バイクの大群が象徴するベトナムの将来性

 ペナンを12月2日に後にし、ベトナムのホーチミンシティ(旧サイゴン)に移動しました。タンソンニャット国際空港は完成して間もないらしくピカピカでしたが、そこから車に乗って市内に入ると、そこは一気に時代を何十年か逆戻りしたような猥雑さに満ちた街並み。道路はそこそこ整備されていて、さほど問題はないのですが、目を丸くするのはそこを縦横無尽に走るバイクの大群です。

 とにかく、その数がハンパじゃありません。車1台に対しバイクの数は目分量で50~60台くらいでしょうか。その昔、といっても5、6年前のこと、台北の街中を走るバイクの多さに驚いたことがありましたが、その比ではありません。もうウンカのごとくといった感じです。

 交差点の赤信号が青に変わったとたん、端から端までズラリ並んだバイクが一斉にうなりを上げながら走り出すのですが、一瞬ドキッとします。というのも、信号が変わっても、交差点内には遅れて走ってくるバイクが何台もいるのです。かと思うと、左折専用車線(日本で言うなら右折専用車線)がないこともあり、いまのいままで道路中央を走っていたのがいきなりいちばん左側に寄ってきたりします。こうした光景を説明したくても、私のつたない文章や写真ではとても追いつきません。動画しかないといった感じです。

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 町を歩いていても、大量の排気ガスで目は痛いわノドはガラガラになるわで、もう大変です。走っているバイクのほとんどが2人乗り。なかには3人乗り、4人乗りもいます(そのうち2人はたいてい子どもですが)。なんと5人乗りまでいました。4人乗りで走っているバイクを見つけたときにびっくりして、写真を撮らせてもらったのですが、さすがに5人乗りは想定外で、目にした瞬間体が固まってしまい、シャッターチャンスを逃したのが残念です。
 道路がさほど広いわけではありませんから、よく事故が起こらないものだと感心させられます。というか、接触したりこすったりなどというのは日常茶飯事のようで、実際、私が乗っていた小型の観光バスも、交差点で止まっている最中に2、3度「キー」とか「ドスッ」という音がしていました。でも、運転手が降りていって何か言ったりするなどということはありません。そんなことをしていたら、時間がいくらっても足らないのでしょう。

 でも、本格的な事故になったら大変ではないかと思います。ほとんどの人がヘルメットをかぶっていないのですから。やっと12月14日からヘルメットの着用が法律で義務づけられるようになると聞きましたが、はたして守られるのかどうか心配されているとのことでした。
 バスなど、公共交通機関もあるにはあるのですが、バイクがあふれていますから、走ること自体がひと苦労です。ちょっとでもスペースがあればバイクがそこを目がけてあちこちから殺到してくるので、停留所に停まることさえままならい様子です。結局バイクがいちばんということで、これから先もますます台数が増えていくにちがいありません。
しかし、ホーチミンシティを走りまわるバイクこそ、この国の勢いをまざまざと感じさせる象徴といえるのはまちがいなさそうです。

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