2015年7月30日
10時2分発の列車に乗るため、早めに中央駅へ行きました。切符売り場の立派なことといったらありません。老舗の銀行の本店といったような雰囲気でしょうか。ただ、掛け時計の示す時刻が遅れていたのが不思議でした。ほかの場所ならともかく、鉄道駅ですからね。
ヘルシンキ中央駅を出発しふた駅過ぎると、両サイドとも畑と森だけ。それ以外は何も見えません。途中いくつかの駅で停車しましたが、家が建っているのはその近くだけです。それにしても、クリーンな国といった印象がします。
2時間後、トゥルクという駅に到着。駅前からタクシーでムーミンワールドのすぐ近くまで行くと、素晴らしい雰囲気です。海辺にあるリゾート地なのでしょうが、閑静なという言葉がぴったりです。日本の湘南とかハワイのワイキキといった風情はまったくありません。ヨットハーバーの近くにバフェットスタイルのレストランを見つけ、シーフードランチを。
ランチを終えてぶらぶら歩き始めると、ムーミンワールドの入口が。
しかし、派手派手しい看板が立っているわけでなく、左右2本の棒で支えただけの布製の幕があるだけです。そこに、これまたつつましく「MOOMINなにやら」という文字が染め抜かれています。そこから歩いて橋を渡ったところが目的地。きれいな海とどこまでも晴れわたっている青空が印象的でしたが、こういう季節は6~9月の実質3カ月間だけなのです。ムーミンワールドの営業期間もそれと同じですから、看板や表示にお金をかけたりしていてはペイしないわけですね。
中もこじんまりしていて、1時間もあれば全部観て回れます。お金がかかるのは食事とお土産もの(キャラクターグッズ)だけ。とにかく、人工の香りがほとんどありません。その分、自然との距離がぐんと縮まりそうな感じがします。子どもたちにとっては天国のような場所といえそうです。
そこをあとにして、帰りの列車の時間から逆算すると、まだまだ時間があります。近くの教会をのぞき、トゥルクの町まで行くバスターミナルまでの道を歩きました。きれいに手入れされた道筋、それに沿って建つ家々のこぎれいなこと。空気も澄んでいて、なんとも快適でした。
バスでトゥルクの中心部まで。降りた場所からホントはすぐ近くを流れる川まで行き、のんびりしようかと画策していたのですが、地図を読み間違え、とんでもない方角へ。30分の無駄歩きをしてしまいました。しかも、そこに突然の雨に遭い、あわてて近くのカフェバーで雨宿り。道を尋ねながら、駅まで歩いていったのですが、着いたのは出発ギリギリでした。
ヘルシンキに戻ったのは夜の7時。昨夜の轍を踏んではいけないので、そのまま夕食を食べに行きました。空も怪しい感じがします。トラムに乗って数駅。目標は、そのすぐ近くにある和食の店です。「料理家 ほしと」という看板がありました。これがめっちゃうまい。海外でこれほどの日本食を食べられるとは! 全8品のコースでしたが、1品1品、手が込んでいて、素材のよさが最大限に生かされている感じがしました。
食後、大将の星利昌さんが声をかけてくださいました。聞けば、神戸の出身で、まだ30歳だといいます。こちらに来て8年、自分の店を開いてまだ5年だとか。「海外で、日本国内の和食よりおいしいものを作って出すのが目標」だそうです。自分の名前の最初の3文字をそのまま店の名前にしたとも。でも、外国で、きちんとした日本の文字を見るとうれしくなるので不思議です。店を出ると、外は猛烈な雨。急いでトラムに乗り、ホテルに戻りました。