月別アーカイブ: 2021年1月

買い物ついでに冬の山登り──私の「マイクロツーリズム」⑮

●この年齢になって人生初の体験ができるのもコロナ禍ならではの話。今日は真冬の登山にチャレンジしました。というと驚くかもしれませんが、23区内にある人造の山としては最高峰、標高44.6メートルの箱根山を”制覇”したのです。それも買い物の帰り道、文字どおり事のついで。でも、立派な「登頂証明書」もいただきましたよ!
●拙宅から車で15分、23区のど真ん中に”そびえる”この山”はもともと、江戸時代、尾張徳川家下屋敷山荘の庭園内に作られた築山(つきやま)で、いまは新宿区立戸山公園の一部。ただし、二つのエリアに分かれているこの公園の総面積は5万6千坪ほどで、ハンパな広さではありません(できた当初は13万6千坪)。
●尾張藩は言わずと知れた御三家の筆頭。だからこその広さなのですが、維新後は国有地となり、陸軍の戸山学校、軍医学校、練兵場がありました。 戦後、軍事施設はすべて廃止、現在は都営住宅、戸山公園、国際医療センターなどになっています。ちなみに、尾張藩の中屋敷は現在の紀尾井町の上智大学、また上屋敷(藩邸)は市ヶ谷の防衛省(三島由紀夫が割腹した場所)にありました。いまさらながら「尾張」の存在感を感じずにはおれません。
●箱根山の頂上からは西新宿の高層ビル群が見え、ふもとには蝋梅(ろうばい)や椿が。山の手線の内側にこんな空間があるのは驚きです。目白のおとめ山、日比谷の三笠山はすでに登りましたが、ほかにも古くからの桜の名所・飛鳥山(王子)、御殿山(五反田)、かつてNHKの放送塔があった愛宕山など、23区内にはまだまだいくつか「山」があるようなので、これからぼちぼち登ってみようっと!

Facebook Post: 2021-01-26T16:35:27

南青山で向田邦子に触れる──私の「マイクロツーリズム」⑭

●「台湾一周鉄道の旅」を終え帰国したのはちょうど1年前。いまのところ、これが”最後の海外旅行”になっています。その台湾で40年前、飛行機事故に遭って亡くなった向田邦子。ラジオやテレビドラマの脚本、小説、エッセイなどで絶頂にあった彼女を偲ぶ特別イベント「いま、風が吹いている」が南青山でおこなわれていると知り、行ってみました。
●正直、”向田ワールド”との接点は皆無。学生時代はテレビを持ち合わせず、「寺口貫太郎一家」も「時間ですよ」も見たことありません。直木賞に輝いた1980年頃は仕事がチョー忙しく、短編小説を読む時間すらない毎日。そんな私にとって「向田邦子」は一般常識の一部分でしかありませんでした。妹の和子さんがやっている赤坂の小料理屋がおいしいものを食べさせてくれるという話は聞いており、一度行ってみたいなと思っていたくらいです。
●会場の中は9割かたが女性。うちのカミさんも含め、その多くが生前の彼女に憧れや敬意、親しみを抱いていたのでしょう。ふだん使っていた湯呑みや茶碗・皿、身につけていた洋服、愛読していた本など、心ならずも遺していった品々にも強い関心を寄せていたようです。
●会場を後にし、原宿の駅まで表参道を歩いていくと、冬枯れた樹々に温かい日差しが注いでいます。枝の合間からは抜けるような青い空が。その向こうに、どんなに忙しくても、”自分らしく気持ちよく暮らしたい”という人生を、いささかも力むことなく生きていた彼女のさわやかな笑顔がのぞき見えたような気がしました。

Facebook Post: 2021-01-22T22:18:54

コロナ禍でもタバコはうまい──私の「マイクロツーリズム」⑬

●「STAY HOME」に入って1週間。今日は天気もよかったので、少し遠出してみました。目的は、本所吾妻橋(ほんじょあづまばし・都営地下鉄浅草線)にある「たばこと塩の博物館」で開催中の「明治のたばこ王 村井吉兵衛」という展覧会。村井のライバルで、鹿児島県出身の岩谷(いわや)松平を拙著で取り上げたことがあり、それ以来関心を抱いていました。昨年の秋その開催を知り、ようやく願いがかなった次第。
●本所吾妻橋駅の真ん前には東京スカイツリーが。雲ひとつない冬の青空に立つスカイツリーのソフトな曲線が寒さを和らげてくれているかのようです。駅から歩いて10分ほどで到着。その昔、たばこと塩とアルコールの販売は、専売公社が独占していました。しかし、明治時代は、タバコの製造・販売が自由。それまで刻みタバコしかなかった日本にアメリカ風の紙巻きタバコが入り始めた頃で、京都の村井と岩谷の二人が熾烈な競争を展開しました。結局は国が専売事業化したため、どちらも手を引かされたのですが、岩谷が不遇な晩年を過ごしたのと対照的に、村井はその後も充実した人生を満喫します。
●それにしても、人間が生命を維持するのに欠かせない塩とタバコが同じ扱いを受けていたとは! タバコの常設展示のフロアには「客あればお茶より先にタバコ盆」「今日も元気だタバコがうまい」など、かつて一世を風靡したCMコピーが紹介されていましたが、いまからすると考えられない文言です。そういえば、昔は病院の待合室、駅のプラットホーム、飛行機の中……ほとんどどこでもOK。タバコが体に悪いなどとは、誰も考えていなかったのでしょうね。
●塩のフロアも見て回ったので、たっぷり1時間半楽しめました。その間入館者は私一人で、途中でマスクはポケットに。建物を出ると、脳が「聖なる儀式」を求めているのがわかります。入口に立つシンボルモニュメント(19世紀初めにスウェーデンのタバコ屋が看板として使用していたものが原型だそう)の前で、携帯灰皿片手に一服。脳だけでなく全身がリフレッシュし、めっきり元気になりました!

Facebook Post: 2021-01-19T20:39:25

いまになってぶり返してきた? 私のADHD

●「ADHD」とは精神医学の言葉で、注意欠如(集中力がない)、多動症といった子どもの発達障害を指すのだそうです。授業に集中できない、しょっちゅう忘れ物をするなどの”症状”が特徴で、教師から叱られることが多いとも。私自身も子どもの頃そういう傾向が多分にありましたが、病気とは思いも思われもしませんでした。幸い、「叱られてばかりで自信を失い、追い詰められてしまう」という事態には至らずには済んでいますが。
●ただ、緊急事態のさ中にあって、いまの私は「A あちこち出かけないと D どうかなってしまう H ひじょうに D Dangerous な気分」にあるようです。大人なのでおとなしく我慢してはいますが、自分でも気がつかないうちにストレスがたまっているのは事実。それだけに、今週土曜日のラグビー🏉トップリーグ開幕戦を楽しみにしていた(もちろんテレビ観戦)のですが、今日時点で6チーム62人がコロナに感染したため中止→延期となってしまいました。
●ラグビーの試合では、敵味方の選手が立ったままボールを奪い合う「モール」という場面が何回かありますが、モールとはそのものズバリ「密集」という意味。それも朝の通勤電車以上のレベルですから、考えただけで怖くなります。その意味で、すべての球技でいちばん感染リスクが高いのがラグビーと言っていいでしょう。
●W杯で大きく飛躍した日本のラグビー。大会で活躍した各国のスーパープレーヤーが多数加入したのに、なんとも残念でなりません。昨年に続き(シーズン途中で打ち切り)今年もまたつまずいてしまったことで、遅れを取るのは必至。この先どのように挽回できるか見当もつきませんが、これはもう、祈りながら待つしかなさそうです。

Facebook Post: 2021-01-14T19:44:38

天理大学の優勝に大拍手!

●「緊急事態宣言」後初めての3連休。初日と2日目はウォーキングや買い物に出かけましたが、昨日は震えるような寒さで、とても外出する気になれません。代わりに、大学ラグビーの決勝をテレビで楽しみました。結果は、私も応援していた天理大が早稲田を55対28でくだし初優勝。昨年夏、部員寮でコロナの集団感染が発生し、1カ月間活動ストップを余儀なくされたハンディを乗り越えての栄冠で、大拍手です。
●ここのところずっと関東が優勢だった大学ラグビーで、関西のチームが勝ったのは同志社大以来36年ぶり。高校ラグビーのエリート選手をズラリとそろえた早稲田(なぜか、リザーブに我が母校の出身者がいたのには驚きましたが)に対し、天理大のメンバーはほとんどが無名。それでもハードな練習を積み重ねてこうした結果につなげたのはあっぱれのひと言です。高校ラグビーは関西を中心に西日本勢が強いのですが、卒業するとほとんどが関東の大学に進学。それがそのまま反映されている大学ラグビーの勢力図に風穴を開けたことがわたし的にはうれしくてたまりません。
●もう一つ、外国人留学生の存在も大きく影響していそうです。早稲田・明治・慶應など伝統校から成る「対抗戦グループ」が”純血主義”にこだわっているのに対し、新興の東海・大東文化・関東学院など「リーグ戦グループ」、また「関西リーグ」ではここ数年、留学生がどんどん増えています。ただし、「対抗戦グループ」でも、加入してまだ歴史が浅い帝京大は留学生の力を活かし、大学ラグビー9連覇という前人未到の結果を残しました。
●2019W杯でベスト8を勝ち取ったJAPANのメンバーを見ればわかるように、ラグビーではいまや外国人選手は欠かせない存在。野球、サッカーはもちろん、バスケ、バレー、相撲、陸上競技、駅伝など、日本のスポーツ界はいまやどんどんグローバライズされつつあります(ここは日本なのになぜ外国人が……とめくじらを立てている人もかつてはいましたが)。そうしたトレンドを素直に受け入れ、というかむしろ積極的に進めないと、世界から取り残されてしまいそうです。

Facebook Post: 2021-01-12T09:50:44

「孤独のグルメ」だけでは健康は保てないかも

●大晦日・元旦と、テレビ東京の「孤独のグルメ」を見続けていた私。35年前に原作者のデビュー作に編集者として関わったこともあり、いまでも追いかけています。夕方、ドアホンが鳴るので出てみると、「amazon からで〜す」の声が。カミさん宛で、中身は本が3冊(写真)。しかも、硬そうなタイトルばかりです。そういえば、年末もけっこう難しい本を読んでいたようで、お気楽な番組を見呆けていた私はドキッとしました(笑)。
●「血管をよみがえらせる食事」は、主として心臓など循環器系のリスクを防ぐために、ベジタリアン的な食生活の実践を説いたもののよう。私自身が抱えているリスクはいまのところ代謝系(糖尿病寸前)で、この1年家にいる時間がぐんと増えたことで食事が偏り、心配な面はあります。ただ、循環器系と代謝系とでは食生活コントロールのあり方に違いがあるので、先の本に書かれているスタイルはカミさんにはよくても、私自身には合わないような気もします。
●三が日も朝8時から夕方4時頃まで、柿の種やらミカンやら最中やらクッキーやらせんべいやらを食べながらテレビの前から離れず、結局外には一歩も出ずじまい。血管を傷めつけたのは間違いなさそうです。「孤独のグルメ」に登場する食べ物は、そうしたことに配慮したメニュー選びはありませんでしたし。
●そこに今度は首都圏の「緊急事態宣言」。半月もすれば範囲はさらに拡大しそうで、昨年の春から初夏の頃と同じような状況になるのでしょう。断捨離はひととおり終わっているので、今度は料理に真剣な関心を払えます。よ〜し、これからは栄養や健康管理にも気をつけながら頑張ってみよう━━そんな思いがきざしてきました。

Facebook Post: 2021-01-06T22:21:55

駅伝ランナーたちが走った道を1日遅れで追体験⁉︎

●駒澤大が劇的な逆転優勝を果たした箱根駅伝。その翌日、小田原に行きました。2区と3区との中継所・鈴廣蒲鉾店にほど近い「ういろう」という店です。名古屋名物の一つ”ういろう”は、米や小麦など穀粉に砂糖と湯水を練り合わせたものを型に入れて蒸したお菓子。でも、もともとは薬(見た目は仁丹そっくり)の名前で、江戸時代はそれこそ万能薬として広く普及していたといいます。カミさんにとってはいまなお「何かあったらういろう」と言うほどの欠かせないもの。
●京都でその製造にたずさわっていた外郎(ういろう)家が室町時代に小田原に移り住み、今日まで続いているのですが、その一方でお菓子のういろうも作っている、考えてみれば不思議な店です。しかも、ネットでは販売しておらず、店に行かないと手に入れられません。
●前日駅伝のランナーたちが走り抜けた国道1号線に面して立つ店は小田原城を模した建物で、目立つこと目立つこと。我が家から80㎞も離れており、ただ行って帰ってくるだけではもったいないので、併設の中華料理店でランチを食べることに。「杏林(きょうりん)亭」という小さな店ですが、なんとかもぐり込めました。オーダーした飲茶セットは、お正月色をほどこした6点盛りの前菜、中身ぎっしりの春巻、小籠包に焼売、京風のさっぱりしたスープの麺、デザートが杏仁豆腐+ういろうという内容。ここ1週間ずーっと和風の食事が続いていたこともあり、中華は新鮮でした。
●帰りがけ、すぐ近くにある松永安左エ門記念館を訪れてみたのですが、リニューアル工事のため休館していたのが残念でした。松永は「日本の電気王」「電力の鬼」とも称された人物で、記念館は、亡くなるまで住んでいた自宅。それにしても、今年のお正月は元旦からずっとほぼ快晴で、富士山もくっきり。澄み切った空のようなスカッとした1年になるでしょうか。

Facebook Post: 2021-01-05T08:53:24

静かにじっと過ごすお正月は久しぶり

●元旦の夜の楽しみは、NHK Eテレでウィーンフィルのニューイヤーコンサート。今年はコロナ禍もあり、無観客でおこなわれましたが、見ごたえ・聴きごたえ十分の3時間でした。ラストの「美しき青きドナウ」とアンコールの定番「ラデツキー行進曲」を聴くと、新しい年が始まった! という実感が湧いてきます。
●とはいえ、コロナ禍のためあちこち出かけるわけでもなく、子どもや孫たちがやって来るわけでもありません。ここ10数年続いていた京都での仕事(1月2・3日)も今年は中止になり、久しぶりにの〜んびりした三が日を過ごせそう。今日もずっとテレビの前で、箱根駅伝、大学ラグビー準決勝、高校時代の友人がプロデュースしたドラマ「若冲」(NHK)と、切れ目なしです。
●お正月といえばとにかく”静か”というのが、子どもの頃の記憶。車も走っていなければ、買い物に出かける人も皆無。たまに聞こえてくるのは、初詣から帰ってくる近所の人の足音くらいだったでしょうか。どこの家でも、コタツでミカンを食べながらテレビを見たりトランプをしたり。”社会全体がお休み”というのがお正月だったように思います。
●そんな時代がずーっと続いていれば、コロナ禍などというのも起こらなかったかもしれません。動けばかならず反作用があるのが世の中の法則。私も「動きたい」と思っている一人ですが、その場所と範囲についてはよほど慎重に検討する必要がありそうです。━━な〜んてきれいごとを書いてしまいましたが、さて、どうなることやら。

Facebook Post: 2021-01-02T17:56:03

新しい年の無事を願いたい

●昨年の秋から、庭に10数個ある鉢植えにテキトーなインターバルで水をやっていたら、年の押し詰まった頃、その一つで可愛らしい花が咲き始めました。キングイエローという水仙の仲間で、さわやかなレモン色が、新年の到来を静かに祝ってくれているかのよう。
●11月下旬に植え込んだチューリップも芽をのぞかせています。こちらは2年目なので、どの程度まで咲くか見当がつきませんが、あと3カ月弱しっかり育ってほしいものです。こんな余裕のコメントを書けるのも、今日のおだやかな日差しのおかげかもしれません。
●年末年始は、数年に一度の寒波が日本列島に襲来との予報が出ていました。でも、なぜか東京とその周辺だけは温暖。そういえば、夏の異常な豪雨や強烈な台風は、もう何年も東京にはやってきていません。この地を首都に選んだ徳川家康の炯眼に感心するばかりですが、その分負のエネルギーがどんどん蓄積されているのではと不安になります。
●それはともかく、新しい年の出発はおせちから。今年並んだのは既製が4点にカミさんの手製が9点。唯一、ミックスナッツ田作りは私が煎りました。例年なら重箱に並べるのですが、コロナ禍で来客もない今年は品数を減らし、それも省略。でも、そのほうがかえってよく食べられ、箸も進みます。この調子で新しい年が何ごとも順調にと、願うばかりです。

Facebook Post: 2021-01-01T21:08:37