ウィーンで出会ったユニークなチョコレート屋

2017年11月3日
ツアーでは朝・昼・夜と、同じテーブルで食事をともにする相手がほぼ毎日変わります。どのテーブルに着くかは自由なので、だれと隣り合わせになるかは、座ってみるまで分かりません。今日同席したのは、80歳近いご夫婦。この旅行会社との付き合いは20年近くだそうで、主催するツアーに参加するのも10数回目だとか。

これまで食事で同席した皆さんのほとんどが、この会社のツーアのリピーターのようです。話を総合してみると、この旅行会社は、客のニーズを実に的確につかんでいるのがよくわかります。食事の内容、コース、訪問する観光スポット……。どれをとっても、ありきたりではないというか、よく工夫されている感じがします。かゆいところに手が届くサービスも高く評価されているようでした。また、添乗員さんも自分が担当するツアーで訪れる先の地理や歴史・文化をしっかり学んでおり、レベルが高そうのです。

そもそも、この会社が企画しているツアーのテーマ・内容自体がたいそうユニークです。マニアックな感じがしないでもないのですが、これはそうした内容を求める客が少なからずいるからでしょう。いま、日本から海外旅行に出るのは70歳以上の人がほとんど。もちろん、それは費用がある金額以上のツアーです。若い人は時間もお金もありませんから、どうしても安手で通り一遍のメニューで構成されたツアーに参加するしかありません。

しかし、70歳以上の人たちは、まず時間が豊か。しかも、いまの日本では年金受領額もいちばん恵まれています。そのため、できるだけわがままを聞き入れてくれそうなツアーを選ぶわけです。そのあたりに早い時期から着目していたこの会社のツアーが多くの人から支持されるのは当然かもしれません。

 

DSC03974さて、今日はウィーンの市内観光。最初は中心部(「リンク」の中)に集中して建つ施設の一つ「シシィ博物館」で、今回が2回目。しかし、その次に訪れた「美術史美術館」には度肝を抜かれました。ハプスブルク家があちこちから収集してきた美術品がぎっしり収められています。クリムト、ブリューゲル、ラファエロ、ティツィアーノ、フェルメール。デューラーなど、美術や世界史の教科書で観たことのある作品が、これでもこれでもかといった感じで展示されていました。

DSC03929  DSC03954

DSC03979その後、ウィーンで最古のレストラン「グリーヒェンバイスル」でランチをいただき、午後は自由時間。レストラン近くの「シュヴェーデンプラッツ」からトラムに乗ってリンクを半周、「オペラ座」の前で下車し、目抜き通りの「ケルントナー通り」を歩きましたが、週末ということもあって大変な人出でした。有名なカフェもそこここにありましたが、そちらは後回しに。

私と家人は、とあるチョコレート屋さんをめざします。かつてはハプスブルク家御用達のボタン屋さんだったのですが、当時の店舗のままでいまはチョコレートを販売しているというのです。外には御用達のお店であることを示す立派な看板があり、店内の壁はかつてボタンを収めるのに使われていた引き出しが。壁だけ見ると、「えっ」という感じがしますが、あくまで内装として利用しているのです。思わず写真を撮ってしまいましたが、そのアイデアに感心しました。いくつか買って帰りましたが、一つ二つつまみ食いしてみるると、これがえらくおいしいのです。さすが「ウィーンでいちばんおいしいチョコレート屋」を謳っているだけのことはありました。

DSC04007 DSC04005

実を言うと、今夜は家人と二人で外食にしようと思っていました。というか、そろそろ日本のしょう油味が恋しくなっていたのです。そこで、「ケルントナー通り」から路地をちょっと入ったところの、7年前にも訪れたことのある日本料理店を探してみました。しかし、そこにあったのは前とは似ても似つかない店。いちおう「日本風」を謳ってはいるようですが、店の名前も外装もすっかり変わっていました。外にいた店員に聞いてみると、何年か前に昔あった店は閉店し、そのあとを自分たちが引き継いだとのこと。結局、中には入らずじまいで船に戻ることに。旅の途中で日本メシをとの願いはもろくもついえてしまいました。