準決勝の負けでさばさばしていたNZがウェールズを退ける

2019年11月2日
さあさあ、W杯もいよいよ今日が決勝。イングランドvs南アフリカの対戦となりました。こんな黄金、いや“プラチナカード”が横浜で見られるなど、10年前には想像すらできませんでした。W杯を日本で開催できたことを、いまさらながら改めて喜びたいですね!

どちらが勝ってもいいといえばいいのですが、心情的には、JAPANを破った南アにエールを送りたい。せこいと思われるかもしれませんが、JAPANの価値を少しでも上げるためにも……。

 

さて、昨夜は東京スタジアムで、ニュージーランドvsウェールズの3位決定戦を見ました。9月20日の開幕戦、日の入りは18時10分だったのが今日は16時48分。スタジアムに入ったときは夕日の残照が空を染めていました。どこかさみしげな印象がしますが、これはやはり「3位決定戦」という、ある意味位置づけの難しい試合のせいでしょうか。勝っても3位ですから、選手たちのモチベーションもいまひとつ高まらないのではという気もします。

 

観客も、両国だけでなく多彩。ほとんどはベスト8に進んだ国の人たちですが、心の底では、「ホントは明日試合するはずだったんだよな」くらいに思っているのでしょう。スタンドも、オーストラリの集団がいたり、イングランドのサポーターがあちこちに固まっていたり、ビールをガンガン飲んでいるアイルランドのグループも。

 

もちろん、いちばん目立ったのはNZサポーターの集団。2カ所、それぞれ数百人が陣取っていました。ただ、本心は「こんなところにオレたちがいるはずじゃなかったんだけどなぁ」というところでしょう。

先週はイングランドに持ち味をほぼ100%封じられたNZでしたが、今日はうって変わって、のびのびしたプレーを見せてくれました。今大会の途中まで、W杯では18試合負け知らず(台風による中止で引き分け扱いになったイタリア戦を含めれば19試合)で来たのが、それを封じられたがために、かえってさばさばした気持ちで臨めたのかもしれません。

キャプテンのキアラン・リード(NO.8)も代表としては最後の試合、またスティーブ・ハンセンHCも同じく最後とあって、チームの全選手も心に期するところがあるようで、ハカも気合満点。ちなみに、通算127キャップで代表を退くことになったキアラン・リードは、来年1月から日本のトップリーグでプレーするとのアナウンスもありましたよ。ちなみに、この日出場していた選手のうち、POTM(プレイヤーオブザマッチ)に輝いたロックのブロディー・レタリックは神戸製鋼、トライを決めたCTBのライアン・クロッティはクボタ、FW第1列のマット・トッドは東芝(昨シーズンはパナソニック)だそうです。これでトップリーグ観戦の楽しみが増えますね。

 

試合のほうはNZが持ち味の変幻自在ぶりをこれでもかと発揮。ウェールズも意地を見せますが、過去66年間NZには一度も勝てていないのも影響しているのか、攻めても攻めても強力なタックルのえじきになるばかり。後半20分過ぎ、ウェールズのジョシュ・アダムズ(ウィング)が今大会7個目のトライを決めたのが救いでしょうか。アダムズはこれでトライ王をほぼ確実に。

今日のサプライズは上皇ご夫妻が観戦にいらしたこと。後半からでしたが、巨大なスクリーンにお二人の姿が大写しになったときはどよめきが起こりました。決勝戦にも皇族のどなたかがいらっしゃるのかもしれませんが、3位決定戦というのが、いまのお立場を感じさせます。

 

 

両チームとも、キャプテン、ヘッドコーチが最後の試合ということで、終了後の雰囲気もどこか温かい雰囲気が。「戦い切った」という満足感があふれていました。もちろん、3位決定戦ゆえの“ゆるさ”も影響しているのかもしれません。

3位チームにメダルを授与するセレモニーがあったのですがパスさせてもらい、武蔵境南口行きのバスに。15分ほどで到着すると、この日から年末のイルミネーションが始まったようで、これまでとはガラッと様変わり。「ああ、終わりなんだなぁ」との思いを噛みしめながら帰路につきました。

 

今夜、ラグビーの世界最高峰が決まります。横浜はどうなっているでしょうか