来日外国人がどんどん増えているのですが

2013年12月20日
訪日観光客が1000万人を突破。BUT……。
政府がここ数年大きな国家目標として掲げていた「訪日外国人観光客1000万人」。それがとうとう実現したと報じられました。何はともあれ、おめでたいことです。



しかし、いつもこのブログでも触れているように、けっして手放しで喜ぶことはできません。それは「お・も・て・な・し」という点では、そのレベルがかなり低いと思われるからです。たしかに、私たち日本人が外国を観光で訪れたときも、100%満足できるような「おもてなし」を受けるわけではありません。それは日本人が求める「おもてなし」のレベルが高いからですが、それと同じようなことを、海外から日本にやってきた人たちも感じるのではないかと思うのです。

 

高級レストランならフランス語のメニューがあれば十分なのでしょうが、「1000万人」といったら、ごく普通の人たちが大半を占めているにちがいなく、そうなるとフランス語などとはまず無縁。英語でさえどうかなという気がします。ただ、韓国や中国の人たちも、とりあえず「英語」の表記があればなんとかついて行けるでしょうから、せめて食事のメニューくらいはかならず英語バージョンがそろえておくのが最低限の「おもてなし」ではないかという気がします。

 

ひと月ほど前だったか、東京の通りや各種施設の名前を外国人にもわかりやすく表記しようというので、これまでの「○○ dori」を「○○ Avenue」と改めるとのニュースが報じられていました。でも、これだって、外国人から「ヤマテアヴェニュー?」とたずねられ、とっさに「山手通り」のことだと察知できる人はまだ少ないのではないでしょうか。「アラリヴァーは?」と尋ねられ、それが「荒川」だと気づくのも時間がかかりそうです。「Yamate Dori Avenue」とか「Arakawa River」というふうに表記しないとかえってわかりにくくなる、というか肝心の日本人のほうがとまどってしまうのでは……と心配になってしまいます。「六本木」を「Six Trees」とは表記しないにしても、「青山1丁目」を「Aoyama One chome」とか「第三京浜」を「The Third Keihin」などといわれたときのことを考えると、そのおかしさに気づくことでしょう。

 

街を歩いていて、外国人からいきなり「Please show me the way to the National Theater」といきなり聞かれても、平河町の「国立劇場」のことだと思う人はそうそういないはずです。こうした類はほかにも枚挙にいとまがありません。日本語の難しさといってしまえばそれまででしょうが、単純に英語にすればOKというものでもなさそうです。もともとがアルファベットではない、外国人にとってはおそらく判じ物としかいいようのない漢字・ひらかな・カタカナという3種類の文字から成っている日本語なのですから、私たち日本人がもっと悩まなくてはならないのではないかとも思えます。



これが首都高などの高速道路、バスなどになると、ほとんど野放しというか手つかず状態もいいところ。外国に行っても比較的楽にクルマで走ることのできた経験と照らし合わせてみると、どうにも心配になります。もっとも、街中を走る路線バスは、外国に行っても、同じように不親切で、そのあたりは日本だけが困った状況にあるわけではありません。



ただ、首都・東京でさえそうなのですから、これが地方の小さな都市だったりすると話はさらにややこしくなります。7年後にオリンピックを開こうという東京こそ、道路や施設の表記だけでもいいので、まずモデルになるようなパターンを確立する必要があるのではないでしょうか。