2013年8月13日
今日も絶好の晴天。午前中から船に乗って「ペテルゴーフ」まで行きました。エルミタージュ美術館の前にある船着場から高速艇で30分ほど走ったところにある、ピョートル大帝の「夏の宮殿」です。
ここは要するに王室の別荘です。もちろん、別荘といっても、ハンパな大きさではありません。そして、冬は極寒の地となるサンクトペテルブルグですから、暖かさ、太陽の光に対するあこがれがそこかしこに感じられます。それを象徴するのが噴水です。
とにかく、どこに行ってもあるのは噴水、また噴水。よくもこれほどといいたくなるほど、ありとあらゆるスタイルの噴水があります。朝のオープンも、噴水から水が噴き上がるのがその合図になっているほど、それは徹底しています。たしかに、私たちもそうですが、「夏」の盛りに噴水、zるいは滝を目にすると、大いに涼しさを感じます。サンクトペテルブルグの夏はけっして暑くなどないはずなのですが、それでも噴水が象徴する冷涼感が、短い夏をフルに楽しみたいという強烈な願いに通じているのでしょう。
再び市内に戻り、夕方からは世界でも屈指の作品が展示されているエルミタージュ美術館。
夏のエルミタージュは世界でも指折りの混雑ぶりだそうですが、それにしても人であふれ返っていました。なんでも、冬に来るとガラ空きだそうで、これは真剣に考えたほうがいいかもしれないと思ったしだい。冬は、市内を流れるネヴァ川、それが注ぎ込むフィンランド湾がすっかり凍りついてしまい、人も歩けるのだそうです。大きな川や海が凍ってしまうなど、目にしたことがないので、一度確かめてみたいという好奇心が湧き起こってきたしだい。
しかし、ここに残されている膨大な数の貴重な美術品も、先のドイツ軍のレニングラード包囲戦の直前、市民有志が列車でウラル地方まで待避させていたために守られたものだそうです。この戦いで街は荒廃したものの、今日なお歴史的、文化的価値のある建造物が残されているのは、自分の命さえ危うい激戦のさなかにあっても、そうした価値ある遺産を後世に残そうと努めた市民たちのおかげでしょう。
夕食を済ませたあとはネフスキー大通りで買い物と散策。さすがサンクトペテルブルグの目抜き通りだけに、クラシックでしゃれた建築物がいっぱいあります。ほかにも、ペトロパヴロフスク要塞、クンストカメラ(博物館)、アレクサンドル・ネフスキー大修道院、アレクサンドリー劇場、カザン聖堂、血の上の救世主教会など、当初予定していたところの大半が行けずじまいにおわってしまっただけに、せめてこの通りを少しでも観たかったのです。
ホテルに戻る前に、近くの食料品店で水やらビールを買い求めました。空気が乾いているので、そうしたものがとてもおいしく感じられるのです。ビールは基本的に2種類あって、アルコール分の少ないものと濃いもの。日本でも最近はプレミアム系のビールが人気のようですが、ちょっと油断するとコーンスターチなどという、本来ビールとはまったく関係のない成分が混ざっています。その点、ヨーロッパではそういう裏切りには遭いませんから安心できます。子の日も、就寝前に、乾いた喉をうるおしてくれる1杯を。