2017年12月7日
一昨日、高校時代の仲間8人が集まって開いた忘年会の席で、「今年はあと31本で年間500本達成!」と、無類の映画ファンであるSくんが話していました。「その中で一番の傑作は?」と尋ねると、「5回観に行ったのが1本ある。『女神の見えざる手』っていうんだけど」との答えが。
さっそく今日観てきました。「なるほど」です。といっても、ほかに数多く見ているわけではないので。比べようがないのですが、わたし的には『ハドソン川の軌跡』『ジーサンズ』『ローガン・ラッキー』が今年のベスト3だったので、そこへもう1本加わることになります。
Sくんが5回も観たのは、この作品のテンポがめっぽう早いので、ついていけない部分があったのではないかとも推測できます。ただ、それにしても、『女神~』は脚本が素晴らしくよくできているのです。ここまで練れるかとため息が出てしまうほど、大筋からディテールに至るまで、隙がありません。
私が好きな映画のパターンは、とにもかくにもハッピーエンド。「こういうふうになってほしい」という願いどおりに終わるのが最大の条件です。アクションだろうがラブストーリーだろうが、それは変わりません。この『女神の~』も最後の最後はそうなってくれるのですが、直前までは、「えーっ、そうなの!?」と心配させられました。これ以上書くとネタバレになってしまうのでやめますが、『女神~』は作品性とでもいうのでしょうか、ストーリー展開のレベルが非常に高いと思いました。
設定は、いかにもアメリという感じの、ロビイングを生業とする会社。作品では、銃器規制法案がターゲットなのですが、これまたアメリカならではの素材です。縦糸と横糸どころか、斜めの糸も裏地もすべて「アメリカ」。その意味では徹頭徹尾「アメリカ」を扱っているわけですが、だからといって、私たち日本人が観ても、違和感はありません。観終わったあと、すぐに席を立つ気になれない、秀抜な作品でした。
ちなみに、脚本を書いたのはイギリスで弁護士をしていたというジョナサン・ペレラ(男性)。テレビのニュースで、不正行為で逮捕されたロビイストのインタビューを観て着想を得たといいます。「ロビイストの仕事は政治と諜報活動が合わさったものだ。彼らがどうやって影響力を行使するのか。合法ぎりぎりのラインで、どんなストーリーが生まれるのかに興味を抱いた」と語るペレラは、そこから人生初めての映画脚本に挑みます。それをハリウッドの映画製作会社に送ったところ、社長が驚嘆。なんと1年後には作品が完成したのこと。素晴らしい作品を教えてくれたSくんに、深く感謝です。