NYとパリ、「食」に対する態度の違いは?

 一昨日からニューヨークに来ています。数年ぶりで訪れたのですが、相変わらず活気に満ちた魅力的な都市です。

 今回の目的は「沢竜二のオフブロードウェイ公演」を観ること。沢竜二は以前もこの欄で書きましたが、全国座長公演で初めて出会った役者さん。そのドぎつい、超アナクロといってもよいお芝居は、日本でも根強いファンがいるようです。それを昨年に続いてニューヨークでやろうというパワーに感心させられたからです。

 今年の7月、同じニューヨークで公演した中村勘三郎一座は大好評だったようですが、それとはもちろん比べものになりません。会場も、勘三郎一座のリンカーンセンターとはうって変わって、ふだんはアングラ演劇をやっているんだろうなとしか思えないちっぽけで古びた小屋ですし、装置などにもほとんどお金をかけていません。

 でも、不思議なもので、演者から伝わってくる熱気はたぶん同じレベルではないかという気がします。そして、アメリカ人の観客もそれを感じるのか、セリフも歌も理解できないはずにもかかわらず、ここぞという場面ではやはり拍手と歓声があがります。
終了後、出口で沢竜二はじめ出演した役者たちが観客を見送るのですが、全身汗びっしょりになりながら握手したり写真撮影に応じたりしているのを見ると、ここまで観にきたかいがあったと思いました。

 劇場を後にし、近くの地下鉄の駅まで歩いて行く途中、その界隈に日本料理の店がやたら多いことに気づきました。このエリアに限らず、いまニューヨークはそこここに日本料理の看板が目立ちます。聞けば千軒は軽く超えているとかで、近頃の日本食ブームは本当なんだと感じられました。

 とくに最近は、昔から定番の寿司、すきやき、天ぷらだけでなく、創作日本料理とでもいうのでしょうか、そのテのメニューを出す店が多いようで、とんでもなく値段の高い店も少なくありません。インテリアなどにもたいそうお金をかけているらしく、ホントにそういう店が長続きするのかなと、他人事ながら心配になってしまいます。

 私たちは結局、そういったたぐいのところにはまったく行かず、今年で創業120年というブルックリンのステーキ屋(ピーター・ルーガー)、グランドセントラル駅構内にあるシーフード店(オイスター・バー)など、いかにもアメリカを感じさせるような店ばかり選んで行きました。ニューヨークというところはパリなどと違い、お金を使いたくなければ、いくらでも安い店があります。テイクアウトできる店も多いので、時間がないときなどはとても助かります。

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 もちろん、ニューヨーカーなりに「食」へのこだわりはあるのでしょうが、パリジャンなどのこだわりとは根本的に違うようで、そこにアメリカとフランスのお国柄、それぞれの国民性・気質の違いも出ていそうです。朝でも昼でも、とにかくゆっくり時間をかけて食べようとするフランス人。それに対して、アメリカ人はとりあえず食べられればOKという感じが強いのでしょう。ニューヨークはやはり、忙しく走りまわるビジネスマン、ビジネスウーマン向きの都会なのです。私も食べることは大好きですが、ニューヨーク流のほうが肌に合っているような気がしました。

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