2018年4月10日
「こんぴら歌舞伎」を楽しんだ翌日は山口です。高松からはまず、今年で開通30周年を迎えた瀬戸大橋の上を走るJRで岡山まで。新幹線に乗り換えて広島に行き、ここで下車してレンタカーを借ります。最近できた広島都市高速から山陽道を経て、まずは秋芳洞【あきよしどう】まで行きました。今日は絶好のドライブ日和で、快適そのもの。
秋芳洞は、カルストが目いっぱい広がる秋吉台とセットになっている観光スポット。平日とあって、どちらも閑散としていました。現在全国に56カ所ある国定公園のなかでも比較的早い時期(1955年)に指定を受けているので、ある意味“終わった観光スポット”なのかもしれません。しかし、初めて訪れた私の目にはたいそう新鮮な景色に映りました。
カルスト(Karst)とは、石灰岩など、水に溶けやすい岩石で構成された大地が雨水、地表水、土壌水、地下水などによって侵蝕されてできた地形(鍾乳洞などの地下地形も含む)で、秋吉台は日本最大の広さ。その地下にあるのが、国の特別天然記念物に指定されている秋芳洞【あきよしどう】です。ほかのものも合わせると、秋吉台には450以上もの鍾乳洞があるとのこと。
日本一というだけあって、秋芳洞も秋吉台も、圧倒的な迫力です。秋芳洞の中へ年間いつでも気温17℃だそうですから、真夏に行ったらたまらないでしょうね。全長1km超、アップダウンもけっこうあるので体力は要りますが、次から次へとあらわれてくる摩訶不思議で神秘的な石灰岩の自然アートを目にすると、疲れも吹き飛びました。
そのあと秋吉台も観て、今日の宿泊地・山口市までは車で30分。「西の京」とも呼ばれる町なので、けっこう期待していました。しかし、実際に行ってみると、いやはやなんとも……。地方都市の常ですが、人通りが少ないのです。
夕食も、店を見つけるのにひと苦労しました。私たちのホテルは県庁や市役所に近い旧市街にあったのですが、近頃、山口市の中心地(人が多く集まるという意味ですが)は湯田温泉に移っています。2年前ロシアのプーチン大統領も訪れた場所です。宿泊施設(といってもホテルはほとんどありません)の多くはそちらに集中しており、旧市街一帯はもぬけの殻状態。かつてはこちらのほうが人も集まったのでしょうが、いまやその面影はないようです。
ホテルを夜7時に出て、「米屋【こめや】町商店街」「中市【なかいち】商店街」まで歩いていきましたが、飲食店はほぼゼロ。7時半過ぎには明かりがほとんど消えかけており、歩いている人の姿もありません。「これはヤバい」と思い、スマホでググって見つけた、ホテルからもほど近い店も廃業したようで真っ暗。仕方なくそこから戻る途中で見つけた店に入りました。ただ、これがまずまずのヒットで、かろうじて満足の行く夕食を摂ることができました。「うーん、県庁所在地なのに……」とも思いましたが、山口市自体、人口は20万に満ちず、県庁所在地のなかでは45位(それより少ないのは鳥取市と甲府市)。一時は最下位でしたから、これも仕方ないかとは思いますが。それにしても、夜7時半過ぎだというのに人っ子ひとりいない商店街というのは気味が悪いものです。