近頃流行りの「デザイナー」なんとかに疑問

 11月3日から上海に行き、今日帰国しました。今回は成田出発(浦東空港着)ではなく羽田からの出発、しかも上海中心部に近い虹橋空港着だったので時間的にはとても楽でした。

 わずか1年半ぶりなのですが、その間に大きく変わっています。あちこちで工事をしているため、交通渋滞がハンパでなく、以前から上海の特徴であるけたたましさ(車のクラクションをガンガン鳴らす)も手伝って、とにかく以前よりいっそうゴチャゴチャしていた感がしました。聞けば、2010年に開催される万博までの間に地下鉄が一気に延伸あるいは新たに開通するとかで、その準備に躍起ということです。

 ちょうど季節が合っていたので、最初の日の夜は上海蟹を食しましたが、それより印象に残ったのは3日目に食べた四川料理でした。日本のそれと違い、本家本元・四川省の人々の基準に合わせた辛さでしたから、辛いものがめっぽう好きな私にとってはピタリはまりました。
 なかでも、川魚を油で揚げたものの上から赤唐辛子、青唐辛子、さらに山椒を合わせたソースを、魚の姿がほとんど見えなくなるほどかけた料理(名前は不詳)は圧巻。口に入れたとたん、脳天までズシンとくる辛さが襲いかかってくるショックは強烈そのもの。といって、けっして不愉快な辛さではありません。体の内側からホカホカしてくるこの辛さこそが四川料理の真骨頂なのでしょう。

 今回泊まったのは、豫園のすぐ近くにこの夏オープンしたばかりのホテルでした。近ごろ日本でも流行っているデザイナーズホテルとでもいうのでしょうか、インテリアはいちいち凝っているのですが、使い勝手がわかりにくくてたまりません。極端な話、洗面所のコックでさえ、どこをどうすれば水(湯)が出てくるのか首をかしげてしまうのです。デザイン優先の悲喜劇といってしまえばそれまででしょうが、もう少しなんとかしてほしいなと、このテのホテルに泊まるたびに感じます。

 デザイン、とくにインテリア関係、あるいはインダストリアルの分野は、姿かたちも大事でしょうが、まず何より使い勝手がよくなくては失格ではないかと、私個人は思っています。キッコーマンのしょう油さしがいかにしてつくられたかという話を以前テレビで見たことがありますが、人間の手の動きや視線のありようなどを深く、またていねいに探求してデザインされていたのを知って感心しました。それゆえ誕生してから半世紀近く経っているいまでも同じデザインでつくられています。時代や空間を超えた普遍性がそこにはあるわけです。

 最近、「ユニバーサルデザイン」という言葉をよく耳にしますが、本当の意味で「ユニバーサル(=普遍的)」であるのはやはり大変なことなのでしょう。デザイナーはともすると、見た目のカッコよさに酔ってしまうようですが、目先のカッコよさだけでは、そのとき・その場はウケても、けっしてユニバーサルたり得ないということをよくよく知っていただきたいなと思います。

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