月別アーカイブ: 2016年10月

「漢字三千年展」で高校時代を思い出す

2016年10月26日
漢字というのは、とても不思議です。もともと象形文字に由来するものが多いせいもあるのですが、ほとんどの漢字がその昔の姿で見られるというので、八王子にある東京富士美術館に足を運んでみました。

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さまざまな展示がありましたが、いちばん感動したのは「蘭亭序」という王羲之の名作の拓本がいくつも見られたこと。高校1年生のとき、選択で取った書道の授業は、1年間かけてその全文を書くというものでした。落款も自分で彫り、でき上がった作品を表装し、落款も押し、2月の終わりごろ自作の「蘭亭序」が完成しました。

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もちろん、どうひいき目に見ても字はド下手もいいとこなのですが、表装までしてみると、なんだかもっともらしい感じがします。いまでも、手もとに保管してあるので、ときどきためつすがめつしてみるのですが、下手さをますます強く感じるだけ。それだけに、もう一度きちんと書き直してみたいなと思っています。実現するのは難しそうですが、それでもなんとか……。

読売に出た拙著の書評に感動・感心

2016年10月23日
朝、携帯に友人からメールが入りました。「今日の読売に、この前贈ってくれた本が出ていますよ」とのこと。さっそく、家人にコンビニまで走ってもらい、読売を買ってきてもらいました。

読売新聞は10・11面が読書欄。その11面の下、「記者が選ぶ」というところに『「いい夫婦」の旅術』が紹介されています。書評も、上の大きなスペースに、カバーの写真入りで紹介されているのは、どちらかというと‟重たい”系の本が多いのですが、それ以外のところはどちらかというと軽い感じで読めるもの。当然そこに入っていたのですが、これが、とてもよく書かれていて、感動・感心しました。通りいっぺんの紹介でなく、じっくり読んでくださったことがひしひし伝わってくるのです。

「中高年世代のリアルな距離感も伝わってくる」「異国に分け入っていくなら、やはり気心の知れた相手と一緒がいいはずだ」「長年連れ添うことの意味も教えてくれる一冊」と、著者である私がこの本に込めた思いを的確に表現してくださっています(ごく自然に、敬語がでてきてしまいます!)。ある意味、書評のお手本というか、目に止めてくださった方は、すぐ「アマゾン」のウェブサイトにアくセスしたくなるのではないかと思ったしだい。本当にそうだといいのですが……。紹介してくださった「旗」さん(筆名)という記者さん、ありがとうございました!

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欲張りメニューの3日目は

2016年10月19日

DSC00994今日で熊野古道チャレンジも最終日。残る一つ「熊野那智大社」に向かいます。那智の滝があるところですが、それを見るのに、たいていの人は車で「那智山」まで上がってしまうとのこと。でも私たちは「チャレンジャー」ですから、歩いて登ることにしました。

 

DSC01001スタートは、山のふもとにある「大門坂【だいもんざか】」。手前の駐車場に車を止め、降りて歩き始めると、澄んだ空気の中、杉木立に囲まれ苔むしている坂は荘厳な雰囲気に包まれています。最初のうちはゆるやかでしたが、途中からかなりきつい勾配に。あまりのしんどさにリタイアしている人もいましたが、私と家人はあえぎながらも30分歩き、なんとか途中の那智山駐車場まで登りました。

 

DSC01006ここからは石段です。10分ほどで「那智大社」に到着。本殿は熊野権現造りの朱塗りですが、どことなく神聖な雰囲気があります。八咫烏【やたがらす】が石に姿を変えたといわれる烏石、那智大社と青岸渡寺【せいがんとじ】の間、社務所の向かいに立つ樹齢850年以上という大楠も見ました。根もとは空洞で祠のようになっているのがなんとも不思議。

那智の滝はそこからさらに下っていきます。興味深いのは欧米からやってきたとおぼしき人の目立つこと。家族連れ、カップル、ひとり旅と、いろいろな人がいましたが、こんな場所にまでやってくるのを見ると、インバウンドの急増は事実だということをまざまざと感じます。

那智の滝は、予想にたがわぬ迫力です。高さ400m近いのですからそれも当然。下から見上げると、みごとなものです。水量がさほどでもなかったので、これが雨のあとだったりすれば、かなり水しぶきを浴びそう。帰りはバスで駐車場まで移動し、そこからはまたレンタカーで白浜の空港まで海沿いの道を走ります。

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DSC01043ただ、途中、休憩を兼ねて立ち寄った橋杭岩【はしくいいわ】は意外な穴場というか、そのロケーション、姿かたちに感動しました。ガイドブックにおもしろそうな写真が出ていたので、軽い気持ちで寄ったのですが、海面からなんとも奇妙な形の岩が顔を出していて、しかもそれがずらっと横に並んでいるのです。だれもが、その前に立てば写真を撮りたくなるのは必至。私も、迷わずその前に立ってみました。長い旅の疲れも一瞬で吹き飛んだような気がします。

DSC01062橋杭岩のすぐ対岸に浮かぶ紀伊大島(といっても橋でつながっている)には、トルコ記念館がありました。なぜこの地(串本町)にトルコなのか、これには深い理由があります。1890年9月、日本から帰国の途にあったトルコの軍艦エルトゥールル号が折からの荒天のあおりで座礁、沈没してしまったのがこのあたりだったのです。地元住民が献身的な救助活動にあたりましたが、乗組員656名のうち587名が死亡(69名は救助された)しました。

引き揚げられた遺体は、遭難の現場を真下に見下ろす丘に埋葬されたと伝えられ、翌92年3月、和歌山県知事など有志が資金を出し合い墓碑と追悼碑を建立、追悼祭もおこなわれました。そして1937年、トルコ建国の父ケマル・アタテュルク(初代大統領)の発議で慰霊碑が現在のような立派なものに作り替えられました。慰霊碑の斜め前には彼の銅像が建っています。その後、1974年には記念館が作られました。

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DSC01076トルコ軍艦遭難記念碑の次は最後の目的地・潮岬灯台。台風情報などでその名前は耳にタコができるほど聞いていますが、実物を見たことはありません。行ってみると、広い駐車場に止まっている車は2、3台。灯台自体は特別な形をしているわけでもありませんが、実際中に入り、狭くて急な螺旋階段を上がると、すぐ目の前に熊野灘が広がっています。「これが潮岬なんだ」と、妙な満足感を覚えました。一度この目で確かめてみたいという思いが心の底にずっと息づいていたのでしょうね。

「熊野古道」2日目

2016年10月18日

今日はまず本宮の少し奥(京都からやってくる際は本宮=ゴールのすぐ近く)まで旅館のバスで送ってもらい、そこから熊野古道のいうならば“チョー短縮版”を体験しました。それでも、1時間少々、なだらかな登り下りで構成されているコースはけっこう楽しめます。

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DSC00949こからはレンタカーで、美術館分館が建つ中辺路まで戻ります。本堂から少し外れた近露王子【ちかつゆおうじ】という場所にあるのですが、まわりは畑と雑木林しかないところに突然あらわれる美術館にびっくり。外装もえらくモダンで、ちょっと浮いた感じは否めません。祖父の作品も三つ、展示されていました。

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DSC00978美術館をあとにし、二カ所目の「熊野速玉神社」へ。こちらは新宮市の街中にあるので、山あいの地にある本宮大社と違い、それほど神秘的な雰囲気はありません。ただ、訪れる人が少ないせいか、落ち着いた感じがします。

DSC00976ついでに、始皇帝の時代、皇帝から「不老不死の薬を見つけてこい」との命を受けて遣わされこの地にたどり着いたという徐福を祀る公園をのぞいてみました。新宮の町自体とても地味な感じがするので、徐福公園の楼門の極彩色は異彩を放っています。中はきれいに整備され、徐福の像や墓などがありました。

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今日の宿は勝浦市の海岸近く。典型的なオールドスタイルの温泉旅館ですが、2日続けての温泉という、ふだんはなかなか経験できないぜいたくをさせてもらい、久しぶりのドライブの疲れも即解消。明日に備えます。

長年のあこがれ・熊野古道に“チャレンジ”??

2016年10月17日
今日から3日間かけて、長年の課題だった「熊野古道」にチャレンジします。「チャレンジ」というにはいささかおこがましいのですが、それでも細い山道を1時間以上かけて歩くなど、東京にいてはまず経験できないこと。それを実行してみるだけでも、とても意義深いことのように思えます。

きっかけは、ひと月ほど前に和歌山県田辺市立美術館から届いた「開館20周年記念コレクション展2 現代絵画─戦後の抽象─」の案内状。同美術館に収蔵されている祖父・德次郎の作品が3点、今回分館のほうに展示されるというのです。分館は「熊野古道なかへち美術館」という名前のとおり、熊野古道の途中・中辺路【なかへち】にあります。せっかくの機会なので、観にいったついでに、前々から行きたいと願っていた熊野古道にも足を延ばすことにしました。

お昼前に着いた南紀白浜空港でレンタカーを借り、紀伊半島のほぼ東端にある「熊野本宮大社」に向けて出発。位置関係からすると、初日の今日、美術館に行くほうが効率はいいのですが、月曜日のためあいにく休館です。全国どこでも、このパターンは変わらないようで、仕方なく、本宮を先に訪れることにしました。もともとは山深い地のはずですが、いまでは道路がばっちり整備されているので、いとも簡単に行けてしまいます。道路もガラガラで、途中ランチに立ち寄った店も、客は私たちだけでした。

 

DSC00901  本宮大社も人の姿はまばら。本殿まではもっと険しい階段とか坂道を想像していたのですが、それほどでもなく、楽に昇り降りできました。本殿の裏側が熊野古道のゴール地点になるようで、木々がうっそうと生い茂っていますが、こちらは明日のお楽しみ。1日目なので、あまり張り切りすぎてもあとに響きそうなので、ちょうどころあいの感じです。

DSC00944階段を降りると、もともと本宮大社が建っていた場所に残されている巨大な鳥居が目に入ってきました。田んぼの真ん中といった感じなので、とても目立ちます。飛鳥時代の615年に本宮大社が創建されたのは、熊野川・音無川・岩田川という三つの川が合流するあたりの中洲(大斎原【おおゆのはら】という)で、いまの本宮大社の8倍という広大な敷地だったそうです。上・中・下社の三つから成り、五棟十二社の社殿、楼門、神楽殿や能舞台もあったといいます。

それが1889年8月の大洪水で大きな被害を受けました。2年後、上四社がいまの地に遷座し復興したのですが、創建当時の大きな鳥居は元の場所にそのまま残されているのです。高さ約34m、幅約42mという大きさなので、真下のあたりから見ようとすると首が痛くなります。

DSC00926本来の今日の宿泊は本宮の近くに三つある温泉地の一つ。道路から坂を下りていった川っぷちに建つ、一見保養所風の建物でした。川の両岸に施設が広がっており、温泉に入るには、川に架かる吊り橋風の橋を渡っていきます。幸い好天だったのでよかったのですが、雨でも降っていたら、ちょっと躊躇するかもしれません。また、風が吹いたらさぞかし揺れそうです。

それでも、食事の前に1回、食後に1回、翌朝に1回と、いつものとおり3回、お湯につかりました。食事もけっこう充実しており、空いている時期だったので、ていねいなおもてなしを受けられ、よかったです。

乗り継ぎ2回も、届いていた預け荷物に安心

2016年10月7日

昨夜は18時10分のルフトハンザ便でフランクフルトに。そこで乗り継いで一路香港へ向かいました。フランクフルトで1回、香港→マカオへの荷物もスルーなので、実質的には2回の乗り継ぎ、最初の出発地がスペインということもあって、預け荷物のことが心配でしたが、さすがルフトハンザ、大大丈だったようです。それでも、実際に荷物を受け取ったときの安心感は何ものにも代えがたいものがあります。

マカオは1年半ぶりですが、その間に新しいカジノホテルができていました。半月ほど前にオープンした「パリジャン」です。ホテルの前にエッフェル塔のミニチュアが立っているので、そこだけトリミングしたら、だれもがパリだと思い込んでしまうかもしれません。

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香港とマカオとを結ぶ橋もいよいよ最終段階に入ってきているようで、その日が待ち遠しいですね。そうなると、マカオはますます変わり、人もさらにたくさんやって来るのではないでしょうか。

 

 

バルセロナの空港はスモーカーの天国!

2016年10月5日

昨日は郊外の奇勝地「モンセラット」に行ってきました。現地の旅行会社がやっているツアーを前日、予約しておいたのです。「凱旋門」からバスに乗って出発、1時間少々で到着。標高1235mとあって、バルセロナの市街地より心なしか涼しい感じがしました。1000年近く前に建てられた修道院があり、その中に有名な「黒のマリア像」がありました。自力で鉄道を乗り継いでいくのは大変そうですが、バスはその点とても楽です。

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モンセラットに向かう途中、ツアーの添乗員さんが折々にガイドをしてくれrのですが、聞いていて驚いたことがあります。それは、ちょっと目に着く建物があると、「あれは△△の設計」「こちらは〇〇の設計」と、名前を教えてくれたことです。バルセロナはそれほど、名だたる建築設計士が腕を振るった都市なのだということを知りました。

 

今日でバルセロナともお別れです。乗り継ぎ地フランクフルトに行く便が夕方発なので、それまではフリー。朝イチで、タクシーに乗って「グエル邸」まで行ってきました。ここは地下に馬小屋があり、1階に馬車庫、2階・3階と上に昇るにつれ、随所にふんだんな工夫がほどこされているのが見て取れます。そして、きわめつけは屋上。煙突の凝りっぷりには声も出ませんでした。

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「グエル邸」から「ランブラス通り」を歩いてホテルへ。

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預けておいた荷物を受け取り、タクシーで空港に向かいました。バルセロナの空港は世界でも最高に心地いいのではないかと思います。まだ完成してさほど時間が経っていないのでしょうが、ターミナルビルの屋上が全面的に喫煙スペースになっているのです。これまで観てきた空港の喫煙室はどこも皆、せせこましいところばかりでしたが(例外はシンガポール)、ここはそれこそお天道様の下で堂々と胸を張って吸えます。しかも、レストランやカフェまで付設されていました!!! こんな空港があるのなら、何時間早く着いてもOKでしょう。

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バルセロナのキリンに会いにいってきました。

2016年10月3日

DSC_0584昨日は旅の“中休み”。のんびり動物園に行きました。もちろん、キリンに会いにです。いました~~!! ここのキリンは、これまであちこちで行った動物園のキリンの中でもいちばん愛想がよかった気がします。ラテン系で人懐っこいのかなぁ。写真を撮る段になると、私のすぐ後ろまで近づいてくるのです。おかげでかなりアップめのショットが撮れました。

 

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そして今日は“ガウディ詣で”。1発目は「カサ・バトリョ」。ガウディが増改築を手がけたそうです。もともと大金持ちの邸宅だったというだけあって、隅々まで贅が尽くされています。その増改築ですから、オーナーは「好きにやってくれ。いくらかかってもいいから」といった感じだったのでしょう。凝りに凝った造りでした。

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次はそのほぼ斜向かいに建つ「カサ・ミラ」。こちらはいまでいうマンションです。ここの屋上は見ごたえがありました。マンションの屋上に作られた美術館といった趣でしょうか。いくらいても飽きません。

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バルセロナの目抜き通り=「ランブラス通り」を少々北にいったところにある「サン・ジュセップ市場」でランチにしました。“雑駁+香り+元気”という、市場らしい面白さがふんだんに詰まっています。それらがみごとにミックスし、陽性のエネルギーが建物の隅々にまで行き渡っている感じがしました。

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食後は、人でごった返している「ランブラス通り」をぶらぶら歩き。「レイアール広場」などに寄りながら歩いているうちに港まで来てしまいました。ちょうど、港の中を軽くクルージングする船が出るところだったので、それに乗ることに。小一時間の船旅でしたが、風が気持ちよく、けっこう楽しめました。巨大なクルージング船も停泊しましたが、なるほど街中どこに行っても混んでいるはずです。

 

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夜は「カタルーニャ音楽堂」へ。この前見たとき「ぜひ一度」と思いネットで調べてみたら、この夜のコンサートのチケットが売り出されていました。壁から天井から床から、とにかくどこを見ても贅が尽くされています。

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圧巻! 感動! タラゴナの「人間の塔」

2016年10月1日

さて、今日はいよいよ、「人間の塔」を観にタラゴナ(Tarragona)に行きます。今回の旅行の“メインイベント”と言っても過言ではありません。もともとは、数年前、自宅1階のリビングでテレビを見ていた家人が、「ちょっとー、お父さ~ん!」から始まった話。そのとき教えてくれたのがタラゴナの「人間の塔」という、カタルーニャ地方独特の行事でした。

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「人間の塔」とは文字どおり、100人を超える(多いときは300人近く)人が、腕と腕とをタオルのような布(革かも)でつないで肩を寄せ合って腕を組んだ上に次の集団が乗っかり、さらに何段も積み上がって「塔」を作るというもの。写真をご覧くださればわかるでしょうが、低いもので6段、高いと8段くらいになります。各地域ごとにチームがあり、それぞれが「塔」を作っていくスピード、手際のよさ、全体の形の美しさ、そして解体のスピード等を競い合うという催しが2年に1回おこなわれるのが、バルセロナの南にあるタラゴナ。カタルーニャ語では、「人間の塔」を「城」に見立て、「Concur de Castells(城のコンクール)」と呼んでいるようです。

 

春先からカタルーニャ地方全域で予選が始まり、毎年10月の初めに決勝がおこなわれるのですが、どこの地元も懸命に取り組んでいるといいます。決勝ラウンドが開催される今日と明日はもう大騒ぎで、地元のテレビも解説者付きで完全実況中継。今日は決勝ラウンドの前半で、予選の24位から13位までのチームによる演技でした。本当は明日の決勝ラウンド後半(同12位から1位まで)を見たかったのですが、チケットが手に入れられなかったのです(カタルーニャ語で書かれたウェブサイトには悪戦苦闘しました)。

しかしそれでも、私たちの目の前で繰り広げられたパフォーマンスはもう圧巻のひと言。そろいのユニフォームに身を固めた12チームが次々と塔を作り上げていく様子はなんともスリリングです。作り始めて3段目くらいで、いったん解体して最初からやり直すチームもあれば、最後の最後、7段目、8段目の選手が乗ろうとしたところで崩れてしまうケースも。また、首尾よく塔が完成したのに、上から順に人が降りて塔を解体していく途中で全体が一気に崩れてしまったり。全体を指揮するディレクターのような人がいて、下からこまめに指示を出しているのですが、なかなか思いどおりには行かないのでしょう。

見ていると、いちばん上に乗る一人は小学校低学年の、それも女の子が多いようです。そのすぐ下もやはり若い女性で2人か3人。その下が軽量の男性1人に女性2~3人といった感じで、中段は男女がほぼ均等、そしていちばん下の2段は全員が屈強そうな男性です。段の数にもよりますが、いちばん下の土台を作っているのは80人から120人くらいでしょうか。これまでも死者が出ることが何度もあったといいますが、なるほど、崩れ方によってはそれもあり得そうです。

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アリーナスタイルの広い円形体育館の上、塔を組み上げていく横には、一段一段高くなっていく様子をすぐ近くからテレビ映像に収めるためのカメラを取り付けた機材が、塔が高くなっていくのに合わせながら動いていました。それぞれ自分の地元のチームを応援している人たちも手に汗を握りながらの数分間。うまく組み上がり、塔が完成したときの喜びようはハンパではありません。最上段に昇った子どもが軽く手を上げるのが完成の合図で、その瞬間、場内は大拍手と喝采に包まれます。

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「人間の塔」の大会は夕方からだったので、それまでは町をあちこち見てまわりました。バルセロナのサンツ駅からタラゴナ駅までは電車で1時間。駅を降り地中海沿いに歩いていくと(途中からは石の階段)、地中海を見渡せる丘の上の公園に着きます。その下には、古代ローマの時代に作られた「円形競技場」の跡が。

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町の中心へ向かう広い通りの中央部は公園のようになっていて、両サイドは出店がぎっしり。途中、少し脇に入ったところにある広場では、大会に出ないローカルのマイナーなチームがミニチュア版「人間の塔」を作り、近くでお茶を飲んだり買い物をしている人たちを喜ばせています。しかし、こんな小さな塔でも、すぐ脇に警察官と救急隊員がスタンバっていました。

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そこをあとにし、タクシーで「ラス・ファレラス水道橋」に。これも古代ローマ時代に作られたもので、いまなおそっくり残っているのがすごいですね。全長200m以上、高さが26mですから、かなりの迫力です。橋の上には幅1mの通路があり、そこを往復してみましたがけっこうスリリングでした。

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水道橋がある場所は陸の孤島のようなところだったので、電話でタクシーを呼びました。こういうふうにタクシーを呼んだのは海外では初めての経験。相手はカタルーニャ語(スペイン語かも)しか話しませんが、なんとか通じたようなので、来たときにおろしてもらった場所で待つこと15分。来てくれた車で町に戻れました。

大聖堂の裏側でタクシーを降りて中を見学し、外に出るとちょうど結婚式を終えたカップルが。なんだか私たちはこういうシーンによく出くわします。そこからてくてく歩いて会場の「タラッコ・アリーナ」へ行くと、周りはもう人でいっぱいです。警察官、消防自動車、救急車があちこちに止まっていました。

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「人間の塔」を見終え、7時前の電車でバルセロナへ。ホテルの近くで気になっていた建物があったのですが、そこに入るとレストランがびっしり入っていました。どの店も大変なにぎわいで、私たちもその中の一つを選んで夕食。昼間タラゴナで食べたガスパッチョもおいしかったですが、この日食べたシーフードもたいそう美味でした!!

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