2013年12月4日
今日はミュンヘンから鉄道で約1時間の古都アウグスブルクに行ってきました。よく聞く「ロマンティック街道」にあるこの町は、人口も27万程度と、さほど大きくはありませんが、味わいに富んでいました。
なにせ、町の名前からして、古代ローマの皇帝アウグストゥスにちなんでいるというのですから、その歴史の長さは想像を絶しています。駅から歩きケーニヒ広場というところまで行くと、大々的な工事がおこなわれていましたが、その先は石畳の道も多く、ちょっと横丁や路地に入ると2000年前──というといささか大げさに過ぎますが──、少なくとも500年前くらいの香りはただよってきそうです。
まず、ドイツの町では定番の大聖堂を拝観。1100年前から建築が始まったそうで、ステンドグラスは世界最古のものだといいます。そのあとは市庁舎へ。ここでは「黄金のホール」と呼ばれる部屋を観ました。「市庁舎」という名前からすると、市役所のような無機質な建物をつい思い浮かべてしまいそうですが、ドイツではそれは当たりません。たいがいは、大聖堂と並んでその町でいちばん古い建築物で、町のいちばん偉い人たちが出入りしていたのでしょう。それがために、絢爛豪華な内装をほどこした部屋を備えていたりするようです。
その市庁舎の前を走るのがいわゆる「ロマンティック街道」。文字のとおりに訳すと「ローマへの巡礼の道」ということになります。そこを60をとうに過ぎた私と家人とが、たとえ手をつないで歩いたとしても、別の意味での「ロマンティック」な気持ちは沸きそうにありません(笑)。道すがら、夏になればさぞかし楽しい時間が過ごせそうなカフェもけっこうあるのですが、真冬ですから、そうした店にも入ろうという気にもなりにくく、結局、ひたすら歩き続けることにあいなります。
「黄金のホール」を見たあと、裏手の坂道を下り「フッグライ」という、一風変わった場所に行きました。これまた世界最古という触れ込みの、社会福祉住宅(日本流にいうとタウンハウスでしょうか)が建ち並ぶエリアだそうです。社会福祉住宅といっても、日本人の感覚からするとけっこう立派な建築物で、いまなお人が住んでいます。ただ、家賃が驚くほど安く、観光ガイドには年100円(!)ほどと書かれています。住民が家を出入りする姿を目にすることはありませんでしたが、どこの家もこぎれいな感じで、窓にクリスマスの到来を思わせる飾りつけがなされている家もありました。
市庁舎昨日に続き、今日もまた町歩きをしながらグリューワインやらソーセージやらシュトーレンというお菓子やらをちょこちょこ口にしてしまうため、決定的な空腹を感じるときがなかなかありません。
夕方4時を過ぎ、空が暗くなるのに合わせて寒さが増してくるので、遅くまで歩いていようという気にもなれません。結局、寒さをしのぐのと、ちょっと休憩したいの一心だけで、ロマンティック街道から少し入ったところにカフェを見つけ、そこでお茶を飲みました。ただ、ケーキがあまりにおいしそうで、チョコレート系のものを一つ見つくろい、それを家人と分けながら食べました。それでも3分の1は残しましたが……。
5時半ごろに店を出ると、市庁舎前広場のクリスマスマーケットはもう大変なにぎわい。そうした中で見かけはまごうことなき「中華饅頭」という食べ物を見つけました。店のオーナーは中国系の人かと思って目をやったのですが、その気配はまったくなし。完全なゲルマンの顔です。地元の人の様子を見ると、お皿に乗せた上から何やらスープめいたものをかけて食べています。
ものは試しと、さっそく一つ買って口にしたのですが、これがまたとんでもないシロモノ。スープのように見えたのは実はシロップで、中華饅頭(といっても、ミルクと油で蒸し焼きにした酵母入りのふわふわのパン)も中身はなくすべて皮だけといったもの。これでシロップでもおいしければイケたのでしょうが、ただただ甘いだけ。申し訳ないとは思いましたが、ひと口だけでやめました。名前は“Dampfnudel Ungefullt"。私たちが買ったのは、それに“mit Vanillesosse”とありましたから、なるほど甘いはずです。
7時にはアウグスブルクを出発、帰路に着きました。ミュンヘン着は8時ごろ。今日もまた夕食は食べたような食べないような。駅中の、よくもまあこれほど……と思わされるほどたくさんあるパン屋でサンドイッチを買い、部屋でそれを食べるというパターンで終わりました。