2013年4月29日
今日でGWの前半も終わり。家人がたまたま何かの雑誌で見つけた“観光スポット”に行ってみることにしました。といっても、自宅からそれこそ30分ほどで行けるところで、大手町にある皇居東御苑です。
いまでこそ天皇・皇后両陛下のお住まいがある皇居ですが、明治維新までは江戸城で、徳川将軍家の本拠地でした。しかし、「江戸城址」より「皇居」といったほうがピンと来るくらいですから、徳川将軍家の住まいだったことなどつい忘れてしまいがちです。しかし、実際に行ってみると、その巨大な権勢を改めて感じずにはいられません。たしかに、江戸城は300年近い間、日本の実質的な中心だったのです。
とにかく、その大きいこと。ほかのどの城もかないません。江戸城の総構え全体の面積は230万平方メートルで、ヴェルサイユ宮殿(195万平方メートル)よりも広いといいますから、世界一といってもよさそうです。先日外装の修復工事が完成したJR東京駅や現在JPタワー(中央郵便局がある)が建っているあたりまでスッポリ総構えの中に含まれていたのですから、当然といえば当然です。
石垣も、ほかの城とは比べるべくもないほど立派で、きちんと整形されているものがほとんど。野連(のづら)積みのように、切り出してきたまま積み上げた石垣とは天地雲泥の差があります。さすが、将軍が住まわれていただけのことはあります。
本丸まで行く途中に大小の番所がいくつもあるところをみると、セキュリティーにも万全を期していたことがうかがえます。内堀通り沿いに建つパレスホテルの向かい、大手門から本丸の天守台までは、歩いてゆうに20分はかかります。その途中、いまは広場になっているところに大奥や中奥、政務所が建っていたわけですから、実際にはもっと時間がかかったにちがありません。
皇居東御苑というのは、広い江戸城の一部分、本丸と二の丸、三の丸があったエリアを公園として公開したものですが、それにしても広いことといったらありません。天守台はそれほど高い位置にあるわけではないのですが、まわりの広さを考えると、高くする必要もなかったのでしょう。台にのぼっただけで、まわりはかなり広範囲に見渡せますし、ましてそこにかつて建っていた天守閣に登れば、それこそ当時の広い、しかもビルなどまったくない江戸の市街地すべてを目に入れることができたことでしょう。
これまで全国各地の有名な城・城下町を数多く取材してきた私ですが、さすが江戸城の大きさ、広さ、そして立派さには舌を巻かざるを得ません。自分の暮らしている東京の、それもど真ん中にこんな素晴らしいスポットがあったとは、まさに「灯台もと暗し」です。実際、ここを訪れているのは、そのほとんどが、連休を利用して地方から上京してきた観光客のように思えます。また、外国人の多さも目につきました。都民は意外と、訪れたことがないのではないかという気がします。
江戸城址に意外な喜びを感じたをあと、話題のJPタワーの展望台にも上ってみましたが、GWのせいか人、人、人でぎっしり。レストランもすべて満席で、とても入れません。それでも、上からながめる東京駅の駅舎は味わいがあり、けっこう楽しめました。結局、そのまま有楽町の朝日ホールまで歩き、イタリア映画祭に。『フォンターナ広場 イタリアの陰謀』という映画を観たのですが、これが最悪。喜びも半ばといった感じで帰路についたしだい。