2016年11月24日
今日は飛行機でルクソールに移動。ルクソールから、ツアーのもう一つのメインといっていい、アスワンまでのナイル川クルーズ(3泊4日)の起点です。
カイロの国内線ターミナルはたいそう立派な建物なのですが、なぜか閑散としています。喫煙所で一緒になったガイドさんの話によると、完成したのは10年ほど前。しかし、「エジプトの春」によって国全体が混乱し始めた5年前から、観光客の足がパタッと止まってしまったため、キャパシティーに見合う利用客がいなくなったということのようです。エジプトは国民の4割ほどが観光関係の仕事に就いているので、この5年間は本当に大変だったといいます。ようやく、ひと月ほど前から安心して観光が楽しめるようになり、関係者もひと安心したところ。これからが稼ぎ時というか、人々の生活も多少は安定してくるのではないかと期待していると語っていました。
ルクソールはカイロから700キロ南にあり、飛行時間は1時間。エジプト航空の飛行機の窓は砂ぼこりで茶色くなっていますが、下を見ると、ほとんど全行程が砂漠の上を飛んでいるのがわかり、それも当然と納得しました。ルクソールの空港ターミナルは素晴らしいデザインの建物で、国が観光に力を入れているのがひしひしと感じられます。
ターミナルを出てバスに乗り、ナイル河畔の港まで。サトウキビ畑が広がっていて、川もきれいですし、カイロやギザと違い、道端にゴミがほとんどありません。この街に2、3泊してゆっくり楽しむコースもあるようですが、私たちは1泊(ただし船にです)するするだけ。ちょっと惜しいとも思います。
桟橋には川に沿って3隻ずつ、とりあえず6隻ほどのクルーズ船が接岸していました。でも、その後方にも桟橋があり、そちらに向かってくるクルーズ船も見えます。私たちが乗る「アムワジ・リビングストーン」号は川岸から2列目なので、1隻を通り抜けてロビーに入ります。おしぼりと冷たいお茶をいただきほっとくつろいだ気分になったところで、添乗員さんからもろもろ説明を受け、それぞれ部屋に。まだ改装して間もないのか、部屋の中は新しい感じで、快適そうです。
荷ほどきを済ませるとランチ、そして最初の観光に出ました。行き先はナイル川東岸にあるカルナック神殿とルクソール神殿。この2つの神殿、どちらも息を呑んでしまいました。とくにカルナック神殿の壮大さといったら……。よくもまあ、これほど大量の石を高く積み上げ、あるいは切り、何十本、何百本もの柱を立て、そこに大小さまざまな彫刻をほどこし、さらに絵(しかも色付き)を描き文字を刻んだものです。
古代ローマの建築物もたいそうなもので感動しましたが(ギリシアにはまだ行ったことがないのでわかりません)、これほどの域には到達していないでしょう。まして、日本の城の比ではありません。日本の城はせいぜい10数年で作り上げますが、こちらの神殿は何百年、場合によっては千年以上の時間をかけているというのですから、当然でしょう。しかし、それにしても、です。古代エジプト文明の、静かな、迫力というか奥深さをいまさらながら思い知らされた気がします。