2月11日の天気予報は、その数日前から「雪で、凍えるような寒さの一日となるでしょう」でした。その前日から、「明日は東京でもかなりの積雪が……」などという言葉が何度となくニュースで聞かれていましたから、準備に余念のない人も多かったようです。
しかし、こういうふうに、事前に大騒ぎしていたときにかぎって、いざその日になるとたいしたことないというケースが多いものなのです。案の定、2月11日は、寒かったのはまちがいありませんが、雪はほんのわずかしか降りませんでした。
ところが2月14日のバレンタインデーの日は違いました。この日も朝から寒く、夜は天気が崩れるとの予報でしたが、「雪」ということはあまりいわれませんでした。しかし、夕方から一気に冷え込んだせいでしょう、降り始めた雨が、7時過ぎにはあっという間に雪に変わり、どんどん積もり始めます。内心、「こういうときの雪はびっくりするほど積もるんだよな」と〝期待〟に胸をふくらませていました。
雪で困ったり迷惑したりする人がいるのはもちろん承知してはいるのですが、実は、大雪とか台風とか暴風雨とかが、子どものころから大好きなのです。台風が接近してくると、頼まれもしないのにわざわざ家の外に出て、状況を観察したりします。前が見えなくなるくらいの雨や立っていられないほどの強風が吹いていると、それだけでうれしくない、もっと降れ、もっと吹けと、心の中で祈っている自分がいるのです。
内心では、こういう不埒なことをほかの人にしゃべったりしてはいけないという思っているのですが、あるとき、酒に酔った勢いで、そのことを口にしてしまったことがあります。すると、たまたまかどうかはわかりませんが、相手も私と同じ思いを抱いていたというではありませんか。その事実を知って、私はやっと安心しました。台風好き、大雨・大雪好きは自分だけじゃないんだ、と。
さて、昨夕から降り始めた雪は、真夜中、午前0時ごろ、最高潮に達していました。我が家の庭に生えている木も思い切り雪をかぶっています。ただ、天気予報を聞くと、「雪は明け方から霙(みぞれ)」に変わるでしょう」ということです。「なーんだ、これでおしまいか」とガックリきてしまいました。すぐ、庭に出て、雪をかぶった木を写真におさめたのは正解でした。朝、起きて庭を見ると、木に積もっていた雪はあとかたもありません。霙に変わったため、全部溶けてしまったのです。