2016年11月27日
どこの観光地に行っても、「ワンダラー、ワンダラー」という声が聞こえてくるのがエジプトです。エジプトの通貨はかつてイギリスの保護国だった時代の名残で「ポンド」なのですが、土産物屋の客引きが口にするのはいつも「ワンダラー」。ワンダラー=1ドルはざっくり100円。かといって、どの店も「100均」なのかというと、そういうわけではありません。要するに、「安いよ、安いよ!」の決まり文句のようなものです。
日本人が相手の場合、その亜流「タカクナ~イ」「ヤスイヨー」を繰り出してくることもありますが、こちらはいまひとつインパクトに欠ける感じ。そうした声かけを無視して通り過ぎようとすると、「アバヨー」という言葉をかけてきます。どこかの日本人観光客が教えたのでしょうが、発音はどれもたいそう達者です。
ギザのピラミッドでは「ヤマモトヤマ」というのも聞きました。日本人観光客を相手にするときの「シャチョウ」は世界共通ですが、ときどき「サトウさん」とか「ヤマモトさん」と固有名詞っぽい呼びかけをされることもあります。「サッポロのスズキさん」とか「ナゴヤのナカノさん」というのも耳にしました。そのバリエーションが「ヤマモトヤマ」なのでしょう。これもどこかの日本人が教えたからにちがいありません。でも、笑えてしまいます。
それにしても、あの手この手で声をかけ、一つでも二つでも買ってもらおうという商魂のたくましさはどこの観光地も同じ。もちろん、そうした言葉につられて店の中に入るほどこちらも甘くはないのですが、声の調子が独特で、そのうちすっかり慣れてしまいました。逆に、何も声をかけられないと落ち着かなくなったりして……(笑)。
24・25・26日と3泊したナイル川クルーズも今日で終わり。朝アスワンに到着しました。朝食後、ナイル川をオールドスタイルの帆船(=ファルーカ)に乗って楽しむメニューは楽しかったです。長さ7~8メートル、幅3メートル足らずと小ぶりな帆船の船長は先祖代々の稼業だそうです。クルーズで乗った大きな船でもそれは同じで、民族衣装(ガラベーヤ)に身を包み、ゆったりした感じで舵を取る船長も2代目だと話していました。
ガイドさんの話では、この一帯=ヌビア地方の人たちは気質も言葉も違うといいますが、私たちにはわかりません。ヌビア人はふだんとても物静かなようですが、手先の器用さは素晴らしいらしく、かなり精巧な仕上がりの民芸品を作って売っています。ファルークの中にも置かれていて、いくつか購入しました。
そのあとはバスで市内観光。アスワンの町は、人も車もカイロよりゆったりした感じ。地方都市ですから、そんなものなのかもしれません。途中、石切り場で未完のオベリスクを、さらに、空港近くにあるアスワンハイダムを見学しました。
アスワン空港から南のアブ・シンベルまでは飛行機で1時間ほど。できて間もないアブ・シンベル空港のターミナルビルはかわいらしい建物でした。そこからバスでレストランへ。ランチを済ませると、ナセル湖の湖畔に建つホテルに。午後2時過ぎと早かったので、ほとんど全員、午睡のようでした。私は仕事をしました。部屋ではインターネットがつながらないので、ロビーやカフェまで行くとすんなりつながります。
夕方からアブ・シンベル神殿に向かいました。ラムセス2世がこれを造らせたのは紀元前1250年ごろといいますから、3000年以上昔。砂岩をくり貫いた大小2つの神殿が並んでいます。どちらもそのスケールには驚くほかありません。
夜はこの神殿の前でおこなわれる「光と音のショー」を楽しみました。ギザのスフィンクス前でおこなわれたショーはパスしていたので、今日は私たちも行ってみたのですが、自然の岩の表面を利用してのショーというのはなかなか難しい感じがします。ナレーションが日本語だったのはありがたかったです。