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熊本の街はフランス人でいっぱい

2019年10月7日

サモア戦の「興奮+感動+歓喜」がなかなか冷めやらぬまま、昨日は名古屋から熊本に移動しました。ネットで調べると、名古屋駅から空港まではシャトルバスで「18分」とあります。ホントかなぁと思っていたのですが、駅前から乗って納得。1分後には高速道路に上がっていたのです。中学生のころ小牧まで自転車で行ったことがありますが、2時間近くかかった記憶しかない私にはちょっとした驚きでした。10分ほどで高速を下り一般道に。3つ目の停留所が空港でした。

名古屋の空の玄関といえば、いまでこそ「中部国際(セントレア)」ですが、以前は「小牧【こまき】」の名で知られる空港でした。ただ、運用のされ方は大きく変わったようで、現在発着しているのはフジドリームエアラインという航空会社のみ。私たちもその名古屋→熊本便を利用しました。小さなプロペラ機ですが、この日はほぼ満席。熊本着陸の直前には、窓から立派なスタジアムが見えました。

 

空港からスタジアムまではシャトルバス。ボランティアの皆さん方のおかげでスムーズに案内され、15分も走ると駐車場に到着、そこからスタジアムまでは歩いて10分ほど。スタジアムの周りは広場になっていて、そここに三色旗を持った人が。もちろん、もう一方の手にはビールです。なぜか、スタジアム内で売られている“オフィシャルビール”=Heinekenを飲んでいる人はほとんど皆無。コンビニなどで買った一番搾りやスーパードライが目につきました。同じ500mlなのに、片や1000円、片や250円ほどですから、当然でしょう。もちろん、芝生の上に座り込んでワインを飲んでいるグループもいました。

スタジアムはといえば、もう立派のひと言。周辺は体育館など総合スポーツ公園になっており、このスタジアムもその一つ。ただし、陸上競技場と兼用なので、ラグビーやサッカーで使う場合はスタンドからピッチまでがたいそう遠いというのが、まあ難点といえば難点でしょうか。

 

 

昨日のカードはフランスvsトンガ。力の差はかなり大きいのでワンサイドゲームになるかもと予想していたのですが、どうしてどうして緊迫した内容で大満足でした。JAPANの試合ではないので、私たちも気が楽です。フランスからのサポーターの姿が予想以上に多く、場内にはときおり“Allez les Blue!!”の大合唱が響き渡ります。対するトンガのサポーターはほんのわずか。場内を見渡しても、どこにいるかさえわかりません。

試合前に披露するパフォーマンス「シビタウ」は、オールブラックスの「ハカ」に負けないくらいの迫力。その勢いそのままに、前半は17対7とフランスのリードも10点差です。ただ、南太平洋エリアの国々の通例で、トンガがバテそうな後半はフランスが縦横無尽に走り回るのかなぁと心配でした。ところが、後半7分にトライを決めてからは、全員がまるで生き返ったように、きびきびした動きに。ノーサイド直前までフィジカルも衰えることなく、フランスと互角の戦いを見せました。後半はフランスをノートライ・2ゴールのみに押さえ、トンガは逆に2トライ(2ゴール)。日本人の観客から「トンガ! トンガ!」の大声援が送られたのが力になったのかも。

終わると空港までシャトルバスで戻り、駐車場にとめておいたレンタカーで市内のホテルまで30分少々。夜8時にはチェックインできました。すぐ食事に出たのですが、日曜日の夜で早じまいの店も多く、入ったのは居酒屋。しかし、そこにも次から次へ、フランス人のグループが。日本語のメニューしかなく途方に暮れている風もありましたが、まあ、食べ物のことですから、最終的にはなんとかなるものです。

最後の最後に大ドラマが!

 

2019年10月6日
名古屋駅から電車で小1時間。豊田市駅前は豊田スタジアムをめざす人、人、人で身動きもままなりません。日本のファンにとっては大注目のサモア戦。かれこれ50年以上ラグビーを見てきた私ですが、今日は最後の最後まで手に汗を握りました。ノーサイドまで10分を切ったところでスコアは25対19と、JAPANのリード。サモアが1トライ1ゴールを決めれば、逆転できます。逆に、JAPANはこれで勝ったとしても、簡単には喜べません。予選プールを突破するには、勝つのはもちろん、ボーナスポイント1を加えておきたいからです。ボーナスポイントで上回っておけば、スコットランドと引き分けても、最悪負けたとしても、決勝トーナメントに進めます。

 

 

  

でも、わがJAPANはそれをやってのけました。それも、ほとんど“神った”という感じで! 開始早々からサモアを常にリードしてきたものの、ボーナスポイント獲得のためには何がなんでも4トライを取る必要があります。残り10分弱で2トライはかなりきつかったのですが。3本目は福岡堅樹、そして最後は松島幸太朗が決めてくれました。

とくに4本目のトライは圧巻。80分を過ぎる直前、サモア陣ゴールポスト前のスクラムからNO8の姫野和樹がボールを持ち出しハーフの田中史朗に。田中から絶妙のタイミングで左にいた松島にパス、そのままトライ! 松島の笑顔が印象的でした。もちろん、3万8千の観衆は大騒ぎ。私たちも前、後ろ、横にすわっていた人とハイタッチしていました。

今日の私たちの座席が、これまでで最高のポジション。グランドから10数メートルで、しかも前から5列目。選手たちの表情がよくわかります。試合前のウォーミングアップを見つめるジェイミー・ジョセフの凛々しい姿もばっちり見えました。

面白かったのは、試合後の両チームの“交歓”風景。サッカーでは、よくユニホームを交換し合うのが普通ですが、ラグビーではそうした習慣はありません。今日も、肩をたたき合いながらお互いの健闘を称えるまではいつもどおり。ところが、そのあとサモアの一選手がジャージを脱ぎ、日本の田村優(だったように見えました)に差し出したのです。それを機に、10人近くの選手がジャージを交換。なかにはパンツまで脱いで渡しているサモアの選手も。

これはホント異例の光景で、初めて目にしました。文字どおり「ノーサイド」です。サモアの選手も、この日の試合内容は100%とは言わないまでも、そうとうズシリと来たはずで、感極まってのことではないでしょうか。JAPAN代表の中にサモア出身のラファエレ(バックス・13番)選手がいたことも関係しているかもしれません。しかも、この日最初のトライをあげましたから。

気になったのは、JAPANに反則が多かったこと。今日のレフェリーはJAPANに厳しいことで知られているようですが、それにしても……という感じは否めません。ラグビーのレフェリーはほかのスポーツと違い、ゲーム中に「指導」をします。両チームの「協力」がないとゲームがスムーズに進行しない面があるので、レフェリーはその方向に持っていこうと、あれこれ口をはさむのです。スクラムを組むときがいちばん顕著ですが、ほかの局面でもレフェリーの声、ジェスチャー、あるいは選手と話しているシーンをしょっちゅう見聞きするはず。レフェリーがどのような考え方でゲームを進めようとしているのか、それを早くにキャッチしたチームのほうが優位に立てるというわけです。レフェリーの「指導」を素直そうに聞く選手もいれば、「この野郎!」といった表情を見せる選手もいます。ただ、そした態度がまたあとで響いてこないとも限りません。逆に、そうしたことにこだわらないレフェリーもいます。そうしたことも含め、レフェリーと付き合うことが大事なのです。

さて、この勝利で、これかで以上に“にわかラグビーファン”が増えるのは間違いありません。ラグビーが日常の話題になるような世の中になればしめたものです。スタジアムから豊田市駅まで30分近い道のりは日本人の観客でビッシリ。夜空に浮かぶ半月のもと、誰もが大きな声を出して話し、騒ぎながら興奮していました。私ももちろんその一人。ただ、帰りの電車の中では次戦以降のことを考えていました。

スコットランドに勝てば予選プールA組1位で突破するので、決勝トーナメントの初戦はニュージーランドでしょう。しかし、これではベスト8止まりでジエンド。できれば2位で突破し南アフリカと当たるほうが、希望的観測ですが、わずかながら期待の目もあります。そして、前回大会に続き南アを負かすようなことになれば、間違いなく世界的なニュースになるでしょう。そんなことを夢見ながら、13日のスコットランド戦を迎えましょう。