やっぱり私は「花よりダンゴ」かと思いきや

2016年4月3日
3、4日前から東京も桜が満開。都内では昨日・今日と、お花見渋滞があちこちで起こっているといいます。今日は日曜日ということもあって、そんな都内を家人と2人、車で“パトロール”してみることにしました。といっても、メインの用件は門前仲町に住む長男一家にイタリアのお土産を届けること。午後2時過ぎに家を出て、途中、学習院大学正門や新江戸川公園といった、渋滞までは引き起こさない道も通沿いにある桜の名所も見ました。混雑していそうな皇居前はナビのおかげで回避し、すんなり目的地に到着。

dsc00232そのあと、まっすぐ帰るのももったいないので、「羽二重だんごでも食べたいね」という話になり日暮里へ。途中、言問橋など隅田川の周辺は大変な人出のよう。幸い、どこでも渋滞にはひっかからず日暮里駅近くの店に。閉店の1時間ほど前でしたが、席もすぐに空き、2本で540円というチョーぜいたくな羽二重だんごをいただきました。何かの催しでたまにデパートに出店した機会に出くわして食べたことはありますが、本店で食べたのは初めて。一段とおいしかったです。

やっぱり私は「花よりダンゴ」だなぁ、などと納得しかけたのですが、日暮里駅といえば谷中霊園の目と鼻の先。墓園を“桜の名所”と呼んでしまっていいのかという疑問もありますが、店と線路をはさんだ反対側にある墓園まで足を延ばしてみました。上野公園のすぐ近くなのですが、こちらは喧騒とはまったく無縁。みごたなまでに花を咲かせた桜の木が並ぶ道をゆっくり歩き、堪能しました。枝ぶりの大きな、しかも下まで垂れ下がっている桜はやはり何物にも代えがたい美しさで迫ります。うっとりした顔で桜を楽しむ外国人の姿も目につきました。私たちも「花よりだんご」で済まずによかった!

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dsc00242再び日暮里駅までとって返し改札の前を通り抜けようとすると、大きな「谷根千MAP」が掲示されていました。駅から谷中・根津・千駄木周辺の見どころ、お店などが、細かな道筋とともに大きな文字で書かれているのですが、ふと、「これじゃ外国人にはなんの役にも立たないだろうな」と思ってしまいました。そう、英語といえば「MAP」の文字だけで、あとは全部日本語。たまたま地図のすぐ前をノルウェーからやってきたとおぼしき観光客の一団が通り過ぎていきましたが、「MAP」に目をやることはありませんでした。改札を抜け駅構内に入っても、とまどっている様子がありあり。こちらは英語の表示が随所に見受けられたのですが……。

そういえば、一昨日、浅草に行ったときも同じような事例に出くわしました。というか、どこに行ってもその種のことが多いのですが、肝心な部分でインバウンド(=外国人旅行客)向けの案内表示が欠けてしまっているのです。

たとえば、浅草には東京METROと都営地下鉄の2路線の駅がありますが、2つの駅はつながっていません。そのため、多くの人がとまどってしまうのでしょう、ときどき「都営浅草駅へは階段の裏の通路を」などといった類の案内表示が貼られています。要するに、最初の設計段階ではそうした情報が欠けていたため、あとになってから手作りしたわけです。ところが、そうなるともうダメで、日本語の表示しかありません。日本人よりもっと不案内な外国人にとっては不自由きわまりないことになってしまうわけです。

「トイレ」「雷門・浅草寺方面」といった簡単明瞭な表示はほぼカンペキです。しかし、実際に営業している中で、予想外に質問が多かったりすることには臨機応変に対処するしかありません。日本人だけが相手なら、口頭でも手書きの表示でも対処できますが、中国語や英語、スペイン語しか話せない人たちにとってはまったく意味がありません。しかも、それが東京でもいちばん外国人観光客がやってくる浅草での話です。これがちょっと郊外の駅や地方の観光スポットならどうなるのか……と、不安になるのは私だけではないはず。日本ならではの“親切”がかえってアダになってしまっているのではないでしょうか。

外国のほうがこういうことははっきりしています。「自分でなんとかしなさい」ということになっているからです。たしかに不親切ですし、トイレを探しているようなときそうした状況におちいってしまうと大変です。日本と違い(といっても、浅草などまだまだですが)バリアフリーがまだ十分に発達していない国で、大きなスーツケースを引きずりながら乗り換えに四苦八苦させられると、泣きたくなります。空港はともかく、鉄道駅ともなると、ほとんどの国はまだまだ厳しいものがあります。

ただ、それはそれ。自力で問題を解決するしかないとなればその覚悟ができ、心の準備もするでしょう。しかし、「おもてなし」の国・日本となれば、やってくる外国人観光客の期待度はおのずと違います。そうした事態まで見すえてのインフラ作りを考えなくてはならないのですから、大変は大変。でも、徹底してやるしかなさそうです。外国人旅行客にはまったく意味をなさない、「白線の内側までお下がりくださ~い!」とか「ただいまの時間整列乗車をお願しておりま~す!」といった駅ホームでのアナウンスより、そうしたことにエネルギーを差し向けたほうがいいのではないかと思ってしまいます。