デセンツァーノからボローニャへ

2015年6月30日
早朝からホテルの前の道路一帯にワゴン車やバンが行きかっています。何かと思ってベランダから見てみると、どうやら「市」が立つ様子。朝食のため1階まで降りていくころには道路の左右いっぱいに店が並んでいました。

L1030196朝食はこれまでで最高の雰囲気のレストラン。内容はほとんど変わりありませんが、グレードが2段階くらいアップしている感じです。真っ黄色のスクランブルエッグ。コーヒーも泡が立っていて一見カプチーノ風(でも、ミルクも生クリームも入っていません)。ハムもおいしいこと、この上ありません。腹ごなしに「市」をのぞきに湖岸沿いをゆっくり散歩。アクセサリー屋さんがあり、家人はネックレスを買いました。

L1030200デセンツァーノは、観光スポットがたくさんあるわけではありません。欧米では当たり前なのでしょうが、数日滞在してゆっくりする場所です。ただ、こういう時間の使い方は、私たち日本人にはなかなかできません。イタリアに来る前に新聞で、旅行会社の広告に「北海道9日間滞在」と謳ったプランが出ているのを目にしました。行きと帰りのフライトが決まっていて、あとはすべてフリー。食事も現地で決めればOK。レンタカーを借りて出かけるもよし、旅行会社が手配したヨガとかウォーキング、写生ハイキングなどさまざまなプランに参加するのもよしといった中身です。こういうスタイルの休暇が定着すれば面白いでしょうが、どうかなぁ……という気もします。

さて、チェックアウトを済ませ、出発までの間、ホテル近くの教会や城をのぞいたあとデセンツァーノ・デル・ガルダの駅前でお茶(といっても実際はビールですが)。午後2時前の列車で最終目的地ボローニャに向かいます。途中、ヴェローナで特急に乗り換え、トータル1時間45分ほどで到着。

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ボローニャの駅は大きな駅です。私たちが下車したホームは地下3階くらいでしょうか。そこからエスカレーターで地上に出て、やっとのことで駅前の広場へ。旅行案内所がクローズしているようで、仕方なく警官にホテルの場所を聞きました。歩いていけそうなところだとわかり、スーツケースを転がしながら6、7分で到着。時間的にいちばん暑い時間帯だったので、それだけでもけっこうこたえます。

予約しておいたホテル(Hotel Internazionale)はインデペンデンツァ通りに面しているのでわかりやすく、部屋もこぎれい。ガイドブックでボローニャのページを開くと、かならず「マッジョーレ広場から歩いて」とか「マッジョーレ広場を目標に」ウンヌンというフレーズが出てきます。つまり、この町を歩くときは「何はなくともマッジョーレ広場」ということなのでしょう。私たちも夕方、ホテルの前のインデペンデンツァ通りを10分ほど歩いてマッジョーレ広場まで行ってみました。

L1030241強い日差しの中でしたが、この町は主だった歩道がすべてポルティコ(要はアーケードですね)に覆われているので、それが救いです。広場に着くと、周辺が道路工事や建物の修復工事のためほこりっぽい感じはしますが、それでも人がいっぱい。6月の中旬から、連日「野外映画会」が上映されているらしく、広場にはパイプ椅子が並べられていました。私も小学生のころ何度か経験しましたが、なつかしいですね。ポスターから察すると、明日は『カサブランカ』のようです。

L1030247L1030251_4帰りに夕食をと思いましたが、適当な店がなかなか見つかりません。ホテルの近くで小さな店があったので、そこに入りました。路上にもテーブルを並べてある、こちらではごく当たり前のスタイルです。それが3軒並んでいたのですが、不思議なことに、客の入り具合にけっこう差があります。ウエイターが片言の日本語で「いらっしゃい、日本語メニューあるよ」とかなんとかいいながら声をかけてくるところはパス。やはりスタッフが忙しそうに動いているところのほうが安心です。

この夜入った店も、道路寄りの空いているテーブルを所望したところ「予約のお客で」と断わられ、奥のテーブルになってしまいましたが、それでもあっという間に満席に。それからすると、この店を選んだのはどうやら間違いなさそうです。実際、タルタルステーキをおいしく食べさせてもらいました。さすが「肥満都市(ラ・グラッサ)」という異名を持つ町だけのことはあります。

ボローニャはほかにも「学問都市(ラ・ドッタ)」とか「赤い都市(ラ・ロッサ)」というニックネームがあるといいます。「赤」は中心部の歴史地区に軒を並べる家々の屋根の色を指していますが、第2次世界大戦後から1999年まで、この町が社会主義・共産主義の牙城であったことにも由来しているようです。

食事中、家人との話題は、長期の旅行がだんだんしんどくなってきていること。寄る年波というといささか早そうな気もしますが、やはり若い時分とは体そのものが変化してきているのは否めない、今日も朝から、明日も何時にどこそこへといったスタイルの旅はそろそろ変えなければ……ということになりました。限られた日数なので、ついつい毎日さまざま詰め込もうとするのですが、そうしたパターンにそろそろ終止符を打たなければならなくなってきたということでしょうね。でも、これがなかなか……。悲しいかな、貧乏根性がしみついてしまっているものですから。

9月の初めからは、30日間のアメリカ・イギリス旅行を予定しています。まだ、航空チケットをおさえてあるだけですが、行先は最低でも、ロサンゼルス、ニューオーリンズ、ニューヨーク、ラスベガス、ロンドンといくつかあります。イギリスではラグビーW杯を3試合観戦することだけが決まっているのですが、途中、観戦予定のない日があり、そこをどうするかということであれこれプランを練っていました。ずっと果たせずにいたスコットランド周遊も、その気になれば可能です。南部のバースやソールズベリ、コッツウォルズ地方を全部観てまわるといった選択もあります。

ただ、団体ツアーと抜本的に違うのは、すべてが自力手配なので、行動も自力になります。重い荷物を転がしながらの移動、観光スポットも、地図と首っ引きしながら自分で探す……など、手間がかかるわけですね。もちろん、それはそれで楽しみではあるのですが、家人のほうはだんだん辛くなってきたということなのでしょう。