毎日が「ハレ」の日だといいのに……

 名古屋から那覇へ飛び、3月2日から福岡で雑誌の取材に明け暮れています。福岡も、ちょっと来ない間に大きく変わっており、驚きました。もともと舌の肥えた人が多く暮らしているので、飲食店の盛衰はめまぐるしいのですが、それにしても、まあ、よくぞこれほどまでにと思うほど、新しい店が次々とできています。

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 しかし、そうした中で何十年も続いているというのはやはり胸を張っていいでしょう。中洲にあるバー「七島」もそのひとつです。ちょうど、今回滞在していた3月3日に、開店50周年を迎えたというのですから、たいしたものです。その日の西日本新聞(夕刊)にも大きく報じられていましたが、オーナーの七島啓さんはすでに76歳。本当はとっくの昔に引退するつもりだったようですが、いまなお矍鑠(かくしゃく)としており、2人の娘さん(最子さん、理子さん)とともにカウンターの向こう側に立ち、シェーカーを振っています。
この店で以前、バーテンをしていた方が独立し、すぐ近くで、バーを開いている(これがまた出色の店なのです!)のですが、その店では、師匠が50周年を迎えたその日を祝うとともに、敬意を込めて、「七島」のコースターを使っていました。それを見て、なんともほほえましいというか、こういうことがさりげなくできる弟子を持った師匠をうらやましく思いました。

 福岡というところは名古屋などよりはるかにスマートな都会です。名古屋的な田舎の部分もけっこう残っているのですが、その一方で、とにかく「遊び」を大切にするというか、遊びの価値をよくわかっている人が多いので、遊びにいった人も心地よく過ごせるところなのです。「ハレ」と「ケ」という立て分けがありますが、福岡は年がら年中「ハレ」といってもいいようなところがあります。名古屋の場合、そのあたりはきっちり峻別されており、「ケ」のほうに重みが置かれています。そのため、数少ない「ハレ」の場ではドカーンと一発とばかりに大騒ぎする傾向があるのです。
もちろん、どちらがよくてどちらが悪いということではありませんが、人間やはり「ハレ」の時間が多いほうが、何ごとにつけエネルギーも高まると私などは思うですが、いかがでしょうか。

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