2014年10月28日
今日も1日、朝からサファリです。といっても、もちろん狩猟ではありません。その昔、ヨーロッパの列強がアフリカ各地を支配していた時代、「サファリ」は動物を「狩る」ことだけを意味していましたが、いまは動物を保護するために保護区的な施設が作られています。となると、「探して観て楽しむ」のが目的で、「サファリゲーム」といういい方をするのはそのためのようです。英語の「ゲーム」は「獲物」「目標」「標的」という意味。一方、「サファリ」はスワヒリ語で、もともとは「旅行」全般のことでした。それが「狩り」しか意味しなかったのは昔の話で、いまは特定の保護区の中で野生動物を探して見て楽しむ(観光)ツアーという意味になっています。
かつて「ゲームサファリ」の主目的が狩猟だった時代の名残でしょう、「BIG5」という言葉があるそうです。ライオン、サイ、ヒョウ(レパード)、アフリカ水牛(バッファロー)、ゾウの5種類の動物を狩るのが最高の成果といいます。それがいまは、この5つの動物の姿を見ることができれば目標達成ということになります。個人的にはこれにキリンとシマウマ(ゼブラ)を加えて「BIG7」にしたいのですが……。
午前6時、「モーニングサファリ」に出発。まあ、とてつもなく広大な公園ですから、いつ、どこで、どんな動物に出会えるかは成り行きしだいです。私たちが訪れているのは、この国立公園でも北東部にある「セロンデラ」というエリア。流れているチョベ川のすぐ向こう岸はナミビア共和国です。先にあげた5つのほかにも、サル、カバ、ジャッカル、マングース、トカゲ、ワニなどのほか、ワシ(フィッシュイーグル)、ハチクイドリなど鳥も数多く生息しています。なかでもアフリカゾウの数は5万頭と半端ではありません。
ジープから降りて動物を見られるのは、危険防止と環境保護のため、「Stretch Point」という表示板のあるところだけ。トイレや休憩所もあり、そこでジープのドライバーどうし、「どこそこの近くにシマウマがいた」「あそこにライオンの足跡があった」など、最新の情報を交換しています。もちろん、走っている最中も無線で連絡を取り合っているようでした。ただ。すべてのジープに無線機が備わっているのではないらしく、それを補っているのが「Stretch Point」での情報交換というわけです。バッファローは比較的簡単に見られました。ヒョウも1回だけですが、見ることができました。ゾウとサイはすでに昨日見ています。今朝の成果はそこまでといったところでしょうか。
9時前にいったんホテルに戻って朝食を取りしばらく休憩。日中は動物たちの多くも休憩時間に入っており、パーク内を動き回っていることはないようです。ただ家人は朝食のあと、添乗員(今回は女性です)と一緒に、ホテル近くのマーケットまで買い物に行くことになりました。なにせ、身のまわりのものはほとんど全部スーツケースに入れたままなのですから、洗顔用品・化粧品から下着・靴下など、最小限のものはとりそろえなければなりません。
アフリカ、それもボツワナで、どんな品物が手に入れられるのか、興味半分でついて行ったのですが、まあ、かなりプアではありました。それでも、場所柄でしょう、ドイツ人やアメリカ人、デンマーク人など、世界各国からお客さんが来ており、さまざまな言葉が飛び交っています。
家人が連れていってもらった店も、広くはあるものの中は薄暗く、見ると、床に商品が落っこちていたりします。そうした中から必要なものを探すのは大変だったようですが、30分もすると、荷物を抱えて出てきました。「まいったわ~」という顔をしていたので、けっこう悩ましい買い物だったのでしょう。
部屋に戻り着替え始めてすぐ、「さっき買ったブラの紐、もう切れちゃった」と。それほど胸は大きくないはずなのですが(笑)。「コットン100%の服なんて1つもなくって。ぜ~んぶ化繊。安いことは安いんだけどね……」とほとんどあきらめ顔でした。
夕方、再びサファリゲームに出発。メインはチョベ川でのボートクルーズです。船着き場から大型のボートに乗り2時間ほどかけて川をめぐります。あちこちに何十頭ものカバの集団が、泳いでいたりじっと眠っていたり(?)していました。ワニやさまざまな鳥が岸辺でまったりしていたのもよかったです。
しばらくすると、ボートを運転しているガイドが「あっ、あそこにキリンが見える!」と興奮した声を出しました。しかし、ガイドの指差す方向にいくら目をやっても見えません。「あそこだ、あそこだよ」と指で差し示していのは川からはるか離れたところにある森と森の小さな切れ目のような場所。たしかに、双眼鏡をじっとのぞいてみると、頭の部分だけがかすかに見えました。「あんなに遠いのに、よくもまあ」と感心したのですが、聞けば、数キロ先までははっきり見えるといいます。モンゴルの大平原でヒツジを追っている遊牧民と同じなのですね。視力検査をしたら、たぶん4とか5とかあるでしょう。
残るはいよいよライオンだけ。これは明日のモーニングサファリでの幸運を祈るしかありません。それにしても、チョベ川に落ちる夕日の美しかったこと! いくつもの中洲を縫うようにしながら走るボートの上から見た、真っ赤な太陽がゆっくり沈んでいく光景は忘れられないでしょう。