2015年7月2日イタリアの旅も今日が実質的に最終日です。町の中でまだ行っていないところがいくつかあったので訪問することにしました。最初は世界最古の大学ともいわれるボローニャ大学。1068年にできた大学で、世界で初めて人体解剖がおこなわれた部屋もあります。
ただし、こちらは旧校舎(アルキジンナージォ宮)のほうで、いまの校舎とは別の場所。新校舎といっても200年近く前にできたシロモノですから、実際この目で見ると、日本の建物とは風格がまったく違います。
大学の前にベルディ劇場があるとか、劇場の斜向かいには聖チェチリア礼拝堂(聖チェチリアは音楽の守護聖人)、1267年創建のサン・ジャコモ・マッジョーレ教会、さらにすぐ近くにロッシ-ニ広場があるとか、どこに行っても、「これはかなわないな」という気持ちになります。とくにサン・ジャコモ・マッジョーレ教会の壮大さ、内部の壁画の数々には度肝を抜かれました。
そこをあとにして、ボローニャ滞在3日目にしてやっと「斜塔 (アシネッリの塔とガリセンダの塔)」とご対面です。かつては100本ほど建っていたという塔も、いまではこの2本だけとか。高いほうのアシネッリの塔は上まで階段で昇れるそうですが、とてもそんな元気はありません。下から眺めるだけで十分。「斜塔」とはいうものの、観る場所によっては斜めに傾いていることに気がつきません。でも、ボローニャ大学の新校舎から歩いていくと、それがよくわかります。
斜塔のあとは、「何はなくともマッジョーレ広場」に向かい、その近くでランチ。この日はワインバーの屋外テーブルで。またまたGOODでした。このあたり一帯はマーケットがあり魚介類の匂いがぶんぶん漂っています。家人はおみやげ用にパスタを何袋か購入していました。さらに、近くの老舗チョコレート店「Venchi」(1878年創業)でもいくつかを。ちょうどシエスタタイムになったのでホテルに一度戻ります。ちなみに、この日も35℃近くあったでしょうか。
夕方涼しくなったころを見計らって、また外に出ます。ボローニャをその昔流れていたという運河をのぞき、インデペンデンツァ通りから2本裏の通りをマッジョーレ広場方向へ。こんな通りにもけっこうお店やホテルがあるんですね。ただ、店はだいたいがクローズしている時間帯だったのでもっぱらウインドーショッピング。そして、最後の夕食に選んだのは、これまた当地在住の方の推薦店の1つ「Ristorante Da Nello al Montegrappa」。これがまた超ハイレベル(値段ではありませんよ!)の店。私たちが入って30分もしないうちに満席になりました。客のほとんどが地元の人のようで、このあたりもいい雰囲気です。
有名な「ボロネーゼ」は、肉をベースとしたパスタソースかと思っていましたが、ここでは「タリアテッレ・アル・ラグー(Tagliatelle al ragu)」のことのようです。
ホテルに戻ったのは9時前。まだまだ外は明るいのですが、これくらいの時間から一気に暗くなり、10時には正真正銘の夜。この夜は満月で、何年か経って「あの日ボローニャで眺めた月が……」なんて口ずさむ日が来るかもしれません。それほど美しい月でした。
ボローニャの古さはローマともヴェローナとも違い、暗くてほこりっぽい感じが特徴なのではないかという気がします。歩道のほとんどがポルティコで覆われていることによる暗さも影響しているのかもしれません。実際、建物はどれをとっても数百年経っているものばかり。ローマはときおり新しい建物もあり、道も広くてわかりやすいですし、ヴェローナは街全体に多少新しさも感じられます。しかし、ここボローニャは中世そのままといった印象が非常に濃厚。後世の人が手を入れた痕跡が薄いというか。紀元前9世紀には人が住み始めていたというのですから、それもむべなるかなでしょう。