると、まさしく中世がそのまま残されている印象を受けます。今日から3連休ということでイタリア人の姿も多いようで、細い道はかなり混雑していました。駐車場から15分ほど歩いたところにあるのがカンポ広場。こうした広場にしては珍しく、傾斜地に作られており、しかも四角形とか正方形ではありません。なんと扇型なのです。扇の要に位置しているのが市庁舎で、これがまたユニークな色合いをした建物。これだけでも見る甲斐があるくらい美しい広場でした。全体が傾斜しているので市庁舎の前で何かイベントでもあれば、そのまますわるだけで見渡らせる感じがします。

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Dsc_0353聞けば、毎年、日本のお盆にあたる時期に、この広場では「競馬」がおこなわれるのだそうです。お土産屋さんの店先に、その様子を撮った写真が飾られていました。それを見ると、中央部にびっしり観客が立っています。競馬がおこなわれのはその周り、広場を囲む建物の前にも見物客が立っていますから、競馬そのものはその部分とまわりの建物との間に生まれるスペースでおこなわれるわけですね。これはかなりスリリングではないでしょうか。一度、この目で見てみたいものだと、本気で思いました。騎手も観客も、このときだけはバカンス先からシエナまで戻ってくるのだとか。そのくらい、シエナの人たちの血を騒がせる魅力に満ちているのでしょう。

昼食は広場近くの、なんということのない食堂。家族経営といった感じがありありですが、メニューはどれも魅力的。生ハムやサラミなどを、ちぎった揚げパンに乗せて食べるだけなのですが、パン自体がすこぶるおいしいので、それだけで合格! といった感じがします。しかも、ハム、ソーセージの類はさすがイタリア、日本の比ではありません。しかも、値段がメチャ安です。

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Dsc_0400_3食後はドゥオーモの見学。教会の見学というと、ヨーロッパではたいがい無料ですが、ここはなんと20€も取ります。日本でいうなら2600円くらいでしょうか。しかし、それだけの金額を払った価値は十分、いやそれ以上ではないかとさえ思いました。というのも、普通は足を踏み入れることのないドゥオーモの屋根裏──地上5~6階ほどの高さでしょうか──にまで上がることができ、そこから内部をすべて見下ろせるのです。極端に狭くはあるのですが、テラス(というより通路ですね)に出ると、外の景色も見えます。「トスカーナの田舎」という言葉をよく耳にしますが、まさしくその光景が目の前いっぱいに広がっていました。ほかの教会では経験したことがないこのこと一つ取っただけでも、一見の価値は十分です。

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このドゥオーモの外壁は白地に黒の横縞。それだけでとてもユニークな印象を受けます。なかでも、ファサードの美しさは天下一品。教会建築についてはまったくの門外漢ではありますが、時代や地域によっておそらく大きな違いがあるのでしょう。ゴシックだのロマネスクだのルネサンスだのビザンチンだのといったこととは別にです。

気がついたらあっという間に5時間以上が経過しており、駐車場に戻ったときはすでに5時近く。車のフロントグラス、ワイパーに「駐車時間超過」を告げる警察の紙切れがはさまっていました。

 

Img_1049_20160326_2ホテルに戻りひと仕事したあと、Iさんのご主人推薦の、フィレンツェでもおそらく5本の指に入るであろうピザ店「I’ Pizzacchiere」で待ち合わせ。市内に2000軒近くあるレストラン(ジャンルを問わず)の中でも評価が24位という店だそうですが、ホントおいしかったです。フィレンツェ風のピザは、生地全体が薄く、端っこまで肉やら野菜やらチーズやらがびっしり乗っかっているのが普通だそうですが、この店のものは端っこが川の堤防のようにこんもり盛り上がっています。地元っ子はそれが不満のようですが、この店の女主人は方針を変えようとしないのだとか。

 

 

Img_1050_20160326ピザもさることながら、しかし、デザートで食べた「Nutella Dolce」は圧巻でした。これは焼いたピザ生地で「Nutella」のチョコレートクリームを巻いたもの。しかも、チョコレートクリームの部分だけで厚さ2センチ、幅が6~7センチ、長さ25センチほどあります。それを私たち5人で3個分もたいらげてしまました。イタリアでも「Nutella」のチョコレートクリームをここまで大量に使ったデザートはめったにないので、わざわざ「Nutella」という言葉を使っているとのこと。日本でも早くどこかの店で食べられるといいなと、正直思いました(ただし、日本で食べられる「Nutella」はオーストラリア製だとか)。

 

アンブロジアーナ絵画館の素晴らしさに感動

2016年3月24日

Dsc00203今朝は、初めてホテルのレストランで朝食を取りました。たしかに、どのメニューにもハイグレードな食材が使われています。スクィーズしたオレンジジュースは素晴らしかったですし、パンはどれも皆秀逸。バターもフランスの「エシレ」。ただ、全体としてはどうかなぁという気がしました。41€は高すぎるでしょう。

午前中は部屋でずっと仕事。チェックアウトを済ませて荷物を預け、昼過ぎから出かけました。最初の目的地は古代ローマの時代に作られたというサン・ロレンツォ・マッジョーレ教会。さすが、その古さには驚く以外ありません。教会の前の広場に立つ16本の石柱がそれを象徴しています。昼食は、そこから5分ほど歩いたところにあった店で。テーブルの半分ほどが白いカバーで覆われている様子を見て、まあいいかということで決めました。


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さて、ミラノではあちこち観光しましたが、今日行ったアンブロジアーナ絵画館は出色でした。まず、建物自体、そんじょそこらのものと違います。貴族の屋敷といってしまえばそれまでですが、3階建てでとにかく広いこと。壁や天井など内装も豪華をきわめ、いかに豊かだったかがわかります。作品もダ・ヴィンチの『楽師の肖像』とかボッティチェリの『(天蓋の)聖母子』、カラヴァッジョの『果物籠』など有名な作品がズラリ。すいているのでゆったりした気分で観られたのがよかったです。

 


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「イータリー(EATALY)」もおもしろかったですね。「WHOLE FOODS MARKET」とコンセプトは同じなのでしょうが、イタリアらしいハイセンスな空間デザインが際立っています。3階はアルコール類(ワインとビールなど)の売り場ですが、その陳列の仕方にセンスのよさが感じられました。意外に思ったのはビールの充実ぶり。聞けば、イタリアでは最近、地ビールがたいそう人気を博しているとか。何より素晴らしいのはラベルのデザイン。日本の比ではありません。フィレンツェに行く車中で食べるサンドイッチ類と、日本では見かけないレモンのジャムを買いました。

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ミラノ中央駅から夜8時20分発ローマ(テルミニ)行きの特急(トレニタリア)に乗りました。日本のJRのグリーン車よりはるかに座り心地のいい椅子が左右に3列(2+1)。縦も15列ほどなので前後左右ともゆったりしています。もちろん、スーツケースを置くスペースも車輌の出入り口付近に確保されているので安心です。
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ただ、国内の旅行客を想定しているのでしょう、巨大なスーツケースを持って乗る私たちのような海外からの客からすると、もう少し広くてもといいのにと、正直思いました。それと1両おきではなく全車両にスペースを確保してもらいたいですね。それでも、こういうスペースがまったくない日本の新幹線よりははるかにマシです。「海外からのインバウンド2000万人」突破が現実になりつつある国なのですから、スーツケース置き場がまったくない長距離列車など信じられません。


夜10時、2つ目の停車駅フィレンツェ・サンタ・マリア・ノヴェッラに到着、ホテルにチェックインしました。アルノー川沿いに建っており、窓からは川はもちろん、ポンテ・ヴェッキオもすぐ近くに見えます。それだけで疲れも吹き飛びました。家人も同様で、川というか、水はやはり人の心を穏やかにしてくれるのですね。

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イタリアにスタバがない理由

2016年3月23日

1日目の張り切りすぎがたたってか、朝からどっと疲れが。やっとのことで昨日決めておいたカフェまで行って朝食。その足でドゥオーモに向かい、入場券売り場に直行。9時前だったので、人の姿はまだまばらで、すんなり中に入ることができました。しかし、入り口の警備は軍隊が担当しており、非常に厳重です。もちろん、イタリア的にですよ、念のため。

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中の壮大さは、普通のドゥオーモ(聖堂)が4つくらい合わさったほどのスケールといえばいいでしょうか。ぶったまげました。それでも、尖塔部分の高さは世界のベスト10にも入っていません。いちばん高いドイツのウルム大聖堂のそれは161・5メートルもあるといいますし、私たちも行ったことのあるケルン大聖堂が157・4メートル、ヴァチカンのサン・ピエトロ大聖堂が132・5メートル、フィレンツェのドゥオーモが107メール。ここミラノはたった84メートルなのですから。

Dsc_0154屋上にはエレベーターで上がりました(さすがに歩いていこうという気にはなれませんでした)。しかし、眺めはすばらしかったですし、それ以上に、ドゥオーモ屋上の造作の素晴らしさ! 外壁の彫刻や数多くの小さな尖塔も手が込んでおり、これには驚く以外ありません。


ドゥオーモを見学したあと一度ホテルに戻りました。ひと休みしたあと夕方近くになって、最近人気だというナヴィリオ運河まで行くことに。運河なので淀んではいるのですが、雰囲気のいい場所です。若い人がたくさん集まっていることからもわかるように、教会や美術館だけではないミラノの別の一面が垣間見えました。

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Dsc00199夕食は、地下鉄の駅近くにあるピッツァリアで。ピザのスモールサイズ2枚とサラダ、あとミラノ風カツレツを頼もうとしたら、最初の2品を書き留めたところで、店員が「もうやめときなさい。それ以上は無理。うちのメニュ-はみな特大だからね」とストップをかけるではありませんか。実際に食べ始めてみると、そのとおり。貴重なアドバイスに感謝しながらホテルに戻りました。

去年訪れたときにも感じたことですが、イタリアではスタバを見かけません。ローマでも出くわすことはありませんでした。ミラノも、昨日・今日と主だった観光スポットを歩きましたが看板はなし。もっとも、エスプレッソコーヒーのおいしさを考えれば、スタバの出番などあろうはずもないでしょうが。

実際、イタリアのコーヒーはおいしいのです。エスプレッソは「ダブル」で注文しても、デミタスのカップ、下3分の1ほどしか注がれていません。3口で飲み干すのが正しいという話を聞いた記憶がありますが、それこそひと口でもOKといった感じです。でも、味の奥行きというか深みが素晴らしく、日本の薄口エスプレッソなど、足もとにも及ばないといっても過言ではありません。


私のようになまじ「NESPRESSO」で“騙されて”きた者からすると、最初はその濃い味にびっくりします。「これがイタリアのコーヒーなんだ!」ということがわかると、「NESPRESSO」のいい加減さには怒りさえ覚えます。要はインスタントのエスプレッソでしかありません。どんなによくできているとしても、インスタントはしょせんインスタントなのですね。