都内でも楽しめる夏休み

 8月、東京都内のホテルはどこでもそうらしいのですが、客集めに知恵を絞っているようです。たしかに、考えてみれば、東京の人は皆、7・8月はどこか遠くに遊びに出かけてしまっていますし、かといってビジネスも小休止といった時期ですから、客室も宴会場もほとんど閑古鳥が鳴いているという塩梅なのでしょう。そこで、各ホテルでは格安の宿泊パッケージを企画したり、個性的イベントを催したりなど、一人でも多くの人が来ておかねを落としていってくれないかということになるわけです。

 そうした中、「これは、なかなかやるじゃないの」と思わせる企画を打ち出しているのが老舗の帝国ホテルです。「Imperial Jazz complex」と名付けられたこの催し、大阪の帝国ホテルでもおこなわれているらしいのですが、東京では8月9・10日の両日、ホテル内の宴会場やバーなどを利用し、ビッグバンドやソロシンガー、デュオやトリオ、クインテットなど、ベテランから若手までうちそろって、ジャズの競演を繰り広げるのです。チケット1枚買えば、好きな時間に、好きな場所で、好きな演目も楽しむことができる仕掛けになっているのですが、概してわがままな人の多いジャズファンにはたまらない企画ではないかと思います。敷居の高そうな帝国ホテルもこの2日間はジャズ一色で覆われ、その合間を縫ってお酒や冷たい飲み物を飲んだり、ときには値の張るレストランで食事をしたりなどして、つかの間ではあるが、いつもとはちょっと違った時間を過ごすことができるわけです。

 私も9日、仕事をなげうって、午後から出かけ、よる8時までジャズのシャワーをたっぷり浴び、大いにリラックスすることができました。終わってからはホテルを出て、銀座で焼鳥を食べ焼酎を飲み、1日ゆっくり過ごせたのですが、大きな鯉城でのコンサートとなると大仰になってしまいますし、ライブハウスも、出演するのは単一のバンド(シンガー)ですから、よほどでないと足が向かないものです。それが、ホテルの一角でジャズのつまみ食いが好きなようにできるのですから、これほどありがたいことはありません。来年もぜひまたと思いながら、エアコンの効いた帝国ホテルの一室で熟睡できました。

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