宮城県東松島で目にした「光」と「影」

2012年1月28日
 東日本大震災の被災地を訪れました。昨年12月に続いて2回目です。こんども宮城県ですが、場所は東松島。なぜ、その地に行くことになったのか。かつて真剣に応援していた劇団ふるさときゃらばんで中心的な役割を果たしていた寺本建雄さん・そふえまなさん夫妻が制作しているミュージカルの応援のためです。

 3月18日、東京・銀座のブロッサム銀座で上演が決まった「ミュージカル『とびだす100通りのありがとう』」ありがとうミュージカル」。その出演者は全員、被災地の、それも、実際に災害に遭った人たちばかりです。震災のとき東松島に暮らしていた前谷ひろしさんがふるさときゃらばんに籍を置いていた縁で、寺本さん・そふえさん夫妻と協力して立ち上げた企画とのこと。震災のあと東京を始め全国から励ましや支援を受けたお礼の気持ちを伝えたいと、それをミュージカルに託すことになったといいます。

 もちろん、出演者は全員シロウト。生まれて初めてのミュージカルなのですが、このパターンは旧ふるさときゃらばんが得意としていたもの。シロウトでも、本番のときは信じられないくらいの演技を見せてくれることで定評があります。

 その応援をしようということで、今日は現地での練習に立ち合わせてもらいました。地元の中学校の体育館で100人を超える人たちが懸命に練習していました。小学生から70歳を過ぎたおばあちゃんまで、真剣そのもの。この日は4回目の練習でしたが、歌も踊りもかなりのものでしたPhoto_5

 終わったあと、寺本さん・そふえさん夫妻とともに、津波で家を流された出演者の夫婦の案内で、家があった場所を訪れました。震災から1年近く経っているというのに、そこはいきなり時計が逆戻りしたのではと思うほど、「3・11」のまま。案内してくださった被災者自身が、「あれー、こんなところにあった」と、探していたものを見つけるなど、それはそれはすさまじい現場でした。

 時間的にも日が暮れる直前で、気温も下がり、空も薄暗くなってきます。まわりに「あった」はずの家も3・11のときのままですから、だんだんやるせない気持ちになってきました。それでも案内してくださった夫婦は笑顔を絶やさず、気丈にされています。それがわずかな救いでした。

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 そこを後にして、仙台駅近くで牛タンを食べて帰京したのですが、このミュージカルは何がなんでも成功させなくては……と気持ちを引き締めました。

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