悲しい悲しい所沢……悪いのは西武鉄道か?

 朝日新聞「街魅シュラン」の取材で、所沢市に行ってきました。西武ライオンズ球場がこの地につくられて以来、何かと注目を集めているから、存在感はたしかにあります。
 

しかし、実際に足を運んでみるとガックリ度が大きく、驚いてしまいました。最大の理由は、所沢駅前の商店街の個性のなさにあります。商店街の名前は「プロペ通り」といいます。プロペというのは、プロペラに由来しており、所沢が日本で初めて飛行機が飛んだことにちなんだものだそうです。

 プロペ通りの左右にはびっしり店が並んでいますが、その9割以上が、全国チェーンの店。入口にあるマクドナルドから始まり、カラオケ、居酒屋、焼肉、ファストフード、レストラン、靴、コンタクトレンズ、コンビニなど、ほとんど知らない店は一つもないといった感じです。逆に、所沢の地元の店はほとんど皆無で、わずかにお茶屋さんと和菓子屋さんが一つずつある程度。

 だれがどのようにこの商店街をつくったのかわかりませんが、昔からあったとしたら、こうした店の並び方はしていなかったでしょう。駅の真ん前に立つのは西武デパートですが、西武線なのですからそれはいたしかたありません。でも、商店街にはもっと所沢らしさがほしいなと思いました。

L1030061 こんなに素晴らしい航空公園がある街なのですが……。

 近ごろは、全国どこの駅前に降り立っても感じることですが、ホント似通っているのには驚いてしまいます。文字を見なければ、そこがどこの駅前なのか、判断できないのではないかという気さえします。

 地場の小さなお店がこうまでみごとに姿を消してしまうと、街の個性が感じられません。こういう「一律化」の街づくりの根本にあるのは、地元に人たちの気質や意識、あるいはその地の風土をきちんと考えていないということです。とりあえず、姿かたちがそこそこならそれでOKという、安直な姿勢が目に浮かんできます。

 これなら、同じ商業ベースにもとづいていても、東急線の沿線のほうがまだましかもしれません。