米、塩、鉄、石、祭、歌……なんでも運んだ北前船━「北前船フォーラム」④

●寒風山[かんぷうざん]のあと「なまはげ館」に立ち寄り、次に訪れたのが秋田市内の「土崎みなと歴史伝承館」。北前船の寄港地の中でもたいそう栄えていた土崎湊[つちざきみなと]の様子を描いたみごとな絵(秋田街道絵巻)が、北前船の縮小模型とともに展示されていました。

石川県七尾市の「青柏祭[せいはくさい]」

●その土崎で毎年夏におこなわれる神明社祭の大きな曳山[ひきやま]は博多祇園山笠そっくり。そういえば、同じく寄港地である石川県七尾市の「青柏祭[せいはくさい]」も巨大な曳山(http://xn--nippon-he4et93veuwd.com/)が登場します。数年前、能登半島の寄港地を取材したとき、祭の映像を見てびっくりしました(すべてユネスコ無形文化遺産)。

●ほかにも、富山県射水[いみず]市、同高岡市伏木[ふしき]、滋賀県長浜市など、形は違っても基本のスタイルは同じという祭りが各地で見られます。元をたどれば京都の祇園祭に行き着くのでしょうが、これにも北前船が関わっているように思えてなりません。

●北前船は物だけでなく、今日まで伝えられる歌や踊り、絵画などの文化・芸術、風俗・習慣まで幅広く、全国各地に伝えていたことを、今回のフォーラムで改めて実感。コロナ禍のまっただ中のイベントでしたが、動けば好奇心はますます刺激され、得られるものも大きそうです。(2022/3/23)