「9・11メモリアル・コンサート」に“出演”

2015年9月11日
さて、いよいよ今日です。今回の最初の目的であるNYでの「9・11メモリアル(追悼)コンサート」。朝、ホテルのロビーに、主に宮城県(石巻市、東松島町など)からやってきたメンバーと合わせて40人ほどの参加者が集合。バスに乗って最初の目的地であるニュージャージー州バーゲン郡のオーバペック・パーク(Overpeck Park)に移動します。公園の中に、「9・11」で犠牲になった同郡在住者154人の慰霊碑(The World Trade Center Memorial)があり、そこには日本人(主に駐在のビジネスマン)の名前も刻まれていました。その慰霊碑を寄贈された方の1人である白田正樹(仙台出身、NYで会社を経営)さんが、今日のコンサートの主催者でもあります。

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L1030973立派な碑のまわりには植樹もなされており、遠い将来になっても事件が忘れられることはなさそうです。そこから再びバスでマンハッタン(アッパーウェストサイド)に戻りました。会場はセントラルパークのすぐ西側、64丁目にあるニューヨーク倫理文化協会の本部が入っている古いビルです。そこで降りてランチをということでしたので、私たちはコロンバス・アベニューにあるスーパー=ホールフーズマーケット(Whole Foods Market)地階のフードコートに行きました。

リハーサルのスタートまではまだ2時間以上もあります。食後はセントラルパークの一角で待つことに。いまさら、今日歌う曲の練習をしても始まりませんし、なんともおだやかで心地のよい木蔭でのんびりした時間を過ごすことができました。

L1030980_3午後4時過ぎ、会場に入りましたが、えらく立派なホールなのにびっくり。たしかに、「歴史的建造物」と記したプレートが貼られていましたし、設備も古いのですが、音響という点ではどこのホールと比べても遜色なさそうです。「えーっ、こんなすごいところで、下手な歌と踊り(これはもちろん、私たちだけですが)をするのか……」と、ハナからビビり気味。

3年前の3月18日、東京・銀座でおこなわれた、「東日本大震災」の被災者112人によるミュージカル『飛びだす100通りのありがとう!』のごく一部分を、この日演じることになっているのですが、40人のうち、実際に本番で歌ったり踊ったりしたのは20人ほど。残り半分は、公演の裏方を務めたりチケットの販売に協力したりお金を寄付したりなど、演技を経験したわけではありません。なのに、この日のコンサートでトリを仰せつかったから、「予定してた20人じゃ格好がつかない」というので、狩り出された(というと失礼ないい方になってしまうのですが)人たちです。私たちもそちらの部類で、8月のお盆のころ、2回ほど練習しただけ。それでいきなりの本番ですから、ビビるのも当然でしょう。

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ただ、「案ずるより産むが易し」とはよくいったもので、まあまあとどこおりなく務めることができたようです。なんと、800人近い観客全員がスタンディングオーベーションで応えてくれましたから。これにはまぶたが熱くなりました。人生で初めての経験ですからね。


私たちの前には、マンハッタン交響楽団の演奏や、現地在住の日本人合唱団、またスペインからやってきた「ハポン(Japon)」さん一族など、白田さんの関わるさまざまな会やグループの人たちが出演、「9・11」を偲びました。終了後は、会場地下のホールで簡単なレセプションがあり、成功の喜びを分かち合うとともに、お互いの苦労をねぎらいました。