知らなかったぁ! タバコにも花が咲くとは!

●ツアー旅行は中日に疲れが出ると言われますが、たしかにたしかに。前日、5時間以上かけて石見銀山を歩いたのですから、当然かもしれません。温泉で多少は癒えたものの、70を過ぎた体にはまだ不足かと。さて、3日目の行程は温泉津[ゆのつ]から山陰線で、赤い石州瓦に見とれながら益田まで。そこからバスで向かった先は4年ぶりの津和野(山口県)。小さな城下町で、50年前「アンノン族」であふれ返って以来半世紀、町ぐるみで観光に力を入れてきたようです。ただ、ホテル・旅館がわずかしかなく、”ついでに観光”の域にとどまっています。


●津和野は画家・安野光雅の生まれ故郷で、21年前にその名を冠した美術館が作られました。白と黒のなまこ壁がなんとも印象的。たまたま展示されていた名作『旅の絵本10オランダ編』の原画に、旅情をかき立てられます。


●昼食後は萩へ移動。こちらは10年ぶりです。萩観光の定番・松陰神社は藤が満開でしたが、それをはるかにしのいでいたのが、宿泊先の庭園。広い敷地に色合い、大小、高低などを配慮した植え分けがなされ、いくら見ていても飽きません。秀逸はタバコの花。葉のほうにはかれこれ50年以上お世話になっていますが、花は初めて。葉っぱの”毒性”とは似つかわしくない可憐さに心を打たれました。

タバコの花──毒性があるとは信じられません
こちらも品種は違うものの、やはりタバコ
これが支那藤


●もう一つは、花びらの大きな藤。支那藤という品種なのだとか。花や草木の手入れをしている女性が、庭園の階段の手すりやイスまで丁寧に拭き清めているところをたまたま目にしました。花だけでなくそれを囲む環境をもないがしろにしない心が、美しさをいっそう引き立てているにちがいありません。(2022/4/22)