2016年11月28日
今日は長い1日でした。メインイベントはアブ・シンベル神殿の前から拝む朝日。チョー早起きしていくと、空はどんよりしており、これはダメかと皆、あきらめていました。しかし、日の出の時刻から30分ほどすると、空がうっすら赤く染まってきます。それからはあっという間、太陽が赫々とした光を放ちながら山の間から姿を見せました。湖もそれに合わせて赤い光を反射させ、一気に明るい朝が!
世界中どこで見ても朝日は美しいものですが、悠久の歴史を秘めたアブ・シンベル宮殿ですから、テンションもいっそう上がります。衝撃的なシーンを前に、シャッターも数多くは切れませんでしたが、この目で見た神々しい光景は忘れられません。
それにしても、およそ3300年も前に作られた大小2つの神殿、アスワンハイダムの建設工事により本当なら水没してしまうはずだったのに、よくぞ移築に成功したものです。「世界遺産」を守った、人類史上に残る功績ではないでしょうか。祀られているラムセス2世も天上で喜んでいるにちがいありません。
ホテルに戻り朝食もそこそこにチェックアウトし、バスに乗り込みます。ここからアスワンまで、砂漠の中をひた走るのです。エジプトの道路は、車のスピードを落とさせるための突起があちこちに作られています。街中ならともかく、郊外の、左右どちらを見ても砂漠しかないようなところでも、なぜかかならずそれがあるので、時速70~80キロで突っ走るというわけにはいきません。
2時間半ほどのち、ようやくアスワンに到着。ナイル川に浮かぶ小さな島フィラエ島を訪れました。ここには、ほかの神殿に比べると小ぶりなイシス神殿があります。さしものエジプトも、1週間もいると神殿慣れしてしまい、ツアーの面々もテンションが下がり気味。しかし、それでも、壁画に描かれているストーリーはほかとはひと味もふた味も違いますし、建物のこまかな部分には、時代社会が反映されているようです。これもどこかから移動したものだそうですが、古きものをきちんとした形で残そうというのは、西欧人の考えなのでしょうね。
すぐ近くのホテルでランチを終えると、空港に。ダムで知られる町だけに、ファサードもそれに合わせたおしゃれなつくりです。中もまだピカピカ。ここ数年、内外の観光客の足がパタッと止まっていたため、使用頻度、出入りする人の数も少なかった影響でしょう。いまなお便の数はさほど多くないようで、広いターミナルの中は閑散としていました。
私たちが搭乗手続きを終えたころ、前日当地で試合をした「Al Ahly」というサッカーチームの選手たちの姿が見えました。エジプトのプレミアリーグで過去38回も優勝している強豪で、2015-16年のシーズンも優勝しています。どうやら同じ飛行機に乗るようです。空港の職員やエジプト国内の観光客たちにはなじみの顔らしく、多くの人がカメラを手にしながら待ち受けたり。
同じツアーの人たちも、相手がだれかも知らないのに、ガイドが教えてくれた情報を頼りに、次々と記念撮影をお願いしています。なかでもいちばん多くのファンから声をかけられていたのは、エジプト代表チームの正GKシェリフ・エクラミ選手。女性陣は「イケメン」とみると、どんどん声をかけシャッターを押すジェスチャーを見せながらすぐ隣に立っています。
アスワンからカイロまでは1時間ちょっと。飛行機の窓からは砂漠しか見えませんでした。しかし、空港から中心市街に向かう道が渋滞していたため、ホテルまで2時間近くかかりました。ようやく到着したホテルはナイル川沿いに建つリッツ・カールトン。でも、ロビーに入ったとたん、疲れが吹き飛びました。ウェルカムドリンクで出されたザクロのジュースのおいしかったこと。
リッツといえば、昨年だったかシンガポールでひどい目に遭いましたが、ここはまったく違います。ツアーなのでたった1泊しかできないのがなんとも残念。個人旅行なら、最低でも2泊はしたい素晴らしい雰囲気のホテルです。
夕食は、前日のリクエストにもとづき、私たち2人はエジプト料理のコース。豆を多く使うのがその特徴ですが、前菜はやはり豆がメイン。しかし、バリエーションが豊富で、どれを食べても飽きません。メインは肉でしたが、これも当地独特のスパイスが利いていてとても美味でした。久しぶりのツアー客だからということもあるのでしょう、ホテル側のもてなしも通常より気合が入っている感じです。マネージャーや営業担当の上席スタッフとおぼしき人がつきっきりでサービスに務めていました。
部屋からの眺めも素晴らしいこと。いかにも首都の中心を流れる川らしく、両岸とも華やかな光に満ちあふれています。船をそのままレストランに改造した感じの店もいくつかあり、明日はその中の一つでランチをする予定です。