なんば花月で笑いころげる

 沖縄から、所用で関西にやってきました。メインの用事は京都なのですが、せっかくだからと、1日余分にスケジュールを取り、笑いの本場・大阪の花月に行くことにしました。
 お正月とあって、チケットを取るのは大変です。ネットでなんとかゲットし、4日の昼過ぎから3時間弱、たっぷり笑わせてもらいました。

 吉本新喜劇は大阪でしか観られません。テレビではほとんど顔を見ることのない、でも関西では知らない人がいないという役者さんが出演する新喜劇、いつ観ても、大盛り上がりです。ストーリーはどれも単純明快なのですが、役者さんの演技力もあるのでしょう、とにかく笑い転げることができます。

 漫才、それもデビューした手の若手から芸歴ウン十年というベテランまで、落語、マジックなど、飽きさせない構成で、その点も感心させられます。

 浅草にも、新宿ルミネにも吉本が進出してきて入るものの、やはり本場で観るのが一番ではないかという気がします。それは、浅草でも感じたように、笑いに対する人々の感覚の違いによるのかもしれません。笑いが非日常の東京、逆に完全な日常に入り込んでいる関西、それも大阪なんばでは、劇場内の雰囲気からして違います。

 ひょっとすると、隣の座席に坐っているお客さんの言葉や行動が笑いを誘うこともあります。笑いの遺伝子が劇場内を四六時中飛び交っているのかもしれません。そんな中にいるだけで、こちらもおかしくなってきます。

その昔、仁侠映画が全盛を誇ったころ、見終わって映画館から出てくる男性のほとんどが、ヤーさん歩きをしているということが話題になりました。背中がそっくり返り、足もややガニ股、両手をジャケットのポケットに突っ込んだまま外に出てくるというのです。もちろん、しばらくすると平常に戻るわけですが、吉本も、そうした効果があるのかもしれません。

 誰もが、老若男女を問わず、笑いを取れるような言葉を口にします。こうした日常の中で暮らしているからこそ、大阪の人は皆、お笑い芸人の素養がつちかわれるのかもしれません。