釜石は、絶好のラグビー日和!

2019年9月25日

朝から真っ青な空が広がっています。W杯の観戦も、今日で4戦目。フィジー vsウルグアイです。仙台で東北新幹線の各駅停車に乗り北上【きたかみ】まで小1時間、そこから釜石までバスでさらに1時間20分ほど走ります。できてまだ間もない三陸道を走り、バスの駐車場に。そこから鵜住居【うのすまい】復興スタジアムまでは歩いて15分。土の道なので、晴れてホントよかったです。

スタジアムのまわりには、みごとなほど何もありません。この一帯は、8年前の大震災+津波で何もかも流されてしまったからです。小高い丘のふもとに、すぐにそれとわかる建物が見えます。スタジアムというより、球技場の言葉のほうがふさわしい感じ。それでも、仮設スタンドを含めると1万6千人、本体だけなら6千人収容とのこと。大型映像装置も2台ついていて、フラストレーションなく観戦することができます。陸上競技用のトラックがない、ラグビー(もしくはサッカー)専用なので、最前列など、ほとんど手が届きそうな感じで観戦できますし、最上段でも、とても近くに感じます。

2011年のW杯、ニュージーランドのファンガレイ(Whangarei)でおこなわれたJAPAN vsトンガ戦(18対31で負け)を思い出しました。オークランドからバスで2時間半、途中目にしたのは羊だけと言ってもいいほど田舎にある町で、スタジアムは仮設スタンドも含め2万人収容。このときもやはり土の道を歩いていきました。でも、大きくて立派なスタジアムとはまた違う、素朴な雰囲気がいいのです。

スタンドのまわりに並ぶ売店もそれぞれ個性的。飲み物はどこも共通ですが、食べ物は東北各地のローカルなメニューを販売しています。売り手も、岩手県人ならではのほのぼのとした優しさがいっぱい。軽く言葉を交わしながら好みの物を買い、温かな日の光とさわやかな風が頬をなでる中、ベンチや芝生の上に座り込んで飲んだり食べたりしながらキックオフを待つファンがいっぱいいました。コンクリートで作られた、いかにもといった感じの都市型スタジアムとはまったく違う味わいがあります。

かつて、新日鉄釜石が日本選手権7連覇を達成した時代、釜石とその周辺に暮らす人たちにとってはラグビーが日常だったはず。シーズンともなれば、昼も夜もラグビーの話で盛り上がっていたにちがいありません。いまで言うと、サッカーJリーグ、バスケットボールBリーグのチームがある地方都市も同じような雰囲気があるのでしょう。そうした意味では先駆者ともいえる釜石。そうした頃の名残かもしれません。

両国国歌の演奏の前に、東日本大震災で亡くなった方々の冥福を祈り、黙とうをささげました。また、空にはブルーインパルスが編隊飛行で祝福します。

試合は、スコッド31人中9人がアマチュアで、世界ランキングも19位という格下のウルグアイが、W杯では毎回健闘し、いまもランキング10位のフィジーを相手に堂々と渡り合い、最後は30対27で勝利。メインスタンドに陣取っていた100人近いウルグアイ人サポーターを喜ばせました。私たちが観戦したバックスタンドにも3人の熱いサポーターがおり、大きな声を張り上げていたのが印象に残ります。帰りも順調で、スタジアムから北上の駅まで渋滞もなく到着。茜色に彩られた西の空がきれいでした。