勝手にイメージしていたのとは違ったフロリアード

2012年8月10日
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さて、今日は「フロリアード」に行ってきました。レンタカーを借り、開催地のオランダ・リンブルフ州フェンロー(Venlo)へ。ナビ付きなので、目的地の住所を入力すれば事足ります。E34号という道をまっすぐ走り、途中で国境を越えるとこんどはA67号、1時間40分ほどで到着です。途中いくつもの町・村を通過しますが、これまで一度も聞いたことのないところばかりでした。

フェンローは人口9万ほど。町自体の歴史は古く、ローマ時代までさかのぼるようです。マース川(水源はフランス北東部。ベルギーからオランダで北海に注ぐ)上流の交易地として発展し、ハンザ同盟のメンバーでもありました。戦略的に重要な位置にあることから、1702年のスペイン継承戦争でも激しい戦闘があり、その結果、ネーデルラント連邦共和国の連邦直轄地となったため、のちオランダ王国に組み込まれます。2003年には「ヨーロッパでもっとも緑の豊富な町」として表彰されており、そうしたこともフロリアードの会場に選ばれた背景にはあるのでしょう。

こうした大規模なイベントだと、日本的な物差しでは全国から多くの見物客が詰めかけ、中はびっしりといった雰囲気をイメージするのですが、その予想はまったく大外れ。駐車場にはすんなり車を止められましたし、入場券もほとんど並ばずに買えました。会場の中も思ったほど混雑していません。たしかに国際的なイベントではありますが、夏休み期間でもあり、ほかの国に遊びに出かけてしまっている人も多いからではないでしょうか。それでも、ベルギーやドイツとの国境の近くにあるので、駐車場に止めてある車のナンバープレートを見ると10カ国以上にわたっていました。

L1040094もともとは花卉【かき】業界、園芸業界が主体の催しだったようですが、いまでは花や木に興味を持っている一般の人たちも入場できるスタイルになっています。開催期間は4月5日から10月7日までで、開会式にはオランダのベアトリーチェ女王も出席されたとのこと。今回は世界42カ国が参加し、66ヘクタール(サッカー場約100個分)にも及ぶ会場(うち展示スペースは44ヘクタール、室内展示用スペースが7000平方メートル)に、100を超えるパビリオンというかブースがあります。会場がとにかく広いため、移動用のケーブルカーを走らせて来場者の便宜を図るなど、主催者の意気込みが伝わってきました。

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会場内には、180万個の球根、19万鉢の多年草、1万8千本の灌木、15000本の生け垣用植物、3000本の樹木が植えられているとのこと。期間中は春・夏・秋の3回、切花、観葉植物、鉢物など品種別のコンテストもあり、そこで得た評価が園芸産業の振興に役立つといいます。日本政府(主体は農林水産省)も出展しており、伝統の花卉、種苗といった分野の技術の成果を協力にアピールしていました。

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会場は5つのエリアに分かれ、「エリア1」は「リラックスと癒し:健康と幸福のための園芸の重要性」。「エリア2」は「グリーンエンジン:環境にやさしいエネルギーの供給者としての園芸」。「エリア3」は「教育とイノベーション:革新および教育と発展との関係」。「エリア4」は「環境:緑豊かな労働・生活環境は、質の高い生活に多大に貢献」。「エリア5」は「ワールド・ショー・ステージ:自然は素晴らしい劇場であり、感動、楽しさ、そしてエンターテインメントの源」という構成になっています。

Photo_6ただ、オランダといえば、やはりチューリップ。いまは8月ですから、すでに終わってしまっていたのが残念といえば残念です。ネットでこの会場の春の様子を写した写真を見ると、それはもうチューリップのじゅうたんがみごとに敷き詰められたような塩梅になっていました。

もちろん、どのブースもこの時節にいちばん美しく咲く花を並べてアピールしています。そうした中、入り口近くに建つメインビル内のヴィラフローラ(屋内展示会場)には日本のラン各種が陳列され、「エリア2」のグリーンエンジンには日本政府出展のブースもありました。どの国も自慢の花や樹木を、その国の風物などとともにさまざまな工夫を凝らした形で展示していました。

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屋外会場の随所になにげに置かれているオブジェも傑作ぞろい。


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「エリア1」と「エリア5」とを結ぶ全長1・1㎞のケーブルカー(片道6€)にも乗ってみましたが、上から見ると会場の広さがまざまざと感じられます。このあたりは、チェルシーの「フラワーショー」には見られないスケールの大きさでしょう(もっとも、イベントの性格が異なるので当然のことではありますが)。ただ、イベントそのものに対するイメージが、あらかじめ思い描いていたのとかなり隔たりがあったのはたしか。かといって不満なわけではありませんが……。

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