藤堂和子さん、申し訳ありません!

藤堂和子さんは博多で長く、バー「リンドバーグ」とクラブ「ロイヤルボックス」を営んでおられる名物ママです。彼女がこのほど『親子三代ママ稼業』という本を出されたのと、彼女の発行してこられた『中洲通信』が30周年を迎えたのを記念するパーティーなのですが、地元の博多でなく、東京で開いたというところに彼女らしさがあります。それも帝国ホテル孔雀の間で、参加者はざっと数えて1500人近かったのではないでしょうか。広い会場なのに、人、人、また人で、動くのもけっこう大変でした。

もう6、7年前ですが、ある出版社の社長に企画を依頼されたことがあります。その社長の手もとには、新聞だか雑誌の切り抜きがあり、そこに登場されていたのが藤堂さんでした。博多では知らない人のいない女性で、しかも月刊誌まで出しているといいます。「この女性の半生記のような本を出したい」ということでした。たまたま私が『博多学』という本を上梓していたので声がかかったのですが、翌日さっそく連絡を取ってみました。

気さくな方で、こちらの用向きをお伝えすると、「すぐいらしてください」ということです。翌週、ご自宅にお邪魔したところ、膨大な資料を見せてくださいました。「では、これに一度目を通させていただいたうえで、どんな内容にするか、インタビューの進め方等、こちらからご連絡させていただきます」と申し上げたのですが、スケジュールがなかなか折り合わず、結局そのまま時間が過ぎてしまい、〝冷凍保存状態となったのです。これは言い訳になりますが、その出版社の社長が退任されたことも、私のほうできちんとフォローするのを怠ってしまった理由といえます。

それから5年、今回ご本を河出書房新社から出版され、そのお祝いもかねてのパーティーだったので、私としては、申し訳ないとの思いで出席した次第です。本当は直接おわびもしたかったのですが、あまりの人の多さにかないませんでした。それでも、当日ゲストとして招かれていた小椋佳と松山千春のライブはちゃっかり聴け、それだけでも参加したかいはありました。

それにしても、藤堂さん、申し訳ありませんでした! 心よりおわび申し上げます。