月別アーカイブ: 2022年6月

ハッキング小説を読み終えた翌日、ハッキングに遭う

●コロナ禍で外に出る時間が減ったおかげで、読書の量が増えました。新刊もさることながら、圧倒的に多いのが”積ん読”本。昨年の引っ越し時そうした類をゴッソリ処分したのですが、これはと思うものは取り置いていました。その中の1冊が『青い虚空』というアメリカのミステリーで、620ページの長編。読み始めたら止まりませんでした。

●21年も前の作品で、ひとことで言うと、邪悪なハッカーを正義のハッカーが追跡するというストーリー。専門用語もかなり出てくるので、私のようなコンピューターのど素人にとってはしんどいのではと思いきや、勢いで突破してしまいました。いつもながら、作者ジェフリー・ディーヴァーの腕には舌を巻くばかり。

●ところが、読み終えた翌日、なんと自分のFacebookが”乗っ取り”に遭ってしまったのです。まさか自分がと驚きましたが、ハッキングをきわめれば人を殺すことさえできるという先の小説に比べればかわいいもので、動揺もさほどではありませんでした。とはいえ、私のアカウントを乗っ取った者が、Facebookの友だちにあれこれちょっかいをかけることについては、もうお詫びするしかありません。

●四方八方あたって手を尽くし、FBのアカウントはなんとか取り戻せました。というわけで、再出発の第一弾として取り上げた次第。この記事をアップしようとした矢先、先週半ば、高校の同期生が銀座で開いたグループ展で購入した絵が届きました。「WOW 太陽がいっぱい」のタイトルどおり、今日もまた酷暑の一日になりそうです。(2022/6/30)

久しぶりのテストマッチ=ウルグアイ戦を生で観戦

●神戸からの帰り上野の国立博物館に立ち寄り、「琉球」展を観ました。復帰50周年を記念しての企画だけあって、展示内容は濃密。那覇の首里城近くに会社の分室を設け、10数年ほど足繁く行き来していた私ですが、そのくらいではとてもカバーしきれないほどの奥行きと幅広さを思い知らされました。博多も堺も、琉球抜きでは国際港として存在し得なかったのではないかと。


●会場を出ると、上野公園の噴水広場で「台湾フェスティバル」が。都内で年に3〜4回開催され、前々から一度行ってみたいと思っていたイベントで、入場料500円也を払って入りました。飲食の店がほとんどで、好物の魯肉飯をと思いましたが、あまりに高い値段でパス。手ごろな品を3点選んでトライしてみたものの、どれも”ざんねんな味”でガックリ。台湾のB級グルメは、リモート(remote=遠い、遠方の、遠く離れて)ではなく、やはり現地=リアルが一番ですね。


●「リアルが一番」といえば、ラグビーも同じ。土曜日(6/19)、W杯以来およそ3年ぶりで生のテストマッチ=JAPAN vs. ウルグアイを観戦しました。サイズの大きな国立競技場と違い、体がぶつかり合う音がもろに聞こえ、汗の飛び交う様まではっきり見えて迫力満点なのが秩父宮ラグビー場の魅力。戦いが大きく見えるのはやはり素晴らしい!


●でも、観客数は1万5千弱。先におこなわれたサッカーは、ブラジル戦(6万5千)は別格として、チュニジア戦(3万1千)、パラグアイ、ガーナ戦(ともに2万5千)にも及びませんし、同じ日のサッカーJ1では3試合が1万5千以上。けっして強豪とは言えないウルグアイ相手とはいえ、秩父宮も満席にできないラグビー協会はまだまだ努力・工夫が足らないように思えます。(2022/6/19)

神戸元町で過ごした濃厚な15時間

●旅に出ても、朝5時過ぎには目が覚めます。朝食までの時間があったので、ホテルの回りを歩いてみました。場所は神戸の元町、明治時代初期の外国人居留地です。元の姿をとどめている場所は数えるほどしかありませんが、それでも多少は往時の匂いをとどめているような気がします。

●急な用件があり、兵庫県の加古川まで行ったのは昨日。夕刻神戸まで戻り、旧友と会いました。東京ではなかなか食べられないビフカツをリクエストしたところ、連れて行ってくれたのが地元では名の知れた洋食屋さん。関西で”肉”といえば牛肉のことで、「カツ」は牛カツ=ビ(ー)フカツを指すようです。海老クリームコロッケとセットになった定食を注文しましたが、★3つでした。

●この種のメニューは、野菜サラダがつきものですが、それがきっちり作ってあれば”本体”もレベルが高いというのが私の持論。そこで、まずサラダに箸をつけると━━。ドレッシングの風味が抜群で、”本体”への期待がいやおうなしに高まります。ビフカツは小ぶりにカットされ食べやすく、肉もしっとりしていい噛み心地。コロッケはちょい大ぶりのタマネギの微塵切りが海老のプリプリ感を引き立てており、大満足。

●朝食は、前々から行きたいと思っていたホテル近くの老舗喫茶店へ。ホットケーキが名物なのでトライしてみたのですが、焼き加減がいまイチかなぁ。好みの違いやその日の出来不出来もあるので断定的なことは言えませんが、こういうシンプルなものほど難しいのでしょう。それにしても、”濃厚な15時間”は言い過ぎかも(笑)。(2022/6/16)

花菖蒲、鏑木清方、ポンペイよりもイタリアン!

●京都2日目は、小学校の修学旅行以来60年ぶりという平安神宮の神苑から。應天門に貼られた「花菖蒲見頃」の文字が期待をそそります。神苑とは庭園のことですが、大きな池に群生する2千株の花菖蒲は圧巻。お昼近い時間でしたが、蓮の花もまだ開いたままで、朝早ければ池の水面が見えないほどだったかも。

●平安神宮周辺は一大文化ゾーンになっていて、そこから歩いて5分のところにある国立京都近代美術館が、3連チャンの二つ目、「鏑木清方」展の会場。中に入るまでは有名な美人画家といった認識くらいしかありませんでしたが、自身の無知を思い知らされました。美人画といっても、顔かたちだけでなく、着物・履き物、髪飾りや簪[かんざし]など一つひとつが丁寧に描かれているのにびっくり。

●それ以上に感動したのが庶民の生活・風俗を描いた作品。展覧会に出品するような大作とは趣きが違い、親しみやすい素材なのですが、こまやかな観察眼は、穂積和夫を思い出させます。感動の余韻にひたりながら、すぐ向かい側に建つ京セラ美術館の「ポンペイ」展。3連チャンのラストで、期待が大きかった分、裏切られた感も大。ポンペイの遺跡はやはり、現地で観るしかないのかもしれません。

●夏の京都の定番「鍵善」の葛切りで疲れをいやそうとしましたが、癒しきれぬままホテルへ帰還。ポンペイの仇はやはりイタリア料理で━━はこじつけですが、ホテルのすぐ近くで見つけたカジュアルなお店が大当たり! これはと思った品を少しずつ食べられる「おばんざい」っぽいスタイルで、昼間の疲れはきれいさっぱり消えました。(2022/6/11)

京都で美術館3連チャンの1日目

●土曜日に京都で仕事があり、せっかくなので、木曜日からこちらにやってきました。折しもアジサイや花菖蒲が真っ盛りの時期。そちらも楽しもうと、ネットで検索すると、あちこち”名所”が。選んだのはアサヒビール大山崎山荘美術館。その庭園が素晴らしいとあったので、そちらに決めました。「ポンペイ」展、「鏑木清方」展を観に行くつもりだったので、図らずも3連チャンに。

●京都駅から大阪方面へ5つ目の山崎駅で下車。美術館はかの有名な天王山の麓、5500坪の敷地に建っており、もとは大阪の実業家の別荘だったそうです。本人も遺族も亡くなり、長い間使われずに荒れ果ててしまったのをアサヒビールが買い取り、美術館としてよみがえらせたのが1996年。そのコレクションは、モネ、ルオー、ユトリロ、ヴラマンク、カンディンスキーらの絵画、バーナード・リーチ、宮本憲吉、濱田庄司の陶芸、イサム・ノグチの彫刻など、超一級品ばかりです。

●何よりの魅力は、それらが展示されている建物。新たに増築したコンクリートの展示館も安藤忠雄の設計だそうで、木造山荘風の本館にすんなりなじんでいます。2階のカフェテラスから木津川、宇治川、桂川が合流、淀川になる地点を見下ろす眺望は抜群。その入口には、ドイツ製、その名もMikado というオルゴールが鎮座していました。

。●美術館のあと庭園を散策し、送迎バスで阪急の大山崎駅へ。一路河原町をめざします。関西の私鉄は首都圏のそれと車体の色使いがまったく違い、阪急電車はあずき色。河原町から少し歩き、夕食は先斗町[ぽんとちょう]のおばんざいです。この季節ならではの素材をふんだんに用いたメニューを、こちらの腹具合にも気を配りながら勧めてくれる心づかいに感動。もちろん、味も最高でした。(2022/6/9)