大震災から9カ月──やっと仙台に行きました

2011年12月18・19日
 「3・11」から9カ月以上が過ぎた12月19日、初めて被災地を訪れました。これまでは、正直、怖くて行く気になれなかったのです。怖いというのは、余震がどうのこうのという意味ではありません。破壊された町や村、建物や施設、海岸や山を目にしたくない──そんな気持ちが私を支配していたといいますか。

 でも、さすがに、ノンフィクションを書くという仕事にたずさわっているのに、いつまでも被災地を全然見ずにいるのは卑怯ではないかという思いがきざしてきました。そこで意を決して、1泊2日で宮城県に行くことにしたのです。1日目は、途中、村田というところに立ち寄り、その夜、仙台に入りました。仙台、それも駅の周辺は予想以上の復興ぶりで、本当に地震に遭ったのかと思ったほどです。

 翌19日、私が足を運んだのは仙台のすぐ南にある名取市閑上【ゆりあげ】地区。すぐ東側が海岸なので、震災の被害もひときわ大きかったそうです。実際、その惨状はすさまじいのひと言。復興もまだまだで、道端には漁船が放置されていますし、津波に流されてぶつり合ったのでしょう、ひどく傷ついたクルマがごっそり集まっていたりなど、目を覆うばかりの状況です。海辺の集落にあったと思われる家々は土台だけが残ったまま。もう9カ月が建っているのに、家財道具や子どものおもちゃや電話帳など、ごく平凡な日常を感じさせる物がそこらに散らばっていました。

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 いまなおあまりに悲しい状況をこれ以上書き記すのは忍びない気がするのでここでやめますが、みごとなまでに何もなくなってしまった町。津波の恐ろしさは想像を絶するものがあります。遅まきながら、謹んで、亡くなられた人びとのご冥福を祈らせていただきます。

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