飛鳥山”登頂”に成功──私の「マイクロツーリズム」⑲

●箱根山に続き、今回の”23区内登山”は飛鳥山です。京浜東北線・王子駅から徒歩5分。駅からはなんとモノレール(16人乗り)もあります。この日の第一目標は、山の中にある渋沢(栄一)史料館だったので、駅の手前でバスを降りました。コロナ禍のため予約制ということもあり、中はガラガラ。
●建物の大きさのわりに会場はコンパクトでしたが、展示内容は濃密。しかも、太平洋戦争中の空襲で焼失した自邸の庭園に残った晩香盧[ばんこうろ]と青淵[せいえん]文庫(どちらも重要文化財)がセットになっていて、じっくり見たら2時間はかかりそうです。
●晩香廬は木造の洋風茶室、青淵文庫は鉄筋コンクリートの書庫。
青淵文庫に展示されていた「理に従えば則(すなわ)ち裕(ゆたか)なり。慾に従えば惟(これ)危うし」の揮毫は印象に残りました。どこかの国の首相に、目をこすって見てもらいたいと、思う人も多いのではないでしょうか。
●計3カ所の見学を終え、いよいよ飛鳥山に登ると、標高25・6mの”山頂”には立派なモニュメントが。1本だけですが花を咲かせている梅、葉牡丹、ノースボールやビオラなど小さな花々を植え込んだ花壇が心を和ませてくれます。もう2、3週間もすれば”本命”のソメイヨシノも満開となり、人であふれ返るはず。もともと、徳川吉宗が花見の場として作らせたのを公園として整備した場所ですから。
●コロナ禍で行動自粛の期間が長びき、フラストレーションもほぼ頂点に。でも、こうした時間を過ごすと、多少は気持ちが休まります。仕上げはもちろん食べ物。駅前に行列している店があったので、のぞいてみるとワンタン麺の専門店。若い人がほとんどでしたが、私たちも並んでみることに。いま流行りの脂ギトギトのスープではなく、比較的あっさりした味が古希の夫婦には心地よかったです。

Facebook Post: 2021-03-03T08:19:58