圧巻! 感動! タラゴナの「人間の塔」

2016年10月1日

さて、今日はいよいよ、「人間の塔」を観にタラゴナ(Tarragona)に行きます。今回の旅行の“メインイベント”と言っても過言ではありません。もともとは、数年前、自宅1階のリビングでテレビを見ていた家人が、「ちょっとー、お父さ~ん!」から始まった話。そのとき教えてくれたのがタラゴナの「人間の塔」という、カタルーニャ地方独特の行事でした。

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「人間の塔」とは文字どおり、100人を超える(多いときは300人近く)人が、腕と腕とをタオルのような布(革かも)でつないで肩を寄せ合って腕を組んだ上に次の集団が乗っかり、さらに何段も積み上がって「塔」を作るというもの。写真をご覧くださればわかるでしょうが、低いもので6段、高いと8段くらいになります。各地域ごとにチームがあり、それぞれが「塔」を作っていくスピード、手際のよさ、全体の形の美しさ、そして解体のスピード等を競い合うという催しが2年に1回おこなわれるのが、バルセロナの南にあるタラゴナ。カタルーニャ語では、「人間の塔」を「城」に見立て、「Concur de Castells(城のコンクール)」と呼んでいるようです。

 

春先からカタルーニャ地方全域で予選が始まり、毎年10月の初めに決勝がおこなわれるのですが、どこの地元も懸命に取り組んでいるといいます。決勝ラウンドが開催される今日と明日はもう大騒ぎで、地元のテレビも解説者付きで完全実況中継。今日は決勝ラウンドの前半で、予選の24位から13位までのチームによる演技でした。本当は明日の決勝ラウンド後半(同12位から1位まで)を見たかったのですが、チケットが手に入れられなかったのです(カタルーニャ語で書かれたウェブサイトには悪戦苦闘しました)。

しかしそれでも、私たちの目の前で繰り広げられたパフォーマンスはもう圧巻のひと言。そろいのユニフォームに身を固めた12チームが次々と塔を作り上げていく様子はなんともスリリングです。作り始めて3段目くらいで、いったん解体して最初からやり直すチームもあれば、最後の最後、7段目、8段目の選手が乗ろうとしたところで崩れてしまうケースも。また、首尾よく塔が完成したのに、上から順に人が降りて塔を解体していく途中で全体が一気に崩れてしまったり。全体を指揮するディレクターのような人がいて、下からこまめに指示を出しているのですが、なかなか思いどおりには行かないのでしょう。

見ていると、いちばん上に乗る一人は小学校低学年の、それも女の子が多いようです。そのすぐ下もやはり若い女性で2人か3人。その下が軽量の男性1人に女性2~3人といった感じで、中段は男女がほぼ均等、そしていちばん下の2段は全員が屈強そうな男性です。段の数にもよりますが、いちばん下の土台を作っているのは80人から120人くらいでしょうか。これまでも死者が出ることが何度もあったといいますが、なるほど、崩れ方によってはそれもあり得そうです。

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アリーナスタイルの広い円形体育館の上、塔を組み上げていく横には、一段一段高くなっていく様子をすぐ近くからテレビ映像に収めるためのカメラを取り付けた機材が、塔が高くなっていくのに合わせながら動いていました。それぞれ自分の地元のチームを応援している人たちも手に汗を握りながらの数分間。うまく組み上がり、塔が完成したときの喜びようはハンパではありません。最上段に昇った子どもが軽く手を上げるのが完成の合図で、その瞬間、場内は大拍手と喝采に包まれます。

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「人間の塔」の大会は夕方からだったので、それまでは町をあちこち見てまわりました。バルセロナのサンツ駅からタラゴナ駅までは電車で1時間。駅を降り地中海沿いに歩いていくと(途中からは石の階段)、地中海を見渡せる丘の上の公園に着きます。その下には、古代ローマの時代に作られた「円形競技場」の跡が。

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町の中心へ向かう広い通りの中央部は公園のようになっていて、両サイドは出店がぎっしり。途中、少し脇に入ったところにある広場では、大会に出ないローカルのマイナーなチームがミニチュア版「人間の塔」を作り、近くでお茶を飲んだり買い物をしている人たちを喜ばせています。しかし、こんな小さな塔でも、すぐ脇に警察官と救急隊員がスタンバっていました。

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そこをあとにし、タクシーで「ラス・ファレラス水道橋」に。これも古代ローマ時代に作られたもので、いまなおそっくり残っているのがすごいですね。全長200m以上、高さが26mですから、かなりの迫力です。橋の上には幅1mの通路があり、そこを往復してみましたがけっこうスリリングでした。

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水道橋がある場所は陸の孤島のようなところだったので、電話でタクシーを呼びました。こういうふうにタクシーを呼んだのは海外では初めての経験。相手はカタルーニャ語(スペイン語かも)しか話しませんが、なんとか通じたようなので、来たときにおろしてもらった場所で待つこと15分。来てくれた車で町に戻れました。

大聖堂の裏側でタクシーを降りて中を見学し、外に出るとちょうど結婚式を終えたカップルが。なんだか私たちはこういうシーンによく出くわします。そこからてくてく歩いて会場の「タラッコ・アリーナ」へ行くと、周りはもう人でいっぱいです。警察官、消防自動車、救急車があちこちに止まっていました。

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「人間の塔」を見終え、7時前の電車でバルセロナへ。ホテルの近くで気になっていた建物があったのですが、そこに入るとレストランがびっしり入っていました。どの店も大変なにぎわいで、私たちもその中の一つを選んで夕食。昼間タラゴナで食べたガスパッチョもおいしかったですが、この日食べたシーフードもたいそう美味でした!!

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