月別アーカイブ: 2017年12月

ラスベガスに誕生したNHL新チームの試合を観戦

2017年12月23日
クリスマス休暇前のラスベガスはホント、空いています。宿泊料金も1年中でいちばん安いのではないでしょうか。ホテルの中も、また外に出てもそれほど混んでいません。昨年来たのは、クリスマスから大みそかにかけての時期だったため、どこもかしこも人、人、人。今回はそれがなかっただけでも、まったく疲れずに済みました。

今回のラスベガス訪問のメインはNHL(アイスホッケー)の観戦です。ラスベガスはこれまで長い間、プロスポーツのチームがない都市でした。人口が100万をはるかに超えているのにプロスポーツのチームがないのはラスベガスだけ。それが今年からNHLの新チーム「ベガス・ゴールデン・ナイツ(VGK)」がフランチャイズを置きました。今年4月に完成した「T-mobile arena」が本拠地で、これがまたたいそう立派な施設。外側はさほどでもありませんが、内装がなんとも格好いいのです。

DSC04771

広島カープの本拠地であるマツダスタジアムの最大の特徴は、球場の周囲をひと回りできるコンコースですが、それとまったく同様、ここにもアリーナ全体をぐる~っと一周するコンコースがあります。もちろん建物の内側なのですが、その開放感といったら! 座席のスペースはそれほど余裕があるわけではありませんが、空間全体から感じられる居心地のよさは指折りではないでしょうか。

DSC04757 DSC04744

このアリーナではボクシングやプロレスなどの格闘技、バスケットボールなど、ほとんどの室内スポーツが楽しめるそうです。場所も空港からさほど遠くない「New York New York」というホテルのすぐ北側で、ラスベガスのどこからも便利に行き来することが可能。これから先、さまざまなビッグイベントがおこなわれるのでしょう。

試合はVGKのほぼワンサイドでしたが、観客のすさまじい応援ぶりが印象的。唯一のプロスポーツチームだけに、熱の入り方が違います。フランチャイズというのは本来、こういうものを言うのだろうなと、改めて感じた次第です。

DSC04764 DSC04767

DSC04770

今回のラスベガス旅行には、大きな反省点があります。カナダのeTA取得忘れもそうですが、個人旅行慣れによる落とし穴にはまってしまったことです。ツアーやパッケージであれば、チケットを購入する時点で旅行代理店や航空会社からそうした注意がなされます。ところが、いつものクセで、すべて自力で組み立てようとしたのが失敗でした。よくよく考えてみれば、東京とラスベガスの往復とホテルの予約だけですから、自分であれこれする必要などまったくなかったのです。

私が組み立てたフライト+ホテルとそっくり同じパッケージが売り出されていたことに気づいたのは、自力ですべて手配を終えてから。しかも、空港とホテルの送迎付きで価格も10万円以上安いのです。たしかに、1カ所に行って戻ってくるだけなら、ツアー以前というか、あつらえのパッケージを見つければそれで充分だったというわけです。

バンクーバーでのカナダ入出国→アメリカ入国は一瞬

2017年12月20日
12月20日、予定よりまる1日遅れでバンクーバーに到着すると、アメリカ行きの便に乗り換えます。しかし、これがまた予想をはるかに上回るスムーズさ。たしかに、形式的はカナダにいったん入国するのですが、出国もそれと同時。そして、すぐそのままアメリカへの入国手続きになるのです。

アメリカ入国も、人がほとんどいなかったため、ものの10分足らずで終了し、そのまま搭乗ゲートに急ぎます。そして、予定していた13時30分発の便でラスベガスへ。夕刻ラスベガスに到着し、ターミナルから出ると、外は猛烈な風が吹き荒れていました。ラスベガスはもともと砂漠ですから、目の前が一瞬見えなくなるくらいの砂が舞っていましたが、無事ホテルに到着。今回泊まる「Wynn」というホテルの特徴と言ってもよいゆったりした空気が改めてありがたく感じられました。

076

061   動画あり こちらをクリックしてください

このホテルはかつて「Mirage」を作って人々をあっと言わせた伝説の人スティーブ・ウィンが、「自分の理想はこんなものじゃない」と言って建てたもの。それだけに、ロビーまわりも部屋もレストランも、カジノもすべてに彼の思想が行き渡っています。もう10年以上前の話ですが、ウィンはそれでも満足しなかったようで、その4年後、「Wynn」に隣接した敷地に「Encore(アンコール)」という名のホテルを作りました。「Encore(=「もう一丁!」」です。

!cid_4857d242-4b4c-4a6e-8d14-6797fc3bc419@apcprd04_prod_outlook今回初めて、「Wynn」から「Encore」のほうに足を延ばしてみたのですが、たしかにかなり趣が違います。「Wynn」ももともと、カジノ特有の鉄火場的な匂いが希薄ですが、「Encore」はガツガツした雰囲気がまったく感じられず、ゆったり、落ち着いた時間が流れているように思えました。といって気取った風はありません。成熟したおとなの遊び場とでも言うのでしょうか。ある程度年齢を経た人には、こちらの雰囲気のほうが心地よいだろうなという気がします。ランチ(遅い朝食)を摂ったカフェの食器にも、そんな風情がよくあらわれていました。

!cid_a63d4fbb-f670-46a6-a929-a113f16cd2e3@apcprd04_prod_outlook !cid_c2b57691-d9a1-48f4-925f-dd175225d0b6@apcprd04_prod_outlook

「Wynn」の真ん前に「ファッションショー・モール」というラスベガス最大のショッピングモール(デパートが6つも入っている!)があるのですが、そこではクリスマス前のバーゲン一色。どのデパートも、どの店も4~6割引きです。一年でもっとも安く買える時期なのですね。私たちも孫の洋服とか、大量に買ってしまいました。

054

鹿児島学

著者:岩中祥史
価格:本体637円+税
文庫版 368ページ
[新潮社・2017/12/1]

同じ日本にあるというのに、「独立国」ではないかと錯覚しそうになる“不思議の国・鹿児島”。どこが、どう不思議なのか、その秘密をとことん追求。温泉が多い、黒豚がうまい、焼酎のラインアップが豊富、桜島の景色が雄大……などというのはまだまだ序の口。それ以外にも“不思議”のネタがふんだんに詰まっている。それは離島まで含む鹿児島県全域にとどまらず、全国各地にまで及ぶ。そのことを知った著者の驚きと感動がストレートに伝わってくる。鹿児島県人も知らなかった鹿児島の「魅力」「宝物」に気付かされる好著!
2012年12月刊の上製本に大幅加筆。

amazo_buy

「トラベル・イズ・トラブル」の歴史に新たな1ページが

2017年12月19日
本当なら、この日のブログはラスベガスのホテルで書いているはずでした。それがあろうことか、いまもまだ成田空港近くのホテルにいます。予定していた19時発のエアカナダ便に乗れなかったからですが、その理由が笑えてしまうというかなんというか……。アメリカ入国に必要なESTAと似たような事前認証がカナダの場合も必要(eTAといいます)であることをまったく知らずにいたのです。

空港のカウンターでチェックインしようとしたら、「eTAは取っていますか?」と尋ねられました。「eTA? いえ、まだですが……」と答えると、「では、いまここで、ネットで取ってください」と。あわてて私と家人それぞれがI-Padでカナダ当局のウェブサイトにアクセスし手続きを始めたのですが、途中でシステムがまったく動かなくなりました。なんとなんと、年に一度のシステム点検の日、それもまさしくその時間帯(午後5時30分から7時30分)に重なってしまったのです。もう超アンラッキーとしか言いようがありません。いつものように空港に3時間前に来ていたら間に合ったのに……。悔しいというか悲しいというか、自分で自分が情けなくなってしまいました。かえすがえすも残念です。

結局、出発がまる1日延びてしまいました。そもそも、今回エアカナダにしたのは、ロサンゼルスからアメリカに入国するのがゆうに3時間はかかるのを避けたかったから。バンクーバー経由なら、アメリカ入国はラスベガスになり、それほどまで時間はかかるまいと予測し、あえてそういうコースを選んだわけです。

それにしても、「ロサンゼルスから入ったほうがよかった……」という家人の言葉には吹き出しました。「おいおい、それは勝手過ぎっていうもんじゃない!」。ただ、カナダはトランジット(乗り継ぎ)だから、まさか「入国」の手続きが必要になるとは思ってもいなかったのがすべての原因。「トラベル・イズ・トラブル」にまたまた新たな1ページが加わってしまいました。

8月はパリで帰国便に乗れず、こんどは成田で出発便に乗れず。今年はどうもトラブルが多いですね。まして、年に一度のシステム・メンテナンスのときに当たってしまうなんて……。ただ、「これでラスベガス、大当たりするんじゃない」という家人の言葉が現実になれば、言うことありませんが(笑)

そんなこんなで、あわてて空港近くにホテルを取り、そちらで1泊することになったのですが、部屋からカナダ当局のウェブサイトにアクセスすると、eTAのほうはあっさり取得できました。ただ、それでも明日のフライトに空席がないという可能性もゼロとはいえません。まさかとは思いますが、明日午後1時に空港のカウンターまで行って手続きします。さて、どうなるでしょうか。

冬は、夫婦で、フルートを聴いて、フンワリ気分

2017年12月17日
秋田県は仙北市にある夏瀬温泉に来ています。この地にある唯一の宿「都わすれ」で、フルートのコンサートがあるというので、早起きしてやって来たのです。

007

「都わすれ」は、すぐ近くの乳頭温泉にある「妙之湯」の姉妹館。ちょうど10年前のいまごろ初めてお邪魔して以来のお付き合いです。「女将さんも姉妹どうしなのですが、先日「鳥取の北前船寄港地フォーラム」でそのお二人にお会いしたとき、今日のことをうかがい、「よーし、行こう」と決めました。

014フルートという楽器の音色がそうさせるのか、「都わすれ」のロビー(80畳ほどの広さでしょうか)のサイズがピッタリなのか、とても心地よく響いてきます。演奏者は吉川久子さん。「フルートの音は、母親の声とほぼ同じ音域なんです」と話されていたのですが、実際、湯につかりながら、どこからとも流れてくるフルートの音を聞いていると、ふわーっとした気分になりました。うっかりすると、湯舟の中でうとうとしていたりします。そのくらい心が癒されるのですね。

023

フルートを吹く吉川さんのバックには、窓ガラスを通して、枝に雪を乗せた木々と、遠くの山が見えてきます。庭に作られた小さな雪だるまも可愛い感じ。夜だともっとロマンチックな雰囲気がかもし出されたにちがいありません。それでも、吉川さんの素晴らしい演奏は、40人ほどの聴衆をすっかり惹きつけたようです。

 

 

020   016

「都わすれ」は今年で開業13年目、妙乃湯は65周年だそうです。秋田新幹線の田沢湖駅からクルマで30分ほどという、けっして便がいいわけでもない一軒宿なのに、これだけのお客さんが毎日のように来られていることからすると、やはり際立ったユニークさが魅力なのでしょう。私たちもかれこれ6、7回来ていますが、来るたびに、「次はいつ来ようか」とカレンダーを繰っています。桜が満開のころ、山々が紅葉に染まるころ……。一度でいいから、そういう時期に来てみたいのですが、なかなかかなわずにいます。

ノーベル平和賞授賞式の日に広島にいた偶然

2017年12月12日
IMG_2698昨日から広島に来ています。毎年この時期におこなわれるNPO法人の定例会兼謝恩会に出席するためです。前回広島を訪れたときも驚きましたが、今回は広島駅の改装工事がほぼ終わっており、ますます完成度がアップ。その変わりように、数年前『広島学』の取材で足しげく通っていたころとは見まがうばかりです。南北をつなぐ自由通路の途中に、「連覇」と書かれた巨大なポスターが。それが「広島」を感じさせてくれるのですが、これがなければ、どこの駅に来たのかわからないかも。

もちろん、駅がリノベーションされたからといって、また駅前が美しく整備されたからといって、人々の発想や行動が変わるわけではありません。しかし、こうまできれいになると、多少はお行儀よく振る舞わなければ……という気にはなりそうです。

IMG_2707さて、会合は、海っぷちにあるホテルで6時から。昨年もそうでしたが、今年も余興に神楽が披露されました、大変な迫力というか、スピーディーな動きには、いつも圧倒されます。日本の伝統芸能でこれほどテンポの早い感じのものは珍しいのではないでしょうか。

終わって部屋に戻ると、夜のニュースはこの日おこなわれた「ノーベル平和賞」授賞式の模様一色。ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)が受賞したこともあり、広島で72年前に被爆し、その後カナダに移り住んだという女性が授賞のスピーチを。「核兵器は必要悪ではなく絶対悪」という言葉には胸をえぐられる思いがしました。

IMG_2724それはそれとして、昨夜目にした「ノーベル平和賞」授賞式の様子が頭からなかなか離れません。このまま帰ってしまってはなんだか申し訳ないような気持ちになり、東京に戻る前、時間を少し作って、相生橋のたもとにある原爆ドームを訪れてみることに。粉雪が風に舞う寒さの中、ドームはいつもと変わらぬ姿を見せてくれました。ここのところその周辺も前よりいっそう整備されているようで、「折り鶴プラザ」という施設を初めて目にしました。そのあと広島焼を食し、新幹線で帰京。

IMG_2727  IMG_2719

友人が5回も観に行ったという映画に私も

2017年12月7日
一昨日、高校時代の仲間8人が集まって開いた忘年会の席で、「今年はあと31本で年間500本達成!」と、無類の映画ファンであるSくんが話していました。「その中で一番の傑作は?」と尋ねると、「5回観に行ったのが1本ある。『女神の見えざる手』っていうんだけど」との答えが。

女神の見えざる手チラシ

さっそく今日観てきました。「なるほど」です。といっても、ほかに数多く見ているわけではないので。比べようがないのですが、わたし的には『ハドソン川の軌跡』『ジーサンズ』『ローガン・ラッキー』が今年のベスト3だったので、そこへもう1本加わることになります。

Sくんが5回も観たのは、この作品のテンポがめっぽう早いので、ついていけない部分があったのではないかとも推測できます。ただ、それにしても、『女神~』は脚本が素晴らしくよくできているのです。ここまで練れるかとため息が出てしまうほど、大筋からディテールに至るまで、隙がありません。

私が好きな映画のパターンは、とにもかくにもハッピーエンド。「こういうふうになってほしい」という願いどおりに終わるのが最大の条件です。アクションだろうがラブストーリーだろうが、それは変わりません。この『女神の~』も最後の最後はそうなってくれるのですが、直前までは、「えーっ、そうなの!?」と心配させられました。これ以上書くとネタバレになってしまうのでやめますが、『女神~』は作品性とでもいうのでしょうか、ストーリー展開のレベルが非常に高いと思いました。

設定は、いかにもアメリという感じの、ロビイングを生業とする会社。作品では、銃器規制法案がターゲットなのですが、これまたアメリカならではの素材です。縦糸と横糸どころか、斜めの糸も裏地もすべて「アメリカ」。その意味では徹頭徹尾「アメリカ」を扱っているわけですが、だからといって、私たち日本人が観ても、違和感はありません。観終わったあと、すぐに席を立つ気になれない、秀抜な作品でした。

ちなみに、脚本を書いたのはイギリスで弁護士をしていたというジョナサン・ペレラ(男性)。テレビのニュースで、不正行為で逮捕されたロビイストのインタビューを観て着想を得たといいます。「ロビイストの仕事は政治と諜報活動が合わさったものだ。彼らがどうやって影響力を行使するのか。合法ぎりぎりのラインで、どんなストーリーが生まれるのかに興味を抱いた」と語るペレラは、そこから人生初めての映画脚本に挑みます。それをハリウッドの映画製作会社に送ったところ、社長が驚嘆。なんと1年後には作品が完成したのこと。素晴らしい作品を教えてくれたSくんに、深く感謝です。