もっともっと多くの人が遊びに行ってほしい酒田市

 昨日まで3日間、山形県を旅していました。4月3日は東根市、4・5日は酒田市。東根市は、山形新幹線の開通にともなって唯一、新しい駅がつくられたところで、例によって駅前にはほとんど何もありませんが、それだけに見晴らしは素晴らしく、駅の東から奥羽山脈の山々の美しさを目にすると、東京からやってきた私のような者の心はなごみます。西には月山、湯殿山、羽黒山の出羽三山がそびえ、こちらもまた美しい。東根市は麩とさくらんぼの名所と聞きましたが、麩懐石というのは、一度食べてみたいと思いました。

   4日は、さくらんぼ東根駅から酒田に向かうため、新幹線に乗り、終点の新庄で下車しました。家人の乗った後続の新幹線が東京からやってくるまで3時間ほど空白ができてしまったので、新庄ほどの都市なら、お茶でも飲みながら本を読むとか、それを埋めるのは訳ないと思っていたのですが、どっこい、事はそう簡単ではありませんでした。

L1040482_2 東根と同様、ここも新幹線の開通を機に駅舎を大々的につくり替え、駅前も再開発したのでしょう、美しく整備されてはいました。ただ、人目をひくものがほとんど何もないのです。駅の西口が旧市街らしく、いちおう建物は並んでいるのですが、店がほとんどありません。というか、人通りそのものがないのです。

一方、東口はというと、こちらも駅の前は広大な駐車場と公園があるだけ。わずかにビジネスホテル、パチンコ店+ゲームセンターの複合した施設、そして平屋建ての食品スーパーがあります。それも駅からやや離れているので、駅前そのものは、冬場に来たらさぞかし寒々しさを感じさせるだろうなという感じでした。

 3時間後、その新庄駅で家人と合流し、在来線で酒田に向かいました。酒田といえば、アカデミー外国語作品賞を受賞した映画『おくりびと』の舞台にもなった街です。数年前に訪れたときも感じたのですが、江戸時代、上方との交易でめっぽう栄えた面影がいまなお残る、個性的なところです。当時の栄華をしのばせる、積み出し用の米蔵、料亭、商人屋敷、店などがそのまま保存されており、じっくり時間をかけてまわれば、2日間はあっという間でしょう。

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 上方文化の影響もあってか、どことなくハイカラな雰囲気もただよっています。市内に有名なフランス料理のレストランがあるのを見ても、それはよくわかります。しかも、レベルは高いのに、場所柄だろう、値段は非常に安いのです。

 いまは観光がこの街のセールスポイントになっており、冬場はともかく、春・夏・秋はさぞかし多くの観光客が詰めかけてくるのだろうと思いきや、そうでもないようです。もっとも、首都圏あたりでいう「多くの観光客」とは、およそレベルが違うのかもしれません。押すな押すなというか、どこもかしこも並ばないと入れない、見えるのは人の後ろ姿ばかりといった混みようとはだいぶ様相が異なります。

 それだけに、どの観光スポットもゆっくり楽しむことができますし、食べ物もおいしいとくれば、一度行ってみる価値はあります。