花の美しさの年季が違う(!)アルザスの町々

2016年7月30日

昨日(7月29日)は朝5時半から仕事。最初の日より2時間も早く朝食を済ませました。ホテルのレストランは川辺にしつらえられており、パン、ハム、チーズと、何を食べてもGOODです。初めて、この地方の名物菓子も食べてみましたが、これはイケます。ベタベタと甘くないのが特徴でしょうか。

DSC_0789車で郊外に出てみました。10時過ぎに出発し、まずはオベルネ(Obernai)という町へ。ここもこの地方特有の「コロンバージュ」と呼ばれる家が立ち並ぶ光景が素晴らしく、カメラのシャッターを押しまくり。アルザス地方は石材に乏しいため、民家の多くが木造建築です。柱と梁で軸組を組み立て、軸組の空いている部分を白の漆喰、レンガなどで埋めて壁にする木組み(木骨)の構造が特徴だそうです。

フランスを代表するビール「クローネンブール(日本ではクローネンブルグといいます)」の工場があり、フランス国内で消費されるビールの3分の1がここで作られているとのこと。

DSC_080711時半過ぎにオベルネを出て、次に訪れたのはサヴェルヌ(Saverne)という小さな町。この町の中心街の美しさは驚くばかり! 広い遊歩道風の真ん中に大きめの花壇がゆったりと並び、そこを縫うようにして歩くのですが、カフェもレストランも、建物は数百年前のまま。

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この町に来たのは、現地で手に入れた観光パンフレットに、「司祭の館」と呼ばれる建物のライトアップした写真が出ていたから。それを見たかったのですが、写真と合致するものが見つかりません。ランチのあと訪れた観光案内所の人に聞いてみると、「ここのすぐ裏にある」と。でも、さっき行ってみた大きな建物は写真のそれと違います。要するに、私たちが見たのは裏側だったのです。表側は池に面しており、パンフレットに出ていたのは、そちらを写したものだったのです。

サヴェルヌからストラスブールへは1時間足らず。途中、ロータリーで方向を間違えたりなどしながら、3時前には無事、戻ってこれました。今日1日、旧市街全域でおこなわれる「大ノミの市」のため、車の出入りがNGということで、ホテルで教えてくれた公共駐車場に止めました。

現代美術館の地下にある駐車場近くの停留所からトラムを乗り継いで「大聖堂」の近くまで、おみやげのビスケットを買いに。昨日「大聖堂」のすぐ脇にある店をたまたまのぞいてみた折、試食させてくれたアプリコットのジャム入りビスケットを家人が気に入り、買って帰ることにしたのです。缶がなんとも可愛らしく、女性が見たらさぞかし喜ぶにちがいありません。

そのあと「大聖堂」の前にあるカフェで家人はコーラ、私はビールを飲んだのですが、これがなぜかめっぽう利きました。飲みながら、「今日の夜は何も食べないでいいくらい。テイクアウトで何か買って帰ろう」という話に。橋を渡ったところにあるオーステルリッツ通りに立ち寄ってみましたが、めぼしい店はありません。帰る道すがら猛烈な眠気と疲れが襲ってきて、朦朧とした頭でホテルへ。そのままバタンキューで朝まで寝てしまいました。長い海外旅行ではかならずこういう日を経験するものです。

DSC_0696ストラスブール、オベルネ、そしてサヴェルヌなど、アルザス地方の大きな特徴は、どの町も花が美しいこと。これは、フランスで60年近く前からおこなわれている「花の町・村コンクール」の成果のようです。政府観光局の主導で始まったこのコンクール、いまでは、国や自治体の専門家で構成される全国花委員会(CNFF)によって運営されているとのこと。

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その結果、全国どこでも、自分たちの町や村への愛着・連帯感がぐんと高まったといわれています。コンクールが始まるはるか以前から、自治体と住民が一体となって花による町づくりがおこなわれていたそうですが、道路から広場、公園、各家庭の玄関先や窓辺に至るまで、あらゆる場所に草花を植えて入念に手入れをほどこし、花があふれる街並みを作り上げてきた、その成果がみごとにあらわれている感じがします。

ストラスブールにはつごう3泊。今日(7月30日)はドイツのザールブリュッケンに行きます。チェックアウトを済ませ、公共駐車場に1泊させた車をやっとのことでホテルの前まで移動、荷物を載せて出発。道すがら、町のはずれにある「オランジュリー公園」に立ち寄ってみました。

もともとはフランス革命の前、1804年に、ヴェルサイユ宮殿の庭園造りにたずさわった人物が設計したもの。入口からほど近くにあるパビリオンは、ナポレオンが妻ジョゼフィーヌのために建てたそうです。建物の前に英国式の庭園があり、そのまわりには池や森が配されています。

DSC_0871パビリオンの屋根の上にコウノトリの巣を見つけました。アルザス地方はコウノトリの繁殖地として知られており、地域のシンボルになっています。この公園も、木の上や建物の煙突の上など、あちこちにコウノトリが巣を作っているのです。

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DSC_0883「オランジュリー公園」から東へ10分ほど走るとライン川。この中央にフランスとドイツの国境があります。橋を渡ってすぐのところにあるのがケールという町。橋の中央を横切る国境線をまたいでいるところを写真に収めることはかないませんでしたが、ケールに入ってすぐのところでそれに近い写真が撮れました。

ケールを出るとまたフランスに入るので、もう一度国境を越えることになります。昨日行ったサヴェルヌを過ぎ、ECに統一される前は検問所があったとおぼしき場所を通過。色あせた「免税店」という文字が印象的でした。

1時間半ほどで着いたドイツのザールブリュッケンはその名のとおり、ザール川(モーゼル川の支流)の両岸に広がる人口18万ほどの町。ザールラント州は石炭、鉄など地下資源が豊富、しかも交易の要衝地でもあったため、その帰属をめぐりフランスとドイツの間で長らく争いが続けられてきました。ドイツに帰属するのが決まったのは1957年だそうですから、つい60年ほど前。たしかに、フランスとはまったく違う雰囲気で、ラテンの香りはまったく漂ってきません。

予約していたホテルはメルキュール。ロケーションもよく、部屋も清潔、快適で十分な広さ。さすがといった感じがします。本当なら9点くらいつけてもいいのですが、それを妨げたのが、チェックインのとき私たちの相手をした若い女性スタッフです。

笑顔、一切なし。「仏頂面」という言葉は彼女のためにあるのでは、と思いました。最初の「こんにちは。いらっしゃいませ」といったひと言もなし。ひどいのはそのあと。「名前は?」ですと。英語に堪能でない私にでも、“May I have your name please?”と“What’s your name?”の区別ぐらいはつきます。彼女はもちろん後者。チョー事務的というか、冷たい、氷のような態度です。朝食の場所・時間についても、一切教えようとせず、エレベーターの場所も案内してくれません。

車で来ているので、「どこに駐車すればいいですか」と聞くと、「どこに止めたの!?」と詰問口調で聞いてきます。「荷物をおろすため、とりあえずホテルの前に。あなたの右側、窓から見えるでしょう。歩道の上に止めてある黒い車です」と答えると、さもバカにした顔で「そんなところに止めたらダメでしょ!」とだけ。普通ならここで駐車場の場所を案内してくれるのですが、彼女の場合、私のほうから質問し初めて答える始末。

私と家人は、世界各国のホテルに泊まってきましたが、ここまでひどい接客をするフロント係には初めて出くわしました。ナチスドイツの非道を描いた映画に出てくる女性兵士とでも言えばいいでしょうか。私の後ろで待っていた家人も、「鬼みたいな感じね」と怖がっていました。メルキュールともあろうホテルが、こんなスタッフのために不愉快な印象をバラまいてしまっては大きな損害ではないでしょうか。1日も早く、バックヤードの事務職とかに配置転換したほうがいいと思います!